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「お花見」の起源とは?花見がもっと楽しくなる歴史や由来を紹介

  • 2022年2月17日
  • Walkerplus

日本の春のシンボルといえば桜。桜を眺めながら楽しむお花見も、春の行楽では定番中の定番だ。そんなお花見だが、行事の起源や、現在の形になった歴史は意外と知らない人も多いはず。そこで今回は、美しい桜をより深く楽しめるようになる、お花見の由来や雑学を紹介しよう。

■お花見の起源は「梅」?「令和」にも見て取れるお花見のルーツ
きれいに咲いた桜を鑑賞するお花見。そんなお花見のルーツともいえる出来事は、約1300年前の奈良時代にはすでに見られる。実は、今の元号「令和」にも、お花見の原型のようなイベントにまつわるエピソードがあるのだ。

令和は「万葉集」の梅花の歌三十二首の序文に由来しており、その序文というのが、当時大宰府の長官だった大伴旅人が、招いた客人たちと開いた「梅花の宴」をつづったもの。梅花の宴は、庭に咲く梅を愛でながら宴を開くという、今のお花見に通じるスタイルだったのだ。

このように奈良時代には、天皇や貴族といった上流階級の人々が花鳥風月を歌に詠む文化がすでにあり、それが今に繋がるお花見の起源のひとつと考えられている。ちなみに当時は、唐から渡来した珍しい花として梅が貴族の中で人気で、万葉集に収められた歌の題材でも、桜より梅を詠んだ歌の方が多かった。この頃お花見といえば、桜ではなく梅だったのだ。

■平安時代には「梅」から「桜」に!武士にも広まるお花見の歴史
平安時代になると、人気は逆転した。平安時代の和歌集「古今和歌集」には、在原業平が詠んだ有名な「世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」の歌をはじめ、桜の歌が多く残されている。

また、「日本後紀」には嵯峨天皇が812年(弘仁3年)、京都の庭園・神泉苑にて「花宴之節(かえんのせち)」を催したと記録されており、これが記録に残る最古の「桜の花見」だったとされている。

さらに、当時桜の存在感が増したことを思わせるのが、京都御所の内裏にある「左近の桜」。平安京遷都の際はもともと「左近の梅」が植えられていたが、数十年後にその梅は枯れてしまう。その際、新たに梅を植えるのではなく、桜に植え替えられたのだという。以来、焼失したり枯れたりしても、植えられるのは桜となり今日に至る。

その後、桜を愛でる花見の文化は武士の時代となっても変わらず定着していき、鎌倉幕府の祖・源頼朝や、足利将軍家など、武家社会の有力者たちも花見を行ったと伝えられている。中でも豊臣秀吉が京都の醍醐寺で催した「醍醐の花見」は、約1300人を集めた豪華絢爛な宴で、一説には色鮮やかな花見団子もこの時に振舞われたのだとか。「風流な歌会」という向きが強かった花見が、「桜とともに宴会を楽しむ」形に変わるきっかけになったともいわれている。

■庶民にとって桜は「豊作祈願の花」だった?
天皇や貴族、武士など、上流階級の間では定番となっていたお花見。一方、農民たちの間では古くから、桜の開花を農作業を始める時期の目安としたり、桜の咲く時期や花の向きで豊作・凶作を占うなど、豊作祈願の神事として桜を見てきたといわれる。

地元では「種まき桜」と呼ばれる樹齢約1200年の「草岡の大明神ザクラ」や、桜の開花を待って里人が苗代(稲の苗を作るための田)の準備を始めたことからその名がついたという岐阜県下呂市の「苗代桜」など、農作に由来するあだ名を持つ桜の名木が全国に存在することからも、かつて農民たちが桜をどのように見てきたのかがうかがえる。

■江戸時代には「花より団子」なお花見文化に
時代が下り江戸時代になると、農作ではなく都市部に住む町民が増加。庶民文化も豊かになり、その中で酒盛りとしての花見も広がっていったという。江戸時代初期、徳川家によって上野に寛永寺が建立されると、開山した天海僧正により奈良の吉野山から桜が移植され、江戸の人々にとって随一の桜の名所になった。

その後、江戸幕府8代将軍の徳川吉宗は、隅田川堤や御殿山、飛鳥山といった江戸の各地を「お花見名所」として整備。この頃には桜の下に幕を張る「場所取り」もすでに行われていたのだとか。

また、この頃には植木屋の品種改良により観賞用品種が多く生み出され、江戸時代末期にはソメイヨシノが誕生。明治時代以降、全国に広がっていった。また、隅田堤の花見では向島の長命寺前で売り出された「長命寺桜もち」が大ヒット商品となったり、歌舞伎や浮世絵にも桜をモチーフにした作品が広がるなど、桜への親しみは庶民の食や文化にも見られるようになる。

江戸時代に整備された桜の名所は、上野恩賜公園や隅田公園、飛鳥山公園など現代でも都内の桜スポットとして現存するところが多い。お花見シーズンの菓子や日本全国で楽しめるソメイヨシノという品種など、現在に直接続く「花より団子」なお花見のスタイルは、江戸時代の庶民によって形になったともいえそうだ。

■お花見の歴史を辿れるおすすめ花見スポット
今では全国津々浦々にそれぞれの魅力あふれる桜の名所が点在するが、今回はお花見の歴史にまつわるスポットを紹介しよう。

■吉野山の桜(奈良県吉野郡吉野町)
吉野山には、山桜を中心に約3万本の桜が下・中・上・奥の4カ所に密集している。「目に千本見える豪華さ」という意味で「一目千本」といわれ、それぞれ下千本、中千本、上千本、奥千本と呼ばれる。見どころは花矢倉からの遠望、吉水神社から如意輪寺方面への一目千本。中千本の谷を眺める景観も素晴らしい。

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【屋内・屋外区分】屋外
【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク・フェイスシールド着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設・会場内の対策】定期的な換気(店舗等)/共有部分の定期的な消毒・除菌/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/マスク着用



■上野恩賜公園の桜(東京都台東区)
上野の山は、江戸時代から桜の名所として知られ、四季を通じて自然を存分に満喫できる。桜は天海僧正が吉野山から移植させたといわれ、公園さくら通りを中心に約800本の桜が園内を彩る。【2022年の桜祭りは未定です。詳細は公式サイト等でご確認ください】

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【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒・検温/マスク着用
【その他】園内放送や立て看板で新型コロナウイルス対策を呼び掛け



■隅田公園の桜(東京都墨田区)
さくら名所100選にも選ばれている花見の人気スポット。江戸時代に8代将軍・徳川吉宗が桜を植えたのが始まりで、墨田区側に約330本、対岸の台東区側にも約600本の桜が植えられている。駅から近く、隅田川の両岸を約1キロに渡って桜並木が続き、東京スカイツリー(R)とのコラボレーションを楽しめる。夜には園内の桜がライトアップされ、幻想的な雰囲気が広がる。【2022年の桜祭りは未定です。詳細は公式サイト等でご確認ください】

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■草岡の大明神ザクラ(山形県長井市)
高さ14メートル、枝張り東西27メートル、南北22メートルと、人里に植えられた桜では全国で2番目の大きさを誇る、国指定天然記念物のエドヒガンの巨木。今から四百数十年前、伊達政宗が鮎貝の合戦の初陣にて敗戦し、この桜の洞に身を隠して難を逃れたといわれ、のちに家臣を送り桜の保護をしたという言い伝えが残っている。また、地元では農作業の種まき時に桜が開花するので、種まき桜とも呼ばれている。

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【スタッフ対策】手洗い・うがい・手指消毒/マスク・フェイスシールド着用/定期検温・体調管理の徹底/距離を意識した接客
【施設・会場内の対策】共有部分の定期的な消毒・除菌/消毒液設置
【来場者へのお願い】三密回避/体調不良時・濃厚接触者の来場自粛/咳エチケット/入場時の手指消毒/マスク着用/混雑時の入場制限/宴会禁止/ゴミの持ち帰り



■苗代桜(岐阜県下呂市)
苗代桜は別名を暦桜(こよみざくら)ともいい、下呂市の和佐地区、和佐大橋を渡った小丘に立っている。この桜は2本の巨木からなり、樹齢400年といわれ、県指定天然記念物となっている。苗代桜の名前の由来は、その美しい桜の開花を待って里人が苗代(稲の苗を作るための田)の準備を始めたというところから。水面に移る桜も美しく、飛騨・美濃さくら33選にも選ばれている。

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※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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