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Runny Noizeが初フルアルバム「HAKKIYOI!!!!!」発売。コロナ禍での挑戦と成長、今後の展望とは

  • 2021年12月24日
  • Walkerplus

Runny Noizeが、バンド初のフルアルバムとなる「HAKKIYOI!!!!!」を12月1日にリリース。収録曲のうち4曲にサウンドプロデューサーとして亀田誠治(東京事変)を迎え、これまでの活動の集大成であり、新たな挑戦が散りばめられた次への出発ともいえる渾身の1枚となっている。

本作には、洲崎貴郁(Vo/Gt)と山田健人(Vo/Gt)が、音曲漫才師・ラニーノーズとしてお笑いの道を進んできたからこそ実現できた遊び心あふれるアプローチがあり、また多彩な音楽ルーツを持つフクシマテツヤ(Vo/Ba)と児玉とみー優也(Dr)がいたからこそ生まれるエッセンスが込められているという。12月28日(火)には、なんばHatchでワンマンライブを開催。コロナ禍で本作はいかに生まれたのか、ライブへの意気込みとともに、今後の展望をメンバー全員に聞いた。

■プロデューサーに亀田誠治を迎えた、バンド初のフルアルバム
――フルアルバム「HAKKIYOI!!!!!」は、タイトルから印象的ですがどういった経緯で決まったのでしょうか?

洲崎「タイトルは曲が全てできてから決まりました。ジャケットのイラストは山田のお兄ちゃんが描いてくれてるんですけど、この絵が引っ張ってくれた感じで」

――ジャケットからタイトルが決まったんですね。

山田「珍しいですよね。いつも『絵を頼むわ』と特にリクエストせずお願いしているんです。それで今回はこのジャケットのイラストが送られてきて、メンバーもスタッフも気に入ったし、外国へ向けても伝わるんじゃないかということで決まりました。どうやら兄はちょうど相撲にまつわる仕事をしてたタイミングみたいで、影響受けて描いたみたいですね」

洲崎「なので、1曲目『Yobidashi(Ushers)』もタイトルが決まった後に作りました」

山田「裏面にある相撲の写真も、ギリギリ最後に決まりましたね。急遽撮りたいですって、スタジオをおさえてもらって」

――はじめてのフルアルバムというボリュームに加え、今回は新曲のサウンドプロデューサーに亀田誠治氏を迎えられています。これまでと違った制作になったのではないかなと思うのですが、特に難しかった点についてお聞かせください。

山田「個人的には『音の鳴る方へ』ですね。最初は単純なパワーコードだけやったんですけど、亀田さんのアレンジで押さえ方が難しいおしゃれなコードに大きく変わったんです。そのコードを覚えて弾くのが大変でした」

フクシマ「僕はベーシストとしてめちゃくちゃ憧れの存在やったので、亀田さんと接することがなにより苦戦しました」

山田「めちゃくちゃフランクに話してたやん」

フクシマ「一回、心を整えてからよ。亀田さんの神業の連発に感動してばかりで。それに怖いぐらい優しくて完璧な人でした」

洲崎「スタジオブースの中で僕らが演奏していたら、外で座って聴いてた亀田さんが、その場で思いつきはったのかブースに入ってきて『ここはこうしよか。ちょっとベース貸して』って。テツヤのベースでアレンジのアイデアを弾く場面があったんですけど、たぶんその時、めちゃくちゃ興奮したんちゃう?」

フクシマ「めちゃくちゃ興奮した」

児玉「間接ベースやん」

――あはは。憧れのあまり興奮の連続に。児玉さんはいかがですか?

児玉「僕は曲によってデスボイスだったり、ゾンビのモノマネをしたりするのが大変でしたね」

――『I fell in love with a ZOMBIE~俺はゾンビに恋をした~』のラストですね。

山田「なかなかゾンビのニュアンスを汲み取ってくれなくて」

児玉「誰もわからんわ。ゾンビなったことないのに」

山田「主人公が最後にゾンビになって目覚めました。遠くから歩いてきて気づいたら耳元にいます、ってシチュエーションの声がほしかったのに」

児玉「むずいで。役者ちゃうねんから」

山田「最初は小さい声で、間を開けて大きい声を出して欲しかったんです。それやのに最初からおっきい声出したりするから、最終的にはマイクから離れたところで声を出して、実際にマイクに近づいていく方法をとってましたね」

児玉「ゾンビの距離感わからんねん」

――そもそも亀田さんがサウンドプロデューサーで参加されることになったきっかけというのは?

洲崎「僕らのプロデューサーが、たまたま亀田さんと知り合いだったんです。久々に仕事場で再会した時に、亀田さんが『また一緒にしましょうね』と言ってくださったみたいで。それでプロデューサーが、『今、言いましたね?うち、こういうバンドやってるんですけど』と半分ダメ元でお願いしてみたらしいんですけど、それを快く受け入れてくださったと」

山田「もちろん、ちゃんと音源も聴いてくださった上で決めてくれたみたいで。いいバンドだねって」

――先程、少し苦労の面でのお話にもあがりましたが、実際に亀田さんと制作されていかがでしたか?

洲崎「亀田さんが僕らのことをわかってアレンジしてくださってるので、違和感なく制作にも取り組めましたね」

フクシマ「制作は亀田さんからプリプロ音源というものが届いて、それを僕たちがこうしたいという意思を込めて自分たち流に作っていくんですね。その段階でもう『どうやって直したらええねん!』ってぐらいの完成したものが届くんです。普段は、弾くリズムをみんなでそろえたりするんですけど、亀田さんが作ってくれたのは、それぞれのパートがそれぞれのことをしている。役割が4人分あるので、ライブでやっても一際クオリティが違うようなアレンジをしてくれていたんです」

山田「増やしたくなるようなところを削ってシンプルにしたりね。『The Name』は、ギター1本でやってるんですけど、僕らやったら2本でやってたはずやし」

洲崎「僕らから送った音源は、2本やったもんな」

山田「そう。それが1本になっていて、『暇なんです。増やしてください』言うたら、『暇でいいじゃないか』って(笑)。ほかの曲でも、もっとごちゃごちゃしていたのをクリアにしていただいた。引き算の美学でしたね」

児玉「音数を減らしていこうとか、フレーズが多かったところを『減らすともっとよくなる』と言われて試してみたら実際に他の楽器の役割がよく聴こえたり。とても勉強になったな」

――選曲はスムーズに?

山田「亀田さんの『Love & Peace』『音の鳴る方へ』『Star Betray』『The Name』は、いくつか作って送らせていただいた中から選んでいただいた。それ以外の新曲はどんどん作っていった感じですね。過去曲は、ひとつのアルバムから2曲ずつ選びました」

洲崎「初めましての人でも、どんなバンドか知っていただけるようにね」

山田「MVにある曲だけを選んでもよかったんですけど、なってない曲でもいい曲あるしなって。あえてMVを作っていない曲も選びました」

――このアルバムで過去のバンドも振り返るように。新曲は何かテーマやコンセプトがあってなのか、それとも作りたいものを作っていった感じですか?

児玉「ある意味、アルバムのタイトル通り『はっきょい、ドーン!』で作ったような感じですね」

山田「作りたいものを作ったらできた感じやね」

洲崎「毎回、どういうアルバムを作ろうかという作り方はしないんです。『Drunken Bum』と『Thank you』は、昔からある曲なんで、これは入れたいなと話し合いながら作りました」
■コロナ渦での影響と変化。挑戦と成長の新作
――コロナ渦での制作となりましたが、楽曲制作のアプローチって変わりましたか?

洲崎「『Days』は、歌詞の内容がまさに影響を受けていますね。みんな自粛生活とかでフラストレーションが溜まってるんじゃないかという思いを込めて書いたので」

フクシマ「『Love & Peace』は、今のうっとうしいご時世から外で裸で騒ぎたくなるような、明るい曲にしようとしました」

山田「僕は…勇気を出して言います。影響は受けて無いですね」

フクシマ「勇気出したな」

山田「ずっとやりたかったことをやっただけなんですよね、ほんまに。『I fell in love with a ZOMBIE~俺はゾンビに恋をした~』と『Drunken Bum』は昔からあって、いつかしっかりやりたいなと思ってたので作ったり。ずっと自分の中でやりたくてもできなかったのを、これをチャンスにできた感じです」

児玉「僕はレコーディングがこれまでと違っていたかなと。だいたい前日に曲が出来上がって、すぐ翌日にレコーディングということがあるんです。今回はコロナがあって、レコーディングできるまでの期間が延びたことで逆にちゃんとやりたいことを考えて、細かいことまでしっかりと意思も込めて作れたと思います」

山田「テツヤの家の横に作業部屋があって、そこで作れたり、今までより丁寧にアレンジの段階からできたよな」

フクシマ「むしろ集まって作れたと思いますね」

――バンドも芸人活動もこれまでに比べて少なくなってしまったからこそ、逆に時間がとれたのですね。

洲崎「しっかり準備したり、集まって作る。むしろ今までそれをやってこなかったことが考えられないぐらい大事な作業だなと。それを実感できたのは成長できたところですね」

フクシマ「やっと僕たちもこれだけ準備して作ることができるフェーズに来たかなと」

山田「ミニアルバム3枚を経て、ようやくやな(笑)」

――今作を機に成長した部分って他にもありますか?

フクシマ「個人的にはベースのテクニックが変わりましたね。亀田さんに教えていただけて、アプローチの仕方を考えるようになりました。例えば、僕のベースが、あるところでピッチがよくなかったんですね。下から上にスライドさせて辿り着かせる奏法なんですけど、辿り着いた先って必ず音が低くなるんです。それをもう1回、上にたどり着いた先でピッキングしようとか。細かい、より丁寧な演奏になるように教えてもらいましたね。あとは、スタッカートという音を切るような奏法も、『君がやってるのはスタッカートじゃなくて、ただ短く弾いてるだけやから、こうやって弾くんだよ』とか」

山田「そんなん言われてたんや」

フクシマ「めちゃくちゃ勉強になりました、ほんと」

山田「パワーコードだけじゃないアプローチの仕方も学べたけど、それも適材適所やと思うのでどこでどれを使うかという選択肢ができました。亀田さんに教えてもらったコード進行ばかり使いまくるのは違うと思うので、それを知れただけでも成長なのかなと」

児玉「僕は音数を減らす部分で、以前やっていた曲でも一部で音を減らしてみたりするようになりましたね。もっとシンプルに、難しくしないほうが伝わるんやろうなとか」

洲崎「結局は、真似事と言われたらそこまでなんですけど。亀田さんのアレンジがすごく勉強になったので、『The Name』のアレンジしたいただいた時に、ベースでハモリフレーズを弾くのがかっこいいなと思って、『Days』でも取り入れました」

――アルバム内でさっそく成長したところを採用することもあったのですね「この曲のここを聴いてほしい」など、こだわったというポイントも教えていただけますか?

山田「やっぱりゾンビの部分ですね…」

児玉「お前が言うな!」

洲崎「あはは。僕はやっぱり『The Name』ですね。令和喜多みな実の野村さんが、僕の息子が生まれた時に生まれ年のギターをくれたんです。大きなったら弾かせてあげてくれって。この曲は自分の息子の曲なので、絶対にそのギターで弾きたいなと思い、東京まで持っていってそのギターで弾きました」

フクシマ「僕は『Drunken Bum』。酔っ払いの曲を描きたいから下手に弾きたいとなったけど、下手に演奏するというのが難しくて全員で楽器を入れ替えたんです。それを、聴きどころというか。めっちゃ下手なんで聴いてほしいですね」

山田「そういう遊び心は今までと違う感じかな。最後にゾンビが脅かしにくるとか。不快な人がいるかもしれないですけど、ゲップの音が入っていたり。最後の曲も“Thank you”って言ってるのかと思いきや、普通じゃありえない曲になってたり。そういう遊び心がある、おもしろいアルバムというのも今までとは違うエッセンスではありますし、こだわったところですね」

児玉「『Star Betray』のサビがエフェクトシンバルで、パコンという音が入ってたんですけど、収録した段階で音が小さかったんです。それをもうちょっと上げてほしいと言ったら、『ちっちゃくていいんじゃない?』と言われて。でも、『これは星をイメージしてるんです!』って無理矢理あげてもらったぐらいこだわりました」

洲崎「あはは(笑)。流れ星の歌やもんな」

山田「今思うと、ゾンビとゲップはお笑いをやってるから、ふざけても周りが許してくれたのかなと思うところがありますね。洲崎がゲップを無限に出せるというので、いろんなゲップをレコーディングして一番聴き心地のいいゲップを選んだ。みんなは入れん方がいいと言ってたけど、僕は絶対に入れたいと」

フクシマ「いまだに不快ですけどね!ぼくはまだ許してない」

山田「許してなかったんや(笑)」

洲崎「ジャケットであったり特典のティッシュケースとかは、吉本ならではな感じもしますね」

フクシマ「芸人としてお笑いを二人がやってるからこそ、ダサいこともかっこよくできるのはいいことかなと」

山田「できてないけどな(笑)」

フクシマ「俺、音楽会社やったらキレるもん!」

山田「ジャケットもこだわってますが、歌詞カードもこだわっていて。曲ごとに担当した人が、歌詞カードもデザインしてるんです。手書きで歌詞を書くのか、デジタルであればフォントやデザインも指定して作っています」

洲崎「使う画像とかも全部こだわってね」

児玉「テツヤが担当した曲は、僕が絵を描きました。もともと描くのが好きで、最近はあんまり描いてなかったんですけど、別のバンドとかRunny Noiseのグッズでも描くようになったので」

山田「この時代にCDをわざわざ作る以上は、そうやってブックレットを自分たちで作り続けたいし、価値のあるものにしたいですね」

洲崎「CDならではのね」

――お笑いの活動が生きている部分があるということでしたが、児玉さんやフクシマさんが別でバンド活動しているからこそのいい影響も?

山田「パンクしか聴いてきてない二人じゃなくて、他のジャンルも好きなところはバンドにいい影響を与えてくれてますね」

――というと?

山田「2人はファンクバンドやってたり、ジャズが好きやったりするんですね。僕らみたいにパンクロックしか聴いてないメンバーだけやったら、作れないであろう曲とかアレンジがこの2人のおかげでできている。そこは2人がいるからこそ違うエッセンスがあって、おもしろくなってると思うなぁ」

フクシマ「ありがとう」

■12/28(火)ワンマン開催!今後の展望も
――新曲含め音源の曲が、ライブでどうなるのか楽しみです。

洲崎「新曲をバンバン入れて、やっていけたらなと思います。会場のなんばHatchは大きい規模ですし、初めての会場なんでプレッシャーも不安もあります。けど、やっぱり楽しみの方が大きいですね!」

――初のフルアルバムがこれまでの集大成であり、チャレンジや成長のきっかけにもなり、バンドとして新しいフェーズへの出発点になっているように感じました。まずは、なんばHatchでの単独公演を成功ですね!今後の展望もすでにあるのですか?

洲崎「この調子でどんどんキャパを広げていって、バンドとしても大きくなっていきたいですね。いよいよ武道館なのか、とかね」

山田「いつか亀田さんと対バンをしたいなぁ。亀田さんにプロデュースしてもらった曲で、テツヤのベースを奪って亀田さんが弾くみたいなことがあったりして…」

フクシマ「あんの!?めちゃくちゃ興奮するな。ぼくはバンドとしても個人的にも友達が少ないので、友達がほしいです」

山田「僕は海外でのライブもしたいと思ってます。音楽留学で10年前にカナダに行って、その時にお世話になった人たちがいるのであっちでライブしたり、海外を回りたい」

児玉「Spotifyでは、僕たちの曲ってサウジアラビアで一番聴かれてるみたいなんで、行ってみたいですね。個人的には台湾にも行きたい」

洲崎「それは旅行で行きたいだけやろ!」

フクシマ「一昨年ぐらいに連れて行ったら好きになってもうてんな。海外もいいですけど、僕は風呂とトイレが綺麗なところなら行きたいですね」

洲崎「そうやった。潔癖症なん忘れてた」

――Runny Noize主催でサーキットとかフェスを開催してほしいなとか勝手に思ったり。バンドに限らず、お笑いやほかのエンタメやアートが融合したような。

山田「それはやりたいですね!」

洲崎「いいですね!会場を大きくしていくのもそうなんですけど、バンドとしても広がっていっていろんな人に、たくさんの人にライブを観ていただけるようになりたいので」

フクシマ「友達、いっぱいつくらないとな!」

取材・文=大西健斗

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