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富士山のゴミ問題 ~富士山の世界遺産登録が取り消される?~

  • 2015年3月18日
  • 緑のgoo編集部

質問:富士山が世界文化遺産登録されて、変化はありましたか?

主に3つあります。

1つ目は、様々なステークホルダー(地元の人、自治体、団体、ボランティアで外から来る人など)の想いが、まとまったことです。
日本人で富士山が嫌いという人はあまりいませんが、各々が持つ富士山へのイメージや想いは異なります。
それが、世界文化遺産登録をキッカケに、外の目線(ユネスコ、イコモスの視点)を意識することになり、世界から注目される日本の富士山を後世に残そう、保全しようという大きな目標や考え方が出てきたのではないかと思います。

2つ目は、情報発信の機会が増えたことです。
良くも悪くも、富士山に注目が集まるようになったので、富士山に関する課題にも注目が集まり、たくさんの情報が発信されるようになりました。
また、富士山クラブの清掃活動を核に、自治体や団体、ボランティアの人たちが、富士山の保全・保護に対する重要性を、それぞれの形で発信してくれるようになり、ヨコの連携がずいぶん増えました。

3つ目は、世界文化遺産登録をキッカケにテレビなどを通じて、富士山の抱えている問題を「知っている人」が増えました。
これからは、実際に現場に来てごみ拾いを「体験する人」が更に増えることを期待しています。
「知ること」と「体験すること」では得られるものに大きな違いがあると思っています。
富士山が好きな人であれば一度で良いので一緒にごみ拾いを体験し、解決のための「知恵」や「力」を貸してほしいのです。
富士山のごみの不法投棄は決して他人事ではありません。
富士山のごみ問題は、私たち富士山クラブだけでは決して解決しないと考えています。

質問:今後の課題は何ですか?


東京の大学生も参加
みんなでお金を出し合い、レンタカーで現場に駆けつけて清掃活動に参加。みんなでゴミを拾ったあと綺麗になるのがうれしいと語る
やはり富士山の保全・保護に関する情報発信だと思います。
「富士山を守ろう!綺麗にしよう!」というメッセージを多くのNPO団体や自治体が発信していますが、重要なのは、一般の生活者が、自分の言葉でそういった情報を発信することだと思います。
私たちがNPOの立場から発信するより、自分の友だちや家族、会社の同僚などから言われた方が、富士山を守る活動に参加してみようかな?と思うのではないでしょうか。
その際に重要なのは、情報を伝える側が「一度でも清掃活動に参加し経験をしている」ことだと思います。
百聞は一見に如かずと言いますが、一度でもごみ拾いを体験した人が紡ぎだす言葉には、人を動かす力があると思います。

それと、外国語での情報発信も重要だと思っています。
世界から富士山を訪れる観光客や学生に向けても、富士山クラブの取り組みを発信していく必要を感じています。

質問:インターネットの活用についてはいかがでしょうか?

とても重要だと思っています。繰り返しになりますが、一度でもごみ拾いを体験した人の言葉は強い力を持つので、そういった人たちがネット上で、ごみ拾いの感想やメッセージを発信していけば良いと思っています。
極論そこで、ごみ拾いはつまらなかったという意見が出ても良いと思います。
そういった生の声にこそ人は耳を傾けるものだと思うし、つまらなかったと発言した人も、ごみ拾いの経験を一度していれば、いつか、ごみ問題を考えなければならない時の一歩が踏み出しやすいのではないでしょうか。
経験したことは、自分の中の選択肢になるし、やったことがあるものは、手を出せると思います。

それと、インターネットの他に趣味などを通じたごみ拾いへの間接的な興味・関心を喚起させることも重要だと思います。
ごみ問題もそうですが地球温暖化などは、自分自身とはちょっと遠い問題と捉えられがちですが、自分の趣味と関連する問題ならば、取り組んでみようかな?と思える可能性は高いのではないでしょうか。
つまり、ごみ拾いの自分ごと化です。

以前、富士山クラブでは、海抜0メートルからの2泊3日での富士山登山を行いました。
参加者の多くが、ごみ拾い愛好家ではなく登山好きな人だったのですが、「登山」という関心を媒介して、富士山の美化やごみ拾いに関する知識を共有した結果、意識・行動を、自分ごと化しながら関心を持った方が大勢生まれました。

富士山クラブでは、ツイッターやフェイスブックの活用もしていて、ホームページに掲載した情報をツイッターやフェイスブックで発信すると、それを、リツイートやいいね!などで共有、拡散してくれるようになりました。
今後はもっとうまく活用して、富士山クラブの取り組みをたくさんの人に知ってもらえるようにしたいです。


http://www.fujisan.or.jp/
富士山クラブは、美しい富士山を日本の誇るすばらしい宝として後世に残していくために、市民が中心となって富士山の自然環境保護活動を行う認定特定非営利活動法人です。
1998年の設立から、登山道へのバイオトイレの設置、裾野周辺での清掃活動、生態系の調査や育林、次の世代を担う子供たちへの環境教育活動など、世界文化遺産「富士山」を、後世に美しいままの形で残すための活動を行っています。

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