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スターバックスが野菜で地域とつながる⁉ コロナ禍の今だからこそ伝えたい“地産地消&産地応援”

  • 2022年7月1日
  • Walkerplus

富士山の伏流水が湧き出し、ミネラル豊富で肥沃な大地が広がる静岡県三島市。箱根山麓の西側、標高約50メートルの丘陵地に広がる畑では露地野菜の栽培が盛んで、「箱根西麓三島野菜」(以下、三島野菜)としてブランド化されている。そんなおいしい野菜を地元の人にもっと知ってもらいたいと、「スターバックス コーヒー 三島玉川店」では実際にパートナー(従業員)が農家を訪ね、肌で感じた野菜の魅力を伝える活動をしている。コーヒー店で野菜をPRするのはなぜか?そこにある思いを取材した。

■体験したことを自分たちの言葉で伝える
そもそもなぜスターバックスで野菜なのだろう?スターバックスでは、パートナーが自発的に考えて行う地域活動「コミュニティコネクション」が実施されている。コロナ禍でなかなか自由な活動ができない状況が続いていたが、この時期だからこそと三島玉川店が始めたのが、地域の魅力の1つである三島野菜のPRだ。

生活が様変わりし、“食”への考え方にも変化が生まれたコロナ禍で地産地消の意識が高まるなか、「地理的特性や気候においしさの秘訣がある、地元ならではの三島野菜をもっと知ってもらいたくて。地元の人たちと生産者さんをつなぐ機会を作っていきたいと思いました」と、ストアマネージャー(店長)の田中雄大さん。

2021年4月にスタートしたこの取り組みは、パートナーから希望者を募り、生産者を訪ねて作業を見学。話を聞いたり作業を手伝ったり、時にはその場で採れたて野菜を味見したりすることも。作業の後は、スターバックスのコーヒーを飲みながらブレイクタイムをとって交流を深める。

三島馬鈴薯、三島人参、ヤマツ葉ショウガ、三島七草、ロメインレタス、ミニ白菜…これまで10回ほど開催された。「ロメインレタスは半分に切ってオーブンで焼くと、すごくおいしいんです!肉厚だからシャキシャキした食感がちゃんと残っているんですよ」と三島野菜のおいしさを満面の笑みで語るのは、パートナーの大庭綾子さん。農家を訪ねるようになって、三島野菜の魅力にすっかりはまってしまったという。

日当たりがいい南向きの傾斜地で、水はけがよく保肥性の高い火山性の黒土で栽培される三島野菜は、主に静岡県内で流通している。三島市が地元の大庭さんだが三島野菜のことは知らなかったそうで、「こんなにおいしいものが地元にあることを知らなかったらもったいない!」と言葉に熱がこもる。

また、農家の人々が畑で楽しそうに過ごす様子がとても印象に残っていると大庭さん。「天候に左右されたりお休みがなかったりと、もちろんいろいろ大変だとは思うんですが、みなさんそういうご苦労を感じさせないんです。自分の作る野菜に情熱を注いでいることが伝わってきて、まぶしいなって(笑)」

そうして持ち帰った感動は、三島野菜を紹介するボードを掲出したり農家直伝のレシピを紹介したりと、手作りで伝えている。自分自身で直接感じたことだからこそ、伝えたいという思いは強くなり、言葉にも説得力が生まれる。来店客からは「こんなに深くは知らなかった」「これからは産地を意識して買ってみようと思った」などと好評だ。

こうした体験は、最近話題のSDGsへの取り組みにも生きている。たとえば農家では昔から廃棄野菜をたい肥にして再利用されていたことを知り、新しいことを取り入れるだけでなく伝統を伝える大切さも学んだと田中さんは語る。「これまでは自分が口にしているものの生産者について、思いをはせることはコーヒー以外になかったと気付き、今は産地や生産者の表示を気にするようになりました。誰かが作ってくださっているものなので、知ろうとすることによって自分の生活もより豊かになりますね」と、パートナーたちの意識も変えたようだ。

■いいものを伝えたい、喜んでもらいたいという思いに共感して
三島玉川店のパートナーたちが訪ねているのは、「JAふじ伊豆」の紹介で出会った若手生産者6人から成るチーム「箱根西麓のうみんず」(以下、のうみんず)の畑だ。その理由を田中さんは「“地元の人たちに地元のいいものを伝えたい”という思いは親和性があり、目指すゴールが近いと思ったから」だという。

のうみんずは、ミニ白菜やロメインレタスなど新しい名産の研究・育成のほか、三島野菜のPR活動を積極的に実施。食育にも熱心で、年に2回、「のうみんずの日」として市内すべての小学校に野菜の無償提供を行っている。こうした活動の根底には、「農家の高齢化が進むなか、この土地の農業を絶やさないためにも産地の生産量を支えられるようにしていきたい。そして興味を持ってくれた子供たちが、1人でも多く将来就農してくれたら」という願いがあると、のうみんず代表の前島弘和さんは語る。その願いがあるゆえ、取り組みを通じて、スターバックスが持つ幅広い客層へ向けた発信力にも期待を寄せる。

ボードには、「ハウスの中にはハチさんがブーンブン!!おいしいミニトマトづくりに活躍していました!」「甘みがあり肉厚でシャキッと食感!」など、実際に生産地を訪ねたからこその言葉が踊る。「みなさん本当に熱心で、畑では細かいところまで質問してくれて。僕らの思いを非常にわかりやすく文章にして伝えてくれている。生産者の思いを消費者に伝える機会は少ないので、スターバックスのみなさんの言葉で伝えてもらえるのはありがたい」と、前島さん。

ボードに飾る料理写真の撮影を担当する大庭さんは、「“おいしいと言われるのがとてもうれしい”という農家さんの言葉が印象的でした。私たちもコーヒーを通してお客様の笑顔を見られるとやりがいを感じるから、同じだなって」と話す。その思いに共感したことも魅力を伝える力になっているようだ。

こうして紹介を続けてきた三島野菜だが、田中さんによれば今年は新たな目標があるという。「昨年は私たちの体験をお客様に伝える1年でした。次の1年はワークショップなど別の形で、生産者が消費者へ魅力を直接伝えられる場所を作っていけたらと思っています。そして三島にはほかにもたくさんの魅力があるので、それを私たちが発見し、地元の人々に伝えていきたい」と意気込む。

地元の魅力を伝える取り組みは、生産者の思いを乗せて次のステップへと続く。


※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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