民間初の月面着陸を果たした、月着陸船「オデュッセウス（Odysseus）｣。NASAが公開した新たな写真は、月に降り立つことの大変さを物語る1枚でした。
オデュッセウス（愛称は「オディ」）が月面に着陸した2月22日に撮影された写真には、同着陸船と月面で破損した脚がはっきりと写っています。
あまり楽観的に捉えられないような写真ですが、米宇宙企業のIntuitive Machines（インテュイティブ・マシーンズ）は、最悪な状況がオディに有利に働いたと説明。機体の着陸装置の脚が衝撃を吸収しただけでなく、減速し続けていた液体メタンと液体酸素のエンジンが着陸船を安定させたようです。
Intuitive MachinesのCEOで共同創業者スティーブ・アルテムス氏は、「これはエンジンを噴射しながらタッチダウンした、月の表面にいるオディの写真です。写真の左側には、パーツが損傷した着陸装置が見えるでしょう」と、2月29日のNASA記者会見で述べていました。
「着陸装置は、月面に降り立つ際に着陸船を守るという役目を果たしたのです」
New images from a "scrappy little guy" on the Moon
Photos show @Int_Machines' Odysseus lander making first contact with the lunar surface while the spacecraft's descent engine was throttling. All powered NASA experiments aboard continue operating: https://t.co/rx2BWtB2X0 pic.twitter.com/jzqJSW7wHl
とはいえ、そんな不安定な着陸はオデュッセウスに影響を及ぼしました。
機体が横に傾いたことが、ソーラーパネルの充電能力に打撃を与えたのです。現在の姿勢ではソーラーパネルは横向きになり、満足に太陽の光に当たれません。Intuitive Machinesは、火曜の時点でおよそ10〜20時間分の電力しか残ってないと見積もっていました。
同社はオデュッセウスを休眠状態に入らせ、3週間ほど経ってから目覚めさせる予定。太陽光パネルに再び光が当たり始める、月面の昼間にあたるタイミングです。
しかし、そのときにオデュッセウスが目覚めるかどうかはわかりません。同着陸船およびその電子機器類は、気温が-183℃に下がる凍てつく月の夜に持ち堪えるようには設計されていないと、会見で説明されていたからです。
例えオデュッセウスが目覚めなかったとしても、すでにミッションは成功だと見なされています。Intuitive Machinesは史上初めて月に軟着陸を果たした民間企業となり、米国にとって1972年のアポロ17号以来の月面再訪を達成しました。オデュッセウスが目覚めれば、さらなる吉報となるでしょう。
オデュッセウスは、ある意味アポロ計画も月に運んでいったとも言えます。月着陸船には小さな合衆国旗が飾られていました。これはもともと1970年代に先々のアポロ計画で送り出すために準備されていたものの、陽の目を見なかった国旗で、NASAからオデュッセウスに寄付されたものでした。
「国旗はフライトハードウェアの認定されたパーツでした。我々はそれを受け取り、誇りを持ってオデュッセウスに付けて月に運びました。52年前にそうすべきだったように」と、Intuitive MachinesのアルテムスCEOはコメント。
「とても誇りに思います」と述べていました。
民間企業の月着陸船が打ち上げ直後に捉えた、地球とのセルフィー 自社開発した月着陸船Nova-Cで、今年3つの月着陸ミッションを行なう米宇宙企業のIntuitive Machines（インテュイティブ・マシーンズ）。日本時間の金曜午前、その1回目となるミッション｢IM-1｣で民間企業として初めて月面着陸に成功しました。｢オデュッセウス（Odysseus）｣と名付けられた着陸船が歴史的な快挙を遂げる道中で撮影した、宇宙から見た地球の息をのむほど美しい画像を見て https://www.gizmodo.jp/2024/02/283001.htmlSource: X, collectSPACE
