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ビニール袋の制限は効果的。有料化は日本だけじゃなかった

  • 2024年1月30日
  • Gizmodo Japan

ビニール袋の制限は効果的。有料化は日本だけじゃなかった
Image: Shutterstock

マイバッグがすっかり日常に定着した今日この頃。カバンの中には、とりあえず1つ折り畳みマイバッグを入れておけば安心です。

プラスチックの過剰使用を抑制するために、お買い物時のビニール袋が有料化されたのは2020年の夏。しかし、ビニール袋を制限する取り組みを行なっているのは日本だけではありません。

1人300枚減

ここ数年、アメリカの複数の都市や州で、お買い物時の使い捨てビニール袋の利用を制限する条例が増えてきています。

3つのNPO団体(Environment America・U.S. Public Interest Research Group Education Fund・Frontier Group)が業界や政府のデータをもとにだした最新レポートによれば、これらの条例はうまく機能しており、個人の使い捨てビニール袋使用枚数が、年間で300枚ほど削減できる見込みがあるといいます。

NPO団体のFaye Park氏は以下のようにコメントしています。

つまり、ビニール袋禁止は機能しているということです。ビニール袋がなくても困らないということに我々は早々に気づき、不要に使わず、家からマイバッグを持っていく生活にもすぐに慣れてしまうのです。

数千枚から数億枚を削減

今回のレポートが注視したのは5つの街や州(ニュージャージー州・バーモント州・フィラデルフィア市・ポートランド市・サンタバーバーバラ市)の例。

ニュージャージーの使い捨てビニール袋条例は2022年施行。年間55億枚ものビニールバックを削減。人口にも左右されますが、他の州も年間4500万枚から2億万枚の削減ができています。

現在、アメリカでショッピングバッグとしての使い捨てビニール袋を制限しているのは、12の州や500を超える市町村。その数は増加傾向にあります。

ビニール袋=無駄

ビニール袋が使用制限のターゲットにされるのは明確です。ビニール袋という存在のライフサイクルは、どの段階においても環境汚染につながるからです。

制作には石油とガスが使用され、リサイクルは不可能。ポイ捨てされれば、海亀やくじらなど、他の生き物にとって命を脅かすリスクとなります。その上、使用されるのは、平均してたった12分だけという…。

また、プラスティック粒子も昨今、健康被害リスクがよく論じられており、血流にも入りこむとも言われています。

ビニール袋制限には批判的な声も

ビニール袋をなるべく使用しないのは、誰もが日常でできる環境対策ですが、中には懐疑的な人もいます。「ビニール袋を買い物袋として提供できないのは店側にとって不利益である、プラスティックを選ぶという消費者の自由を奪っている」という声もあがっています。

現に、アメリカで18の州が、地方自治体が独自の買い物ビニール袋に関する禁止条例を通過させるのを禁止する、いわば先を見越した対策法が作られているのです。

「ビニール袋ではなく、綿のマイバッグを使用する場合、それを製造した時の環境負荷を相殺するには2万回使用しなければいけない」「ビニール袋制限で、紙袋が多様されるようになる可能性があるが、紙袋の製造はビニール袋よりもエネルギー・水使用量が多い」という声も。

製造・使用・廃棄、ライフサイクル全体で考えるべき

こういった反対派を根強く説得し続けるのが、ビニール袋制限推奨派。今回のNPO団体の報告もそうですが、さまざまなレポート・調査結果を用いてその有効性を説いています。「ビニール袋とマイバッグの比較は安易にせず、使用後、つまりゴミとなった時の環境負荷も視野にいれるべき」だと指摘。

また、使い捨てという概念の危険さも指摘されています。使い捨てじゃなければビニール袋OKという抜け穴から、一部の街で、(結局1度きりで捨てられてしまうのに)ビニール袋の厚さを増して再利用可能な袋であると応対した小売店が出現。結果、個人が使用したビニール袋が重量では増えてしまったという逆効果の事例もあったそう。

今回のレポートを共同執筆したCeleste Meiffren-Swango氏はこう語っています。

(ビニール袋制限の)法律は、使い捨てビニール袋から、また別素材の使い捨て袋に移行させるものではないのです。紙袋にだって紙袋の環境負荷はあるのですから。

要するに、あらゆるビニール袋を禁止し、紙袋は有料化にする、消費者には何度も使えるマイバッグ利用を呼びかけるという全方位的な策が必要になると論じています。

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