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スター街道ばく進中!「キウイブラザーズ」の制作チームに聞いた舞台裏

  • 2021年9月8日
  • Walkerplus

雑誌の付録になれば本は完売、おまけにつけたフィギュアや雑貨は入手困難、SNSでも大人気というゼスプリ インターナショナル ジャパンのキャラクター「キウイブラザーズ」。CM総合研究所が発表した2020年のCM好感度ランキングでは作品別総合第1位を獲得したこの人気キャラクターの制作を担当した電通のクリエイティブディレクター・北田有一さんに、キャラクター制作の舞台裏とこれからの展望を伺った。何がこんなに私たちの心をとらえるのか。「キウイブラザーズ」の魅力を解剖!

■キウイの魅力って何だろう?400種類以上の世界のキャラクターを比較検討
「キウイブラザーズ」は、ニュージーランドからキウイを輸入しているゼスプリ インターナショナル ジャパンがキウイをもっと知ってほしいという思いから生まれたキャラクター。「ゼスプリのマーケティング部長であった猪股可奈子さんと話し合いを重ね、ブランドの記号となるようなキウイのキャラクターを作ることにしました」と北田さん。その後、アートディレクターの関戸貴美子さん、コピーライターの木下舞耶さんと共に、キウイを魅力的に見せられる形は何か?を考えたそうだ。

そうして生まれたのが「キウイブラザーズ」の原型。「キウイの外見は茶色でそんなにかわいくはないのですが、逆に、切り口は鮮やかで、美しい緑や黄色をしています。それが印象に残るようなキャラクターにしたいと考え、マペットのデザインにたどりつきました」。

また、400種類もの世界のキャラクターとも比較検討。「特徴である『切り口』を見せながら、普遍性のあるデザインを模索しました」と振り返る。「10年後には古くなるようなものではダメだとも考えましたね」。

■キャラクターの「性格」は重要。誰からも愛されるものでなければ…
「キウイの魅力をデザインしたマペットで行く」と決めた北田さんたち。次に重要だと考えたのは「性格です。テレビCMを作るために細かく設定をしていきました」。キャラクターといえば子供向けにしてしまいがちだが「キウイはお年寄りから子供まで幅広い年代から愛されているものなので、誰もが共感できることが大切」だということから「大人と子供の間、18歳くらいのやんちゃな若者というイメージにたどり着いた」そうだ。

こうして細密に生み出された二人の性格は、まじめで正義感の強いグリーンと陽気でのんびりした甘えん坊のゴールド。

ちなみにブラザーズと名乗っているが、実際は兄弟ではなく「コンビ名」なのだそう。

■一発屋にだけはならないように、最初の3年は土台作りに専念
2016年5月に誕生した「キウイブラザーズ」。ここで注意したのは「一発屋にならないこと」だった。「CMの場合、歌ったり踊ったりして一瞬人気者になることは難しくありません。それを飽きられずに長く愛されるキャラクターに育てることが重要なので、最初の3年間は特にその土台作りに力を注ぎました」。

■ブレイクを感じたのは、2本目のCMが流れた朝!
登場以来、徐々に世の中に知られるようになっていった「キウイブラザーズ」。その姿は「まるでメジャーになる前のアーティストのようでした。少しずつ人気が出ていったんですが、ある朝、びっくりしたことがあったんです」。

それは、2本目のCMが流れた日。「これまでSNSなどにほとんどひっかかってこなかった『ゼスプリ』というワードが急上昇していたんです。これは本当にうれしかったですね」とブレイクした瞬間を振り返る。そのCMが、ゼスプリ キウイ TVCM 2016 #02 「キウイはビタミンだけじゃない」フルーツトーク篇だ。


フルーツ売場に初めてやってきた「キウイブラザーズ」が先輩果実に挨拶するところから始まるこのCM。キャラクターのまじめな性格はもちろん、キウイはビタミンだけじゃなくほかの栄養価も高い点を紹介。「ぱっと見ジャガイモだけどやるね、と言うリンゴに対して『ジャ、ジャガイモ!?』と自分たちの姿に衝撃を受けたセリフが、最初のファンの獲得につながりました」。

気になる売り上げも「キウイブラザーズ」を導入してから、ほぼ毎年伸びているそうで、キャラクターの役割を見事に果たしている彼ら。「日本生まれの『キウイブラザーズ』ですが、今ではヨーロッパや韓国など、幅広い国のゼスプリの広告に登場しています」。

■思い出深いCMはこの3つ。どんどんステージが変わっていくのを実感
「キウイブラザーズ」が人気を博していくなかで、特に思い出に残った好きなCMはどれですか?と聞くと「先ほどあげた『フルーツトーク篇』(2016年)、そして、『みんなでアゲリシャス篇』(2019年)、『好きなことを楽しみながら篇』(2020年)の3本ですね」と北田さん。


「これらは『キウイブラザーズ』のステージがどんどん変わっていくきっかけとなったCMなんです。例えば『フルーツトーク篇』は初期ファンの獲得、『アゲリシャス篇』は、歌とダンスで本当の意味でのメジャーデビューを果たしたCM、次の『好きなことを楽しみながら』篇は、ただのCMではなく、見ている人の健康やライフスタイルに寄り添う国民的ヒットキャラクターとして次のステージへと進んでいった、そんな3本なんです」

『好きなことを楽しみながら』篇では、「ヘルシーを楽しもう」をテーマに、足つぼマットに乗って悶絶したり、ジョギングをしてヘロヘロになりながらも汗を流したりする彼らの姿が。挫折してしまうことも多い健康への道だが、CMではストイックになりすぎるのではなく、楽しみながら健康になろう、その傍らに栄養いっぱいのキウイと僕らがいるよ、という寄り添うキャラクターへと進化しているのがよくわかる。

2021年春に公開された最新のCMでは、より楽しんで健康になろうというメッセージがさらにくっきりとパワフルになった。


ジャクソン5風の軽快なコマーシャルソングは、なんとカラオケ版も登場!歌詞の意味がより強く伝わってくる仕掛けだ。


■誰もが夢中になった『アゲリシャス』というヒットワード、その意味は?
2本目に北田さんが選んだ『アゲリシャス篇』では、「アゲリシャス」というヒットワードを生んだ。

「これは『気分がアガる、デリシャスなキウイ』の造語です。定番のフルーツであるがゆえに、キウイは平凡なものという印象を多くの方に持たれてしまっていたんです。しかし、本来ゼスプリでは、安定しておいしいキウイを届けるために数えきれない品質管理の進化や企業努力を続けており、実際に年々キウイがおいしくなっていることに気づいているお客様もいらっしゃった」とそれまでのキウイの立ち位置と企業の取り組みを語った北田さん。

そこで「キウイを食べた後の感想を、新しい言葉で定義してみよう」ということからスタート。まず、2000案以上の言葉の中から、キウイを食べた時の『高揚感とおいしさ』が最もよく伝わるものを探し、最終的に『アゲリシャス』をフレーズに選んだんです」。

次に、その気分が最もよく伝わる曲は何か?と考えて選んだのが、2004年に世界中で大ヒットしたモルドバ出身の音楽グループO-Zone『恋のマイアヒ』だ。「この曲の気分がアガる感じとハッピーな雰囲気がぴったりだということで、替え歌に使うことに決定しました」。

時はちょうど「メジャーになるぞ」という予感に満ちたタイミング。「耳に残る曲とダンスはCMの王道でもあるので、ちょっと懐かしいメロディと現代的でマネしやすいダンスを掛け合わせて新CMを作りました」。

楽しいダンスとキャッチ―なメロディだけでなく、抑揚をきかせた真似したくなる歌声が見事にはまり、CMに登場するダンスや歌をマネする人たちがYouTubeなどで急増。公式にダンス動画を募集したキャンペーンでは、6万5000件以上の応募があったそうだ。

『恋のマイアヒ』以降、ミュージカル風だったりフォーク風だったりとオリジナル曲も耳に残るものばかり。「人気キャラクターには、必ず有名なテーマソングがあります。『キウイブラザーズ』の場合は、日常的にくちずさみたくなるような、時代の気分にあった鼻歌のようなものを目指しています」。

■グッズは入手困難なお宝だらけ!
「キウイブラザーズ」はグッズでも大人気。シールを集めて応募するキャンペーンは、毎年行われ、常に話題を呼んでいる。パッケージにも登場し売場でもかわいさいっぱいだ。

「スーパーの店頭に装飾しているぬいぐるみは、人気がありますね。ほかにも、バケツやシール、トランプ、バスタオルやマルシェバッグなど、いろいろなグッズがありました。2019年と2020年はキウイ9個と一緒にフィギュアが1体ついてくるキャンペーンも行い、これも大好評でした」

普段使いが出来る日用品からフィギュアなどのトイ雑貨まで、オリジナルグッズはどれも暮らしの中で楽しめるものばかり。北田さんは「テレビCMは一斉に流れて多くの人と接するものですが、グッズは違う。1対1のパーソナルな関係になるものなので、ディテールがより重要。アートディレクターの関戸が、もらった人が長く大切にしたくなる、普遍的なデザインにすることを心がけてくれています」と答えた。

ぬいぐるみを作った時は「口の開け方や角度、目とまゆの比率などで大きく印象が左右されるので、使用する素材からパーツ、全体のバランスまで、何度も試作しました。これは完成までに時間がかかりましたね」と振り返った。

■今後もキャラクター広告の歴史を塗り替えるCMを仕掛けたい!「キウイブラザーズ」からもコメントが到着!

「キウイブラザーズ」が誕生して今年の5月で6年目に突入。今後はどんなCMが登場するのだろう。

「中・長期的に愛されるキャラクターにする当初の目標からすると、ようやくスタートラインに立った感覚です。今後も『ヘルシーを、やみつきに。』というブランドコンセプトを伝えるための展開を続けたいと思います。普遍性を保ちながらも、キャラクター広告の歴史を塗り替えるような進化を仕掛けていきたいですね」とこれからも続く「キウイブラザーズ」の展望を語った。今後のキャンペーンやグッズも楽しみだ。

そして、北田さんが「キウイブラザーズ」からのコメントも届けてくれた!

「オレたちの広告も6年目なんだって!うれしすぎて、目から果汁があふれそう!!フルーツ売場を盛り上げるためにこれからも頑張るから、応援よろしくね!スーパーで待ってます!!!」

取材・文=田村のりこ

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