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植田正治写真美術館の見どころを解説!世界的写真家の作品でアートな休日を

  • 2020年7月16日
  • Walkerplus

写真界の巨匠・植田正治(1913〜2000年)は鳥取県出身。写真発祥の地とされるフランスでは、独自の作風が日本語表記そのままの「Ueda-cho」(植田調)という言葉をもって紹介されるなど、世界的に注目を集め高い評価を得ている。

その功績をたたえ開設された植田正治写真美術館は、2020年に25周年を迎えた。植田正治から寄贈された約1万2000点の作品を収蔵・展示。建築家・高松伸氏による自然景観を生かした設計で、カメラの原点であるカメラ・オブスキュラを体感できる展示室もある。

植田正治作品のファンはもちろん、建築デザインや伯耆町の心なごむ風景に惹かれる人も満足させてくれる、アートな空間をたっぷり紹介しよう。

※記事内で紹介している展示やアトラクション、イベント、施設等は、休止・中止または内容が変更になっている場合があります。ご注意ください。

■【見どころ1】偉大な写真家の軌跡をたどる作品展示
エントランスを入ると、まずは1階のD展示室へ。「植田正治物語−写真するボク−」と題したコレクション紹介展示が鑑賞できる。

画家を夢みながら、写真の焼き付け現像にも熱中していた少年時代の作品を展示する「1.画家になりたい」からスタートし、戦前、戦後の作品、晩年の作品を展示する「12.写真すること」まで、12のセクションに分けて紹介。

港や漁師のいる身近な風景を撮影した写真に、鳥取砂丘をホリゾントとした演出写真、造形にこだわり民具などを撮影したシリーズ<かたち>、70歳で挑んだファッションの広告写真など、年代やシリーズごとの作風の変化を楽しめるようになっている。

特に注目したいのは、セクション3「ボクの写真」に展示されている「少女四態」(1939年)。空を背景に並んだ少女の、思い思いのポーズと視線が思わせぶりでユニークな印象を与える。

そして、セクション4「綴方・私の家族」で鑑賞できる「パパとママとコドモたち」(1949年)。植田正治自身も左端に入って家族を一列に配置したシンプルな構成だが、奥行きの感じられない画面の中から、不思議とほのぼのとした家族の空気感が伝わってくる。

館長の青井洋一さんの解説によると、「この2枚の写真は弓ケ浜で撮影されたものです。のちに高い評価を得た鳥取砂丘を舞台とする群像演出写真など、独特の空間構成と演出を特徴とする植田スタイルを確立していくうえで、まさにその萌芽となった代表作と言えるでしょう」とのこと。

さまざまな技巧を凝らしたモノクロ写真が多いが、2000年に撮影された「5分間の軌跡」はカラー4枚組みの連作。生家のアトリエのオブジェに射し込む光の移ろいを切り取ったものだ。

アマチュアリズムと評された創作態度を貫き、「写真することがとても楽しい」を口癖とした植田正治。最後まで創作意欲と実験精神を持ち続け、およそ70年にわたり、観る人の心を揺さぶり続けた写真家の軌跡をたどってみよう。
※2020年9月16日(水)〜11月30日(月)は貸出展示のため、コレクション紹介展示「植田正治物語−写真するボク−」の展示はありません。また、企画展の開催期間に合わせて、コレクション紹介展示作品の一部入れ替えがあります。

■【イベント】多面的な魅力に触れる企画展にも注目
A・B、2つの展示室のある2階と、3階C展示室では企画展を開催。2020年7月18日(土)〜11月30日(月)までは「異国にて 植田正治と海外」と題して、ヨーロッパやアメリカ、中国などで撮影された作品が展示される。

「植田正治は山陰にこだわり続けた写真家として知られていますが、1974年には二度のヨーロッパ旅行での作品をまとめた『植田正治小旅行写真帖 音のない記憶』を出版しています。本企画展ではシリーズ<音のない記憶>をはじめ、これまでご観覧いただく機会の少なかったアメリカや中国で撮影された作品をご紹介します」と青井館長。

また、植田正治の作品は、1950年代から書籍や展覧会を通して海外で注目を集め、1980年以降には個展の開催や雑誌での単独特集も組まれている。どのような作品がどのように紹介されたかをたどりながら、海外でいかに高く評価されてきたかを振り返る構成も興味深い。

■【見どころ2】カメラの構造を学び、記念撮影も!
2階には作品展示のほかに、人気を呼ぶポイントが2つ。

ひとつ目は「映像展示室」。壁面に直径600ミリ、総重量625キロ、全長73.22センチを誇る世界最大規模のカメラレンズが設置されていて、その反対側の壁にはレンズを通して見たリアルタイムの風景が逆さまに映し出されている。

つまり、この部屋はカメラの内部構造を再現したもので、カメラの原点である「カメラ・オブスキュラ」の中に立っているということ。鑑賞できる風景は、もちろん「逆さ大山」だ。

また、200インチの大型映像システムも搭載されていて、写真の歴史と映像を紹介するプログラムが10時30分から30分間隔で上映されているので要チェック。

ふたつ目は「記念撮影スポット」。黒い帽子のシールが貼られた窓の向こうには、美しい大山がそびえている。傘やステッキといった小物も用意されているので、植田作品のようなスタイリッシュな写真に挑戦してみよう。
※2020年6月現在、新型コロナウイルス感染防止のため、撮影スポットには小物を置いていません。

作品鑑賞や記念撮影などを満喫してひと休みしたくなったら、テーブルと椅子が用意されたラウンジへ。自動販売機もあるので、ゆっくりとくつろげる。

■【お土産】美術館オリジナル商品がおすすめ!
1階にはミュージアムショップがあるので、必ず立ち寄っておきたい。植田作品のポストカード(各税込180円)やポスター(税込600円〜)などは部屋に飾ると存在感を放つので、お手軽なインテリアに。

青井館長のイチ押し商品は、植田作品122点が収録された美術館オリジナル フォト・ダイアリー「DAY BY DAY」。真っ白(赤い帯付き)の通常版(税込1540円)と、背表紙からひらの出がブルー(青い帯付き)の特装版(税込1760円)の2種がそろう。

日々のなにげない出来事やうれしかったこと、美術館での楽しい思い出など、自由に書き留めよう。 お気に入りの作品とともに、幸せな気分に浸れるはずだ。

■【攻略法】優れた作品と自然景観を同時に楽しむ
まるで連なる4つのオブジェのようにも見えるコンクリート打ちっ放しの建物が、“伯耆富士”と称される美しい大山を背景として、広大な田園風景の中に溶け込んでいる。

植田正治写真美術館の個性的なデザインは、隣の島根県出身で世界的建築家の高松伸氏によるもの。この建物自体に興味を惹かれる人も多いはずだ。

「当館は展示室を設置した4つの棟と、その間を結ぶように配された3つの池で構成されています。これは、お客様が展示室から展示室へと移動して作品を巡る合間に、水面に映る名峰・大山をお楽しみいただける仕掛けなのです。終生、鳥取県を離れず、山陰の空・地平線・砂丘を背景に演出した植田正治の作品とともに、伯耆町自慢の豊かな自然景観をご堪能ください」と青井館長が提案してくれた。

館の外へ出たら、建物自体の写真を撮るのもおもしろいし、友達同士や家族で大山や田園風景をバックにスナップ写真を撮り合うのも楽しい。

展示作品を鑑賞するだけなら、所要時間は15分の映像展示を含め約1時間。じっくりと鑑賞して記念撮影や買い物も楽しむと2時間はあっという間なので、山陰旅行のコースに加えるのもおすすめ。

開館時間は10時から17時(最終入館16時30分)、定休日は火曜(祝日の場合は翌日)・12月1日〜2月末・展示替え期間。入館料は一般1000円、高校・大学生500円、小・中学生300円。

■【アクセス】ドライブや旅行のコースに加えよう
車でのアクセスは、米子自動車道大山高原スマートICより約3分、米子自動車道溝口IC・米子ICからは約15分。館には普通車100台収容可能の無料駐車場があるのもうれしい。

公共交通機関で訪れる場合は、JR伯備線岸本駅よりタクシーで約5分、JR山陰本線米子駅よりタクシーで約20分。米子駅を利用するなら片道1台2000円の定額タクシーがお得。米子駅からの片道は駅構内の米子市国際観光案内所、美術館からの片道は美術館の受付窓口へ、それぞれ当日申し込みを。

高速バスを利用する場合は、米子自動車道大山PAより徒歩15分。米子鬼太郎空港からはタクシーで約45分。

■【新型コロナウイルス感染拡大予防対策】
・入館の際は、マスクの着用をお願いします。
・入口等に設置している消毒剤で手指の消毒をしてください。
・感染防止のため、壁や展示物に触れないようお願いします。
・外気取り入れによる換気を実施しております。
・館内のトイレ、手すり、ドアノブなど手指が触れる機会が多い場所を中心に、定期的な消毒清掃をしております。

取材・文=藤田房子

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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※2020年5月時点の情報です。

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