中華街を代表するロングセラーな名物料理「正宗麻婆豆腐」など、本格的な四川料理はもちろん、革新的な料理にも挑戦しつづけてきた1959年創業の「重慶飯店」。2024年に創立65周年を記念してさまざまな支店のリニューアルを進めていましたが、その総仕上げとなるのが飲茶専門店「重慶茶樓」です。
昨年10月に内装も一新し、「洋と和の融合」「点心とワイン」をコンセプトに新メニューを続々と発信。一見洋風だが四川料理のエッセンスを盛り込んだオリジナル料理に加え、今年の4月からスタートした「中華風アフタヌーンティー」にも注目を。
「重慶茶樓」の点心師が作る点心は常時25種。料理メニューの数は90種以上にもなるので、いろいろありすぎて、どれを食べようか迷ってしまう……という時にうれしいのが2つのセイロで登場する「中華風アフタヌーンティー」です。
セイボリー的なセイロは、熱々の蒸し立て。皮のひだも美しい贅沢なフカヒレ餃子に、ぷるんとした皮でプリプリのエビあんを包んだエビ餃子、錦糸焼売など日替わりの焼売も楽しめます。花巻(中国風の蒸しパン)でサンドしたミニサイズの角煮まんもユニーク!
さらに、ココナッツ団子や中国風のカステラ・馬拉糕(マーラーカオ)といった甘い点心「甜点」もホカホカ。
もうひとつのセイロは、スイーツづくし。バターたっぷりのサクサクの生地に感動するエッグタルトに、味も食感も斬新なマンゴーわらび餅は「重慶茶樓」限定の味なので要チェック!
豆沙餡(黒餡)をしっとりとした皮で包み、クルミをたっぷりトッピングした「重慶飯店」で一番人気の中華菓子「番餅(バンピン)」もひと口サイズで登場します。甘酸っぱいパイナップルジャムを発酵バターが香るクッキー生地で包んだ「鳳梨酥(ホウリンス)」など、老舗の人気スイーツが少しずつ、いろいろ食べれるのもお得ですね。
このアフタヌーンティーに出てきた一部の点心や中華菓子は、1階の売店でお土産として買うこともできます。
ワインで軽く1杯という使い方ができるのも、このお店の新しい魅力です。そういえば中華街って、いままでお酒推しの店は少なかったかも。ガッツリ食べる、ではなく、ちょっと飲みたいという時にもぴったり。
「手作り 金魚蒸し餃子」は、かわいい金魚(でめきん!?)の姿の海老蒸し餃子。金魚の中国語の発音が「金如(お金が思い通りになるの意)」と同じことから、金運アップを象徴するそう。白ワインと一緒に食べたくなる味わいです。
ほかにも、辣小籠包(朱雀)や黒トリュフ小籠包(玄武)など、風水思想に基づく五色の小籠包も、中華街らしい点心で素敵です。
夕方からのお楽しみは、ワインに合うおつまみ。見た目はよくあるアヒージョですが、実はアツアツの油を魚介にかけて香りを立たせる「沸騰三鮮」という四川の伝統的な調理法を使っていて、パンチのある唐辛子と山椒の風味が炸裂! バゲットではなく花巻で、美味な油を最後の1滴まですくって味わって。白のアヒージョはエビや白身魚などの海鮮、赤のアヒージョは朝天辣椒をたっぷり使った水煮牛肉風。いずれもクセになる、あとひくおいしさ。
麻辣仕立てのレバーパテも、ワインがスイスイ進むほどよいスパイシーさ。蜂蜜をかけると、麻辣の香りがより引き立ちます。
白と紺のストライプの壁紙に、ダイナー風のソファやボックス席。こてこての中国風な意匠ではなくシックでシンプルな内装は、上海のアメリカ租界の老舗ダイナーをイメージしたもの。古き良き時代がほんのり香る、落ち着く空間です。
終日いつでも入れるので、ランチタイムを大きく外した昼下がりのごはんにもぴったり。ゆったり座れる居心地の良い空間で、中国茶と点心のティーブレイクを楽しんでもいいし、ディナー前のアペロで軽く一杯飲んだり、休日の優雅なアフタヌーンティーを楽しんだりと、さまざまなシチュエーションで重宝します。
重慶茶樓 横浜中華街本店(ジュウケイサロウ ヨコハマチュウカガイホンテン)
所在地 神奈川県横浜市中区山下町185-2F
電話番号 045-681-0807
営業時間 11:30〜21:00(L.O.20:00)、金曜11:30〜21:50(L.O.20:50)、土曜11:00〜21:50(L.O.20:50)、日曜・祝日11:00〜21:00(L.O.20:00)
定休日 無休
交通 みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩1分
https://www.jukeihanten.com/shop/sarou_honten/
文=嶺月香里
写真=鈴木七絵