「夫が乗ったあとの車が臭い」「夫が部屋に入ってくると急に臭くなる…」。40〜50代になり、夫の体臭が気になり、臭いがストレスになる人も多いといわれています。今回は、中高年の臭いの原因である「ミドル脂臭」を解説しながら、対処方法を紹介します。
夫が臭く感じるのは、加齢臭ならぬ「ミドル脂臭」が原因かもしれません。
ミドル脂臭は30~50代半ばに発生し、使い古した油のような臭いがするのが特徴的です。後頭部・頭頂部・うなじを中心に発生し、枕の臭いの原因にもなる物質です。
ミドル脂臭の原因は「ジアセチル」という成分です。
汗の中に含まれる乳酸が、皮膚の常在菌であるブドウ球菌に分解されることで、ジアセチルが発生します。ジアセチルと皮脂臭が混ざることによって、使い古された油のようなミドル脂臭に変化するのです。
ミドル脂臭が皮脂に蓄積すると、「入浴直後でもなんとなく臭い」という状態になってしまいます。
ミドル脂臭が発生すると、部屋に夫がいるだけで不快な臭いがすることがありますよね。では、そんなミドル脂臭にはどのように対処していけばいいのでしょうか。
ミドル脂臭は後頭部・頭頂部・うなじを中心に発生し、皮脂に蓄積していきます。そのため、この部分の皮脂をしっかり落としていくことで、ミドル脂臭を抑えられるでしょう。
ただし、洗浄力の強いシャンプーで皮脂を落としすぎると、肌を乾燥から守ろうとして余計に皮脂が分泌されることがあります。
過剰な皮脂はニオイの原因になることもあるので、洗浄力がマイルドなシャンプーで丁寧に洗うことをおすすめします。洗ったあとは、頭皮ケア用のアイテムで保湿まで行うといいでしょう。
ミドル脂臭は、植物エキス配合のシャンプーやボディソープといったミドル脂臭専用の商品を使うことでも緩和できます。
とくに、「カンゾウ」や「ケイヒ」といったフラボノイドを含む植物エキス入りの商品を意識的に選ぶといいでしょう。フラボノイドを含む植物エキスは、ミドル脂臭の原因であるジアセチルの発生を抑制してくれます。
スイーツや揚げ物などの糖質や脂質が多い食事を摂りすぎると、皮脂が過剰分泌されることがあります。動物性脂質の摂取はなるべく控えるようにしましょう。
野菜中心の食事を意識し、栄養バランスの整った食事にすることでもミドル脂臭対策が可能です。
体臭対策を行っても、思ったほどの効果が出ないという人には、漢方薬もおすすめです。
漢方薬は、体臭の原因に直接アプローチをして、ミドル脂臭の根本的な解決を目指します。さらに、飲むだけなので、食生活の改善が難しい、頭皮やうなじの適切なケアを継続的に行えないという方でも、気軽に取り入れられます。
ミドル脂臭の対策には、以下のような働きをもつ漢方薬を選びます。
・体臭の原因となる皮脂の過剰分泌を調整する
・体内の水分バランスの乱れを整えて過剰な汗を抑える
続いて、ミドル脂臭におすすめの漢方薬を2つ紹介します。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):皮脂の過剰分泌で顔や頭皮が脂ぎってベタつく方に用いられます。ニキビができやすい体質の方に向いています。
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):水分代謝を促して体内の余分な水分を排泄します。汗をかきやすく、むくみやすい体質の方に向いています。
*漢方薬は比較的安全だといわれていますが、きちんと合ったものでないと十分な効果を得られないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。
文・監修/稲嶺千春(いなみね・ちはる)●薬剤師。製薬企業や調剤薬局に勤務する中で、根本治療の大切さを広めたいと考え、精度の高い漢方の情報発信を行う。