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2023年しし座流星群 夜空を70km/秒で駆け抜ける流れ星 見頃・特徴・観測ポイントは?

  • 2023年11月16日
  • tenki.jp

2023年しし座流星群が、まもなく見頃を迎えます。例年、11月に活動するしし座流星群。明るい流星の出現が多い流星群で、流星が流れた後の余韻まで楽しむことができます。

流星の観察には、流星群の活動の動向だけでなく、月明かりや天気などの影響も考えておく必要があります。ポイントを押さえて星空観察を満喫できるよう、この記事ではしし座流星群に関するお役立ち情報を紹介します。

2023年しし座流星群の見頃や観測のコツ、基本情報についても解説しますので、ぜひ星空観察の参考にしてください。

2023年しし座流星群の見頃は11月18日・19日未明〜明け方!週末に観測チャンス

しし座流星群は例年、11月6日〜30日ごろにかけて活動します。2023年のしし座流星群は、11月18日(土)の午後2時ごろに極大(活動のピーク)を迎える予想です。

極大となる時間が日中であるため、残念ながら流星が流れても肉眼で確認することはできません。また、辺りが暗くなっても、月明かりが影響する時間帯は、流星観測には不向きとなります。そのため、2023年しし座流星群の見頃は、月が沈み放射点(※1)が高くなる18日(土)・19日(日)未明〜明け方の時間帯です。

その日の天気によっても天体観測のしやすさは変化するため、ぜひ地域ごとの星空指数(その日の夜空が天体観測に適しているかを表す指数)も参考にして、観測の予定を立てましょう。

2023年しし座流星群における流星の出現予想数は、よい条件で観測できても1時間に3個程度。決して多いとはいえませんが、月明かりの条件には恵まれています。粘り強く観測を続ければ、しし座流星群ならではの明るい流星を目にできるかもしれません。

※1:流星群の流星が四方八方に流れるその中心となる点のことを「放射点」と呼びます。この放射点の高度が高くなるほど、流星の出現数が増えます。


スピードは速いが「余韻」を楽しめるかも?しし座流星群の3つの特徴を紹介

■スピードが速い
しし座流星群の流れ星の速度は秒速約70km。1秒間に約70kmも進みます。主要な流星群の中で、最もスピードが速い流星群とされています。

流星物質(流星の元となる小さな天体)自体の流れの速さは、速いもので秒速約40km程度です。この流星物質は、秒速約30kmである地球の公転とほぼ正面衝突するため、地球大気へ流星物質が衝突するスピードが秒速約70kmに及びます。スピード感あふれる流れ星を見逃さないようにしたいですね。

■明るい流れ星が出現しやすい
明るい流れ星が出現しやすい点も、しし座流星群の特徴のひとつ。「火球(かきゅう)」と呼ばれる、ひときわ明るい流れ星を観測できるチャンスです。

■「流星痕」の観測チャンスあり
明るい流れ星が流れた後、その軌跡上に淡く輝く雲のような痕跡が残ることがあります。「流星痕」と呼ばれるこの現象は、特に -3等級(※2)以上の火球にともなうことが多いといわれています。そのため、火球が多く出現するしし座流星群では流星痕の観測チャンスがあります。

「そんなにスピードが速いなら、流れ星を見るのは難しそう」と感じている方もいるかもしれませんが、流星痕は数秒から、ときには数十分にもわたって輝き続けるといわれています。流星痕をともなう流れ星を観測できれば、流星が流れたあと(後・跡・痕)の余韻まで楽しめるでしょう。

※2:天体(星)の明るさは「等級」という単位で表します。値が小さいほど明るく、大きいほど暗くなります。1等級の差で約2.5倍明るさが違います。目で見える最も明るい星(1等星)は、おおいぬ座の α星シリウスで-1.4等級です。満月は-12.7等級、太陽は-26.7等級です。

2023年しし座流星群におすすめの観測条件とは?押さえておきたい観測のコツを解説

■観測する時間
2023年のしし座流星群は11月18日(土)午後2時ごろに極大となり、活動のピークを迎えます。この時間は日中となるため、観測条件としてはよいとはいえません。

そこでおすすめの観測時間は、18日(土)未明〜明け方と、19日(日)未明〜明け方です。
この時間帯であれば、月が完全に沈み、月明かりの影響を受けません。さらに、放射点が昇ってくる時間帯とも重なります。極大の時間と重ならないのが惜しい点ではありますが、2023年のしし座流星群を観測する時間としては、この時間帯がよいでしょう。

■観測する方角
流星群は、放射点を中心に四方八方へ放射状に飛び出すように流れて見えます。夜空のどこにでも出現するため、一点ではなく空全体を眺めることがポイントです。空を広く見渡すほうが、より多くの流星を捉えやすくなります。

■観測する場所
観測場所には、なるべく街明かりが少なく、空を広く見渡せる開放的な場所を選びましょう。人工の明かりが多い場所では、明るさに邪魔をされて流星が見づらくなる恐れがあります。目が暗さに慣れるまでには時間がかかるため、最低でも15分間は観察を続けるようにしましょう。

■観測する方法
天文現象の観測というと「望遠鏡が必要?」と考えがちですが、流星観測には肉眼が一番おすすめです。望遠鏡は天体像を拡大して見るための道具であり、流星のように広い範囲の現象の観測には不向きです。しし座流星群は、ぜひ肉眼で観察してください。

そもそも、しし座流星群って一体どんな流星群なの?発生源や歴史をチェック

しし座流星群の放射点は、しし座の γ(ガンマ)星、アルギエバ(たてがみ)のそばにあります。流星群を生む物質を放出している母天体は、テンペル・タットル彗星です。

現在に至るまで、数々の流星嵐(※3)が観測されていることで知られるしし座流星群。1799年、1833年、1866年、1966年などには、激しい流星嵐の観測事例があります。

流星嵐が観測されるタイミングには、母天体の公転周期が関係しているのではないかと考えられています。約33年周期で流星の出現数が増減することから、活動する時期と低調な時期との差が大きいことも特徴のひとつです。

また、しし座流星群には「ダスト・トレイル理論」と呼ばれる新しい予報手法が活用されています。1999年から2002年に観測された流星嵐や流星数の増加に関する予報は、ほぼ的中。予報どおり、2001年には、日本でも1時間あたり1000個を超える流星が観察されました。当時、多くの人が流星嵐に遭遇して話題となったことから「しし座流星群はたくさんの流星が見られる」というイメージを持っている方も少なくないでしょう。

一方、2003年以降のしし座流星群は、出現する流星数がかなり減少しています。2023年のしし座流星群における流星の出現予想数は、1時間に3個程度。2001年の1時間あたり1000個という出現数に比べればどうしても「少ない」と感じてしまうかもしれません。

とはいえ、少ない観測チャンスを捉える感動や喜びには特別感があるものです。流星に興味がある方は、ぜひ2023年の観測にもトライしてみてくださいね。

※3:流星数が多くなり星が雨のように降ってくることは「流星雨」、さらにそれよりも多くの流星が流れることは「流星嵐」(1時間あたり数千個〜数十万個以上)と呼ばれています。

明るく輝く流星を見られるチャンス!週末はしし座流星群をじっくり観測しよう

2023年しし座流星群の見頃は、11月18日(土)・19日(日)未明〜明け方です。夜更かしや早起きは少し大変ですが、明るく美しい流れ星を目にできれば、特別な思い出になることでしょう。澄んだ夜空に輝く流星群に癒される、素敵な週末を過ごしてみてはいかがでしょうか?

流星の出現予想数は1時間に3個程度なので、観測の際は待機時間も長くなることが予想されます。冬に向かって寒さが増すこの季節、防寒対策をしっかり行って、気長に流星群を待ちましょう。

参考:国立天文台、AstroArts

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