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富士山のゴミ問題 ~富士山の世界遺産登録が取り消される?~

  • 2015年3月18日
  • 緑のgoo編集部

2013年6月世界文化遺産に登録された富士山。この出来事に日本中が喜びに満ち溢れました。しかし、イコモス(※1)への保全状況報告書といった宿題の提出期限が2016年2月1日に差し迫っているのをご存知でしょうか?

※1:イコモス(ICOMOS:国際記念物遺跡会議):専門家で構成され、世界文化遺産に推薦された対象に対して審査や現地調査を行う。イコモスが評価結果を勧告し、世界遺産委員会で登録するかどうかが決まる。

これは、今回の富士山の世界遺産登録はあくまで条件つきの登録であり、多くの登山者が夏に来訪することで起きる斜面の流亡対策や、噴火が起きた際の危機対策計画の策定、構成資産やその周辺の景観を妨げる開発の制御など複数の指摘課題に対応しなければ、最悪「登録が取り消される」かもしれないということを意味しています。

その解決しなければならない課題のひとつが富士山のごみ問題です。
そこで長年、富士山の清掃活動を続けている「認定特定非営利活動法人 富士山クラブ」の佐伯さんに話を伺いました。


捨てない環境づくりも大切
草がたくさん生えているところにはゴミを捨てたくなるが、綺麗なところには捨てたくならない。捨てる人の気持ちを考えることも大切。富士山クラブ佐伯さん
質問:
富士山クラブの取組みについて教えてください

富士山クラブは、ボランティアによる富士山の清掃を主軸に、活動を実施しています。
また、富士山の生物多様性の保護・維持・回復をめざして、植樹や植生調査も行っており、2009年からは「オオキンケイギク」「アレチウリ」という特定外来生物(植物)の駆除活動を実施しています。
また、富士山周辺のフィールドを利用してトレッキングやキャンプなどの野外プログラムを実施し、その中で環境教育活動も行っています。

質問:
どうして清掃活動を行っているのでしょうか?

簡単に言えば、富士山がたくさんのごみで汚されていたからです。
富士山が「世界自然遺産」への登録を目指していたころ、山小屋のトイレから垂れ流されたし尿のにおいとこびりついたトイレットペーパー、そしてあちこちに投げ捨てられていたごみ、これが登録への道を阻む直接的な要因ではありませんでしたが、メディアを通じて日本中に発信され、広く人々に知られることになりました。
多くの方が「富士山が汚いままでいいわけがない」と感じたと思います。
そして、これまで十数年の間、本当にたくさんの方がここへ来て、ボランティアに協力してくれています。



ゴミ拾いならぬゴミ掘り起こし
ゴミの上に土をかぶせる、酷いものだとコンクリートをかぶせて見つからないようにしてある。表面で見えているゴミよりも、土の中にあるゴミの方が多い

清掃活動を始めたばかりの頃は、ごく少数の参加者でしたが、回を重ねるごとに少しずつ増え、今では年間約5000人が富士山クラブの清掃活動に来ています。
皆さんが清掃活動に協力する理由は単純、「きれいにしたいから」でしょう。
他でもなくそれが富士山だったから、これほどまでに注目され、多方面からの協力を得ることができたのだと思います。

また、最初の頃、地元の方から「富士山に、ごみ・汚いという悪いイメージを付けられては困る」と言われたこともあったのですが、次第に、地元の方も富士山クラブの活動に参加・協力してくれるようになったり、通りがかりに「いつもありがとう」と声を掛けてくれるようになり、地元に活動が認めれたことが本当に嬉しかったと、ずっと頑張ってきた先輩がよく言っていました。

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