数えきれないほどの料理店が軒を連ね、食べ歩きに行列ランチにと、おいしい話題にことかかない横浜中華街。でも実は、本格的なスイーツを楽しめる“中華街らしいカフェ”って意外と少ない、と思ったことはありませんか?
そんな方々に朗報! 中華街大通りで70年以上歴史を重ねる「状元樓」が今年にオープンした「Pâtissières JOGENRO」は、味よし、雰囲気よし、そしてご当地感も満喫できる、まさに全国のカフェ好きも満足できる注目のスポットなんです。
1階はお土産もの探しにぴったりのショップ。かわいいタイルが敷かれた階段をのぼると、そこはもう別世界! 大人もときめく、美しい空間のカフェが待っています。
サーモンピンクを基調とした壁に、飴色に変化した木の艶も美しいアンティークの調度品、そしてクラシカルなステンドグラス。「東洋のパリ」とうたわれた上海の、フランス租界時代の邸宅をイメージしたという店内は、古いものと新しいものがしっくりと調和する、モダンでいて上品な異国情緒を感じさせる空間です。
螺鈿細工のチェアや、アンティーク家具を分解して誂えた貴族の寝台(ベッド)風の半個室席など、重厚感のある調度品が醸し出す空気感とセンスのよさにうっとり。アンティークの調度品は、状元樓のオーナーが長年かけて中国で集めたもの。状元樓の創業者は中華街でも珍しい女性オーナーで、二代目は娘、三代目は孫娘と、代々女性が引き継いでいるそう。繊細な雑貨選びも納得! の店構えです。
中国茶を注いだティーカップもアンティークという贅沢さ。これも歴代オーナーが個人的に集めたカップを使っているそうで、1個1個異なる絵柄が楽しめます。
鳥籠のようなスタンドで供される「パティシエールアソート」は、「Pâtissières JOGENRO」の代表的な焼き菓子と、上海料理店「状元樓」の名物をアレンジしたイチオシのメニューのセットです。セットのドリンクは、白桃が香るルイボスティーや、ジンジャーとレモンを合わせたさっぱりした黒ウーロン茶、カモミールとラベンダーを合わせた上品な和紅茶などが選べます。
特に注目したいのは「チーズケーキ月餅」。姿は月餅ですが、サクッとしたクッキーに、レアチーズケーキと中国風の小豆餡をサンド。小豆の甘さとミルキーなくちどけが楽しめる“Neo月餅”といった新感覚スイーツで、その新しいおいしさに思わず頬がゆるみます。
「チーズケーキ月餅」をはじめとする焼き菓子は、「中華街らしいお土産を作りたい、横浜を代表するスイーツに育てたい」という想いから誕生させたそう。神戸の有名パティシエにアドバイスをもらいつつ構想1年。満を持して生まれたスイーツは、本格的なフランス菓子と中華なエッセンスが交差する、新感覚の味わいが楽しめます。
ほろほろとした儚いくちどけの「クッキー シノワ」は、ジャスミンやチーズ×黒胡椒、五香粉(中国のスパイスミックス)などのフレーバーが。「フィナンシェ シノワ」は杏仁やプーアル茶などのフレーバーが揃い、お店の雰囲気と同様に東洋と西洋の融合を感じることができます。
金木犀が香る中国の甘酒(もち米を醗酵させたもの)に浮かぶのは、黒ゴマのじゃりっとした食感も楽しい白玉団子。甘酸っぱいマンゴーソースをたっぷりかけた濃厚なマンゴープリンや、中華街のプロの料理人たちにも高評価だったという胡桃の飴炊きなど、イートインでしか味わえないスイーツも心に残るおいしさです。
中国エッセンスを感じる季節限定のデセールにも注目を。初夏まで提供予定の「シルクモンブラン」は、コクのある和栗のクリームをシルク糸のように細くたっぷりしぼり、甘栗をトッピング。中にはサクサクのメレンゲが潜んでいて、食べ心地はひたすら軽やか! 金木犀とマンゴーのソースもいい感じです。
このモンブランの提供が終わったら、シノワなパフェの新作が登場予定! また、ランチには色鮮やかな点心とスイーツを合わせた「上海飲茶アソート」もおすすめです。
フィナンシェやクッキーなど「パティシエールアソート」でいただいた焼き菓子類は、すべて1階のショップで購入できます。個包装されていて日持ちがするため、遠方への横浜土産にもぴったり。カフェではミニサイズの「チーズケーキ月餅」をいただきましたが、テイクアウトではこれ1つでしっかり満足できる通常サイズを販売しています。
横浜中華街で話題の新顔パティスリーで、新しい横浜の味を堪能してみて。
Pâtissières JOGENRO(パティシエール ジョウゲンロウ)
所在地 神奈川県横浜市中区山下町164
電話番号 045-305-6880
営業時間 1Fショップ11:00〜20:00、2Fカフェ11:00〜19:30(L.O.)
定休日 水曜(祝日の場合翌休)
交通 みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩3分
https://jogen.co.jp/patissieres-jogenro/
文=嶺月香里
写真=鈴木七絵