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胸にとめるAI秘書「Humane Ai Pin」発売。まだポンコツすぎる

  • 2024年4月16日
  • Gizmodo Japan

胸にとめるAI秘書「Humane Ai Pin」発売。まだポンコツすぎる
Image: Humane via Gizmodo US HumaneのAIピンは、頑丈でよくできたデバイスだと伝えられていますが、実際のソフトは当初宣伝されたものにはほど遠いかも。

未来までの道のりは、まだ長い。

米スタートアップのHumane社から発売された、パーソナルウェアラブルデバイスのHumane AI Pinは「スマホの次はこれだ!」という画期的な意欲作。ですが、実際に利用してみた初期レビューでは「遅い」「かっこわるい」「うそつき」と散々な言われ様です。

夢の未来デバイス…だけど使用感は微妙?

待望のHumane AI Pinが、4月11日についに店頭に並びました。ちょっと未来っぽいデバイスですから、昨年11月のリリース以来、ワクワクして待っていた方もいるかと思いますが、定価の699ドル(+月額24ドルのサブスク)を支払う前に、ちょっと立ち止まって考えた方がいいかも。正直、現段階でこれを手にした人の反応は、ちょっと微妙なのです。

たしかに、「ユニークだね」とか「新しいね」とはいうものの、実際に使ってみた人たちは、「動作が遅い」「使える機能がない」「動作しないときすらある」などとこぼしています。

Humane社はこれを 「第二の脳 」と表現していますが、それにしても高価なデバイスであることは間違いありません。マイクとカメラを内蔵し、価格としてはミドルレンジの携帯電話と同じくらいですが、通話、テキスト、データ通信が無制限であるかわりに、サブスク料金が毎月24ドルかかります。現在はT-モバイルを介してネットワーク接続していますが、将来的にSKテレコムとソフトバンクでの海外通信接続が実現する見込みです。

OSは独自のCosmosを搭載し、AIは一部を除いてクラウド上で処理されます。スマホと大きく違う点は、ほとんど手ぶらで使えるところ。ボタンをタップして押し続けると音声で操作できます(スタートレックのコミュニケータ的な感じ)。

いろんな機能が使える「はず」という「ことになっている」

すべての操作でAIが介在してくるので、アプリをスクロールしたり起動したりすることなく、ユーザが必要なことを理解して実行してくれることになっています。また、視覚機能も搭載されているので、こちらが指示するだけで、その環境を理解することができる「はず」です。

Humane社によると、Pinでは通話、テキスト送信、写真撮影、さらには音楽配信サイトTIDALと連携して音楽再生もできるのだそう。また、小型のプロジェクターが搭載されており、一般的なディスプレイではなくて手のひらに画像を投影することもできる「はず」です。タップして話しかける点を除けば、ユーザインターフェースのない、オールインワン・デバイスだといえます。

リリース時に言われていたほどの機能は揃っていない?

ただし、問題は、起動させても反応がないことが多々ある点。The Vergeのデイヴィッド・ピアース氏は、ウェアラブルAI技術については可能性を感じているものの「現状のHumane pinはまだ買うほどじゃない」、と話しています。というのも、反応が遅いし、誤った情報が多いし、メールの機能もないから。視覚技術を搭載しているといいつつ、「このポテトチップスはおいしいですか?」といった質問にさえ答えてくれなかったりします。

しかも、信じられないほどバグが多く、とにかくまだまだ不完全なようです。ピアース氏は、「ビヨンセの曲を1曲再生するという単純なリクエストにも応えようとしません。しかも、音楽をかけて、と頼んだのに“AIに対するバックエンドの指示について”などとわけのわからない説明を始めました」。

天気について簡単な質問をしても、答えるのに10秒近くかかることも。Siriや他のデジタルアシスタントだってつっこみどころはありますが、少なくとも彼らは数秒で答えを出してくれます。単純なテキストを友人に送るのにも、同じぐらい時間がかかります。

Appleの元デザイナーでHumaneの共同設立者でもあるベサニー・ボンジョルノは、リリースの文面に「自然に瞬間をとらえることができ、何かを覚えていてくれたり、質問に答えてくれたり…。あなたがAi Pinにあなたのことを伝えれば伝えるほど、Ai Pinはあなたにとってより便利になっていくでしょう」と記していました(今のレビューとはだいぶ違いますね)。

同社は最近、人員削減を行っていることもあり、リリース時に発表された機能をすべては備えていないのではないか、と心配する声もあがっています。

今後、機能が拡張される予定

Humane社は、「機能が少ない」とレビューされることは承知の上だったのでしょうか、今後は機能の拡張プランを含め、まだまだ長いロードマップがある、と主張しています。最初に挙げられているのは「ビジョン」で、AIが対象物や場所を特定できるようになると言われています。ただ、たとえばウォール街に”Ryde”のIPOに関する表示が出ていた際も”Lyft”と読み間違えるなど、レビューでは「現在の画像認識能力はかなり不安定だ」と指摘されています。

Wiredのジュリアン・チョッカトゥ氏も、「カリフォルニア州では高果糖コーンシロップは禁止されています」とAIに嘘をつかれていたことを知り、心配になったと話しています。また、タイの寺院をカンボジアの別の寺院と誤認したことも。やはり、多くのジャーナリストや研究者が何度も指摘しているように、AIは自信満々に嘘をつくのです。

ワシントン・ポストのクリス・ベラスコ氏によると、ハードウェアは頑丈で、非常に「ナチュラル」に使えるといいます。手のひらをデバイスの前においてプロジェクターが作動するかどうかを確認する動作も、ごく自然にできるそうです。ただし、ジェスチャーだけでプロジェクターの投影をコントロールするのは難しく、太陽光の下ではメッセージを見ることもできないとのこと。

バッテリーパックが過熱しやすい点に注意

また、こちらのデバイスは一見よくできているように見えますが、磁石で衣服に取り付ける拡張バッテリーパックが熱くなりやすい、というレビューも複数あがっています。ちなみに、Pinはバッテリー内蔵ですが、この拡張パックを使えばさらに駆動時間が長くなります。バッテリーが熱くなりすぎると低温やけどの恐れも出てくるので、特に問題です。ベラスコ氏は「ピンはオーバーヒートしがちで、冷えるまで電源を切るしかない」と話しています。

その他にも内蔵機能はいくつかありますが、これも機能しないことがしばしば。リアルタイム翻訳は速さと正確さが高評価でしたが、Cnetのスコット・スタイン氏は、自身のスピーチを翻訳してもらった後、別の言語で固まってしまうことがある、と書いています。

ボンジョルノ氏はThe Vergeの取材に対し、同社は今年の夏を目標にソフトウェア・アップデートをすすめており、タイマーやカレンダーへのアクセスなどを追加する予定だと語っています。もしそれが事実なら、当初の宣伝どおりの機能が揃うまで、デバイスの発売を延期すればよかったのに…と思います。

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