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初代は初代。現時点で「Rabbit R1」は期待以下

  • 2024年5月9日
  • Gizmodo Japan

初代は初代。現時点で「Rabbit R1」は期待以下
Photo: Dua Rashid / Gizmodo US

このオレンジの、手のひらサイズのどこかレトロなデバイス。

CES 2024以来、ちょこちょこ見かけるようになった「Rabbit R1」が、ついに販売開始されました。

Rabbit R1

これは何?

・手のひらサイズのAI搭載デバイス

好きなところ

・目を引くデザイン

・本体は値段のわりにしっかりと作られていて良い感じ

・操作はミニマルで直感的

好きじゃないところ

・現時点では特筆するものがほとんどない未完成の製品

・現状、機能のほとんどで問題あり

・バッテリー寿命は異常に短い

価格

・199ドル(約3万円)

レビューするまでは、ワクワク期待値マックス、1週間がっつり試しまくるつもりでした。街中で、家の中で、友人と遊んだり、いろいろ試すつもり満々でしたが…すぐにやることがなくなってしまいました。

現時点ではテストする価値はほとんどありませんでした。

まず、Rabbitが実現しようとしていること

CES 2024前後に行なわれた基調講演では、CEOのジェシー・リューはこのRabbit R1で、世界を変えると約束しました。スマートフォンの代わりではなく、スマートフォンを補完するガジェットだと強調しました。Rabbit R1の唯一の目的は、スマートフォンのタップ数を減らすことで時間を節約し、利便性を最大化すること。

ユーザーが日常的に利用するサービスと一度だけ接続をしたら、その後はそれらのサービスを自動的に管理できるようになります。これにより、スマホ上に散らばってる専用のアプリをそれぞれ開く必要がなくなります。

現在Rabbit R1は、Spotify、Uber、DoorDash、Midjourneyに対応。これら5つのアプリのそれぞれのタスクを実行するために、スマートフォンでそれぞれ操作する必要が無い未来を目指しています。そのかわりに、Rabbit R1は自動化されたパーソナルエージェントのように機能し、単純な音声コマンドで(一部)の日常的なタスク、例えばUberでのタクシー手配、食事の注文、音楽の再生を行なってくれるというものです。

Rabbit R1のCEOは、このガジェット単独で迅速に物事を片付けてくれるソリューションとして約束しました。スマホの通知やSNSに気を取られて、3分で終わるはずのタスクに気づけば30分溶かしてしてしまうことを解決してくれるなら、これは良いアイデアですよね。

さらに、最近いくつかのアプリが導入しているLLM(Large Language Model)からさらに進化した、LAM(Large Action Model)が導入されていることも着目ポイントです。Rabbit R1がユーザーの言うことを理解して対応するだけでなく、ユーザーのために行動できることを意味します。理論的にはスマホの音声アシスタントよりも賢くなるはずです。

さらに、自然言語とフィラーワード( 話をつなぐために使われる単語やフレーズ)を理解する能力も特徴です。CEOによれば、これは他のAIチャットボットよりも優れているとのこと。またコンテキスト認識もばっちりとのことで、講演中にはデモも行ないました。これは、ユーザーがあるトピックに関して、フォローアップの質問もできるようです。

デザインとハードウェアは良い

デザインについては気に入っています。レトロでオールドスクールで90年代を彷彿とさせるデザインは、Teenage Engineeringによるものです。このオレンジ色については、絶賛する人もいれば、目が痛くなるという人もいて、オンライン上では賛否両論です。写真画像で見るよりも実物はもっと明るい感じですが、特に不満はないですね。最近発売された、鮮やかな黄色のNothing Ear(a)もそうでしたが、Rabbit R1も同じ匂いがします。個人的にはガジェットの色の選択肢が、黒か白かシルバーしかない状態に飽きています。

作りに関しても値段相応です。全体がプラスチック製にも関わらず、しっかり頑丈に感じます。軽すぎて壊れやすく感じるほどでもなく、重すぎてポケットの中でのずっしり感もありません。サイズ感も完璧で、ジーンズのポケットに良い感じにおさまります。ただし、このデバイスの他にスマホも持ち歩く必要はあるんですが。

3インチの画面は、一部のユーザーからはタッチ対応が求められるような声もありますが、個人的にはこのコントロールは新鮮です。ラップトップから腕時計まで、全てのスクリーンがタッチ対応な昨今、Rabbit R1は、ボタンやスクロールホイール時代に連れ戻してくれます。R1のキーボードで入力するときは画面をタップすることができますが、それ以外ではタッチ入力できません。

また、最小限のコントロールで操作できるのも良いですね。プッシュ・トゥ・トークボタン(PTTボタン)とスクロールホイールのふたつで操作します。例えば、PTTボタンは、Rabbit R1をロック/アンロックするためには1回押す、話すなら長押し、Rabbit Eyeをオン/オフするなら2回押すといった操作方法です。

Rabbit R1は、ビジョン機能を使う時や、キーボードでタイピングする時には、サウンドエフェクトと触覚フィードバックで反応します。デバイスと会話しているとき、ディスプレイは耳を立ててぴょんぴょんするうさぎが表示されて、話を聞いていることを表現します。話し終わると、耳がもとに戻ります。Rabbit R1のUIは、ほぼ完成していると思います。

でも、ビジョン機能の使用中はクエリの状態を把握できるように「クエリを処理中」と表示されるのですが、ビジョン機能以外で話しているときは状態を表示しないのは謎ですね。アップデートされることを望んでいます。チャットボットにランダムに質問していた時、実際はクエリを処理していたのにそれを中断していたことが判明し、結局最初からやり直しになることが多く、何度も同じことを繰り返す羽目になりました。

でも、まじで使えない

Rabbot R1をレビュー中、このオレンジの箱の中身は何も入ってないんじゃないかと何度も思いました。外見以外、このデバイスを評価できるポイントはほとんどありません。残り全ての機能は、今年の後半に提供される予定です。

現在提供されている機能は非常に基本的なもので、Rabbot R1にできて、スマートフォンにできないものはひとつもありません。確かに、今のスマホは「Rabbot R1が1年後にできるかもしれない世界観」は実現できないかもしれません。そういう意味では、Rabbit R1は、1年後にリリースするべきだったかもしれません。

現在利用可能な極小数のアプリでさえ、まともに扱えません。私のリクエストを誤解したり、認識できても実行しなかったり、スルーされたりしました。

Uberは2回試してやっと「動作」しましたが、乗車位置と降車位置をを完全に間違えました。

Spotifyに至っては、完全にもうめちゃくちゃです。曲名やアーティスト名を理解できず、自分のSpotifyアカウントにログインしているにもかかわらず、自分のプレイリストを認識してくれませんでした。

Doordashは機能しましたが、私の食事オーダーは、単一の音声コマンドで完了することはなくて、たくさんのメニューを見て選びたいので、そもそもスマホの画面のほうがずっと見やすい問題。

そしてMidjourneyを使えるようにするために、Rabbitのスタッフと1日かけてトラブルシューティングを行ないました。そして、動作したとしてもそれはMidjourneyでしかなくて…この小さなデバイスで画像を生成する意味がどうしてもわかりません。PCでもっと解像度高く品質高いものを生成できるからです。声で、このデバイスで、ランダムな画像を生成したいユーザーニーズなどあるのだろうか…。もしそのような人がいたら、Rabbitの求めるペルソナかもしれません。

ビジョン機能も特筆するようなものではありませんでした。カメラを向けている物体を説明する時点で、Google Lensより優れている点はなく、そもそもGoogle Lensはすでに6年も前の技術です。クエリを間違えなかったとしても、説明はあいまいなもので、つまり役に立ちませんでした。

また、RabbitOSでは、謎の接続切断も発生しました。そのたびに、R1が回復してコマンドを実行する数秒間を耐えました。

その上、驚くほどバッテリー寿命が短いのも特徴です。「1日中の相棒」との触れ込みで市場に出されている製品が、5-6時間しかもたないという事実は笑うしかありません。

今は買わないほうが良い、1年後に要確認

Rabbit R1は次世代の大物になるためには、まだまだ精進が必要で、Rabbit社は厳しいデッドラインを迫られています。すでに多くのユーザーをがっかりさせていて、Rabbit社は、彼らが払った対価に見合うようなものを迅速に提供する必要があります。また、Rabbit R1で提供するサービスや、3インチのデバイスに適したアプリメニューのデザインの搭載も必要でしょう。

Photo: Dua Rashid / Gizmodo US

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