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南岸低気圧とは 雨や雪になる条件 この冬の発生可能性についても気象予報士が解説【動画あり】

  • 2023年12月15日
  • tenki.jp

普段雪の降らない本州の太平洋側の地域に、大雪をもたらすことのある「南岸低気圧」について、気象予報士が徹底解説します。南岸低気圧の概要とメカニズム、南岸低気圧通過時の雨か雪になる条件、南岸低気圧通過時の注意点について確認しましょう。さらに、今シーズンの南岸低気圧の影響の傾向についても解説します。


南岸低気圧とは 本州の太平洋側に大雪をもたらす気象現象

南岸低気圧とは、日本列島の南を発達しながら東〜北東に進んでいく低気圧のことをいいます。南岸低気圧が日本付近を通過する時、日本列島の太平洋側を中心にまとまった雨や雪を降らせる特徴があります。
この低気圧が通過するタイミングで、冷たい寒気が日本列島を覆っていると、降るものが雪になり、普段雪が降らない関東地方などの太平洋側の地域に雪をもたらします。
そのため、冬に関東地方に雪をもたらす現象はほとんどが南岸低気圧によるものです。

雨か雪になる条件 湿度が低いと気温が高くても雪になる

南岸低気圧の通過時に雨か雪になるかは、気温と湿度によって決まり、湿度が低くなればなるほど、高い気温でも雪になりやすいという性質があります。

湿度が100%に近いときは地上気温が0℃から2℃ぐらいでみぞれや雪に変わりますが、湿度が50%前後だと地上気温が5℃から6℃ぐらいでも雪に変わることがあります。
関東では、6℃を下回ると湿度と雪の可能性あるといわれています。

関東で雨か雪か 低気圧経路と八丈島の関係

低気圧の発達度合い、進む速度、気温の低下、湿った空気の流れ込みなどで変わるものの、関東で大雪になるかどうかの目安の1つとして、南岸低気圧の進路と八丈島の位置関係があります。
パターンは以下の3つです。

①南岸低気圧が八丈島の北を進む場合、関東には低気圧の降水域がかかり、暖かい空気も流れ込みます。そのため降るものが雪ではなく、雨になりやすいです。

②南岸低気圧が八丈島の少し南を進む場合、関東には降水域がかかる一方、北から冷たい空気を引き込みます。そのため雪が降りやすく、時には大雪になることもあります。

③南岸低気圧が八丈島の南を進む場合、降水域そのものが、関東の陸地まで届かず、雪も雨も降らないことが多いです。ただ、冷たい空気が南下するため、関東では、雲が広がりやすいです。

2023年から2024年の冬は? エルニーニョ現象で南岸低気圧が多い傾向

2023年春からエルニーニョ現象が発生していて、この冬もエルニーニョ現象がつづいています。
エルニーニョ現象が発生しているときの冬は、西高東低の冬型の気圧配置は持続しにくく、低気圧が日本付近を通過しやすいという特徴があります。

2023年12月から2024年2月までの3か月予報によると、2024年1月から2月にかけては、本州の太平洋側の地域の降水量は「平年並みか多い」予想となっています。これは、南岸低気圧による降水が多く予想されていることを意味しています。
寒気の入るタイミング次第では大雪になる可能性があるため、事前の備えをするようにしてください。

南岸低気圧は大雪災害をもたらすことも

南岸低気圧は、大雪災害をもたらす可能性があります。

2014年2月7日から8日と、2月14日から15日は、南岸低気圧が通過した影響で、西・東日本の太平洋側で雪が降りました。2月7日から9日にかけての雪では、東京都心で27センチ、千葉県千葉市では観測史上1位となる33センチの積雪を観測しています。
翌週の14日から16日にかけては、内陸部を中心に前週を上回る記録的な大雪となり、山梨県甲府市では過去最多の倍以上となる114センチの積雪が観測されました。

当時、日本列島が強い寒気に覆われていたことに加え、本州の南海上を低気圧が急速に発達しながら通過してまとまった降水となったことが、大雪の主な原因と考えられています。
道路や鉄道の通行止めで複数の地域が長期にわたって孤立状態に陥ったり、亡くなられた人もいたりと、各地で大きな被害が発生しました。

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