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2018年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。

ニホンジカってどんな生きもの?

  • 2018年11月29日
  • NACS-J

今、日本各地でニホンジカが急増しています。
生態系の攪乱、私たちの暮らしに重要な水源の森の破壊、農林業への被害、などさまざまな影響を及ぼすため、日本の森にとってシカの急増は大きな問題となっています。
ニホンジカは、そもそもは人よりも古くから日本列島に息づいてきた在来の野生動物です。なぜシカは増えてしまっているのか。まずはニホンジカとはどのような動物なのか、その生態や生活史についてまとめました。

ニホンジカってどんな生きもの?

シカコラム1

ニホンジカは中国やロシアにもいる

日本に元々いるシカはニホンジカ一種です。北海道にいるエゾジカ、本州にいるホンシュウジカ、九州・四国にいる(ヤクシカも含む)キュウシュウジカは、それぞれニホンジカの亜種となります。学名にもCervus nipponと「ニッポン」が入っていますが、日本の固有種ではなく、中国やロシアなどにも生息しています。

1.5mの障害物を飛び越えることができる

シカは運動能力にも長けていて、高さ1.5mの柵を飛び越えることができます。そのため防護柵は2m以上にする必要があります。また、立ち上がって高さ2mまで植物を食べることができます。

雄の角は毎年生え変わる

雄だけに生える角は、春に生えはじめ、皮膚に覆われた「袋角」のまま成長して夏を過ぎ、秋になると皮が剥がれて硬い骨質の角になります。そして春になると根本から抜け落ち、また新しい角が生えてきます。

シカコラム2

雪に弱い

シカは脚が細く雪にとられやすいため、深く雪が積もると身動きが取れなくなってしまいます。生まれたばかりの小さなシカは特に弱いです。また、植物が雪に埋まってしまうと餌がとれず、餓死してしまうこともあります。

シカコラム3

学習能力が高い

シカは学習能力が高く、餌となる植物が生えていた場所は正確に覚えるようです。また、通電した電気柵に一度接触したシカは二度と来なくなるとも言われています。群れの仲間が猟銃で撃たれると極度に用心深くなったりもします。

1000種類を超える植物を食べることができる

シカは食べるものが豊富な場所では好き嫌いがはっきりしていますが、資源量が減ると最終的にはほぼ何でも食べるようになり、1000種類を超える植物を食べることができます。一日に食べる量は約3㎏です。

2歳らか毎年子どもを産む

栄養状態の良好な雌は、満1歳(生まれた翌秋)で性成熟し、その翌春から毎年子どもを産みます(通常は1産1仔、まれに2仔)。1年で1.2倍ほど、4年で約2倍に増える計算となり、この性質が短期間で数を爆発的に増やすことに繋がっています。

胃を4つも持っている

反すう動物であるシカは、4つの胃を使うことで植物に含まれるセルロースなどの繊維質を細かく砕いてから消化して利用することができます。人の胃と同様、消化液を持つのは4番目の胃(第四胃)だけで、それ以前の第一~第三胃は食道が進化してつくられたもの。第一~第二胃から口に戻して再び噛み砕く(反すうする)ことで、食物をより消化しやすい状態にしています。

季節移動をする

一年中、同じ場所にいるシカもいますが、特に高山帯や雪の多い地方では、冬に積雪を避けるよう大きく季節移動します。一例を挙げると、春から秋を尾瀬で過ごすシカは、冬になると比較的積雪量の少ない奥日光の千手ケ浜や足尾に、直線距離で30㎞以上移動して越冬することも知られています。

毛は1年に2回生えかわる

シカは1年に2回、春と秋に毛が生え変わります。「鹿の子模様」と呼ばれる白い斑点は夏毛の特徴です。抜け落ちた毛はキセキレイなどが巣材として利用しています。

シカコラム4

夜行性は人を避けた結果?

シカは元々薄明薄暮性で、早朝や夕方の薄暗い時間帯によく動き回りますが、日中にも行動する動物です。ところが狩猟圧の高い地域のシカは、人間が活動する日中を避けて夜間に行動するようになります。シカと自動車の交通事故が夜間に増えているのはこのためです。

シカコラム5

雌は大きな群れを作る

群れずに縄張りを持つカモシカと比べると、シカは縄張りを持たないので、同じ面積でもたくさんすめます。これがシカの数が容易に増える理由のひとつです。

出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.565(2018年9・10月号)

シカと人の未来のためのプロジェクト2018

ニホンジカの増加は、日本の森における最大の課題です。
いま各地で対策が行なわれていますが、農林業の被害や生態系の破壊など、被害が確認できるほど数が増えてしまっては、捕獲はもちろん、傷ついた森林管理に膨大なコストが必要となります。そのため、森林が長く健全であるためには、シカが増える前の “低密度” の状態で管理することが、不可欠ではないかと考えます。

そこで、日本自然保護協会では、群馬県の赤谷の森をフィールドに、2017年度に引き続き、“低密度管理”のための捕獲試験を行います。野生動物と共存する新しい技術として、この取り組みへのみなさまのご支援をお願いします。

詳しくはhttps://www.nacsj.or.jp/2018/09/12715/ をご覧ください。

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