東京・台東区の東京国立博物館では、5月3日(火・祝)から、沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」を開催する。会期は、6月26日(日)まで。
沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」は、2022年5月に復帰50年を迎える沖縄県をテーマにした展覧会。かつて琉球王国として独自の歴史と文化を有した沖縄は、明治以降の近代化や先の戦争を乗り越え、今もその歴史、文化を未来につないでいる。
本展は、王国時代の歴史資料・工芸作品、国王尚家に伝わる宝物、考古遺物、民族作品などさまざまな文化財が一堂に会する。さらに、沖縄県が2015年度から取り組んできた「琉球王国文化遺産集積・再興事業」で制作された復元作品も多数展示する。
同博物館研究員おすすめは、まずは、首里城京の内跡から出土した、「青花人物図大合子」「紅釉水注」「青花双耳瓶」「青花牡丹文梅瓶」(通期展示)といった陶磁器で重要文化財にも指定されている。本作品は、14〜16世紀の元から明の時代に作られたもので、同博物館研究員で東洋工芸が専門の三笠景子氏は、「京の内は、首里城内で最も大きな祭祀儀礼の場所。ここから出土した陶磁器は、中国元時代の第一級の青花磁器(せいかじき)をはじめ、他の日本の地域では見ることのできない優品ばかり。神聖な場を彩った貴重な器(うつわ)です」とコメントしている。
また、同博物館学研究員で、日本考古を専門とする品川欣也氏は、江戸時代または第二尚氏時代のものとされる「玉(たま)ハベル」(通期展示、東京会場のみ)をピックアップ。「『玉ハベル』は神女が祭祀で身に着けた装身具です。水晶玉の首飾りには、青・赤・黄などのガラス玉と色鮮やかな三角形の布『ハベル』からなる帯状の垂飾が付されています。ハベルとは琉球の言葉で『蝶』を意味し、神女や霊力を象徴するものです」と見どころを語った。
そして、浦添市の指定文化財になっている16〜17世紀に制作された「朱漆山水人物沈金足付盆(しゅうるしさんすいじんぶつちんきんあしつきぼん)」(通期展示)も出展。工芸史が専門の同博物館研究員の猪熊兼樹氏は、「朱漆を塗って沈金という技法で装飾された足付盆。沈金とは、漆器の表面に線を彫って金箔を埋める技法です。本作品には、まるで絵画のような中国風の山水人物図が表されています。これこそ琉球漆器の屈指の名品です」とコメントしている。
他にも、2020年12月に放送されたNHKの特集番組「祈りの首里城 デジタルでよみがえる姿」で紹介された首里城復元のCG映像を、一部会場でも上映。当時、進貢のために琉球から中国に渡った進貢船が帰国してにぎわう那覇港の様子を描いた「琉球進貢船図屛風」に描かれた躍動感のあるさまざまな人々に注目し、その人物をモチーフとして抜き出してデザインされた本展オリジナルのグッズが誕生。「豆皿」(1,320円)、「チケットホルダー」(495円)、「マスキングテープ」(770円)、「ダイカットシール」(880円)、「トートバッグ」(2,530円)などがそろう。
さらに、本展の音声ガイドのナレーションを、沖縄出身の女優・仲間由紀恵が担当することが決定。
起用が決まった仲間は「琉球王朝末期を舞台にしたドラマ『テンペスト』(NHK)に出演させて頂いたとき、1着1着のふん装の鮮やかさ、首里城の独特の建築や色使いに とても圧倒されました。特別撮影で玉座の間にひざまずいた時、『あの玉冠をかぶり、琉球のために生きていた人がここに確かにいたんだ』と実感できた出来事は、今でも私の宝物です。今回は、玉冠はもちろん、たくさんの宝物や沖縄独自の風俗、手仕事が一堂に会するという貴重な展示で、私自身とても楽しみです。ドラマ「朝の連続小説『ちむどんどん』」(NHK)の撮影も順調に進んでいます。復帰50年の節目の年、ドラマや展覧会を通じてもっと沖縄を好きになっていただければと思います」とコメントを寄せた。
沖縄をテーマにした大規模な展覧会をきっかけに、あらためて沖縄を考える時間が多く生まれそうだ。
沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」
2022年5月3日(火・祝)〜6月26日(日) 9:30~17:00(入館は〜16:30) 東京・台東区「東京国立博物館『平成館』」にて開催
※月曜日休館
※巡回先:2022年7月16日(土)~9月4日(日)九州国立博物館
【観覧料】
一般2,100円、大学生1,300円、高校生900円、中学生以下および障がい者とその介護者1名は無料
【問い合わせ】
展覧会公式サイト:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)