『ホタルノヒカリ』や『西園寺さんは家事をしない』などの作品で知られる漫画家のひうらさとるさんが、旅をテーマに初のエッセイ本『58歳 、旅の湯かげん いいかげん』を上梓しました。
城崎温泉といえば昔ながらの温泉街を想像する方が多いと思いますが、ひうらさんによると「今の城崎は日本情緒あふれる街並みを残しつつも、新たなカルチャーの発信地にもなりつつある」のだそう。のんびり過ごしたいけれど、旅から得られる刺激も欲しい。そんな方におすすめの場所を本書より抜粋してご紹介します。
文人に愛された湯治場として、「文学のまち」を掲げる城崎には、個性的なブックカフェや文芸館もあり、文化に触れる楽しみも。見どころはたくさんですが私なら「こんなふうに過ごしたい!」という旅のモデルコースをご紹介します。
素泊まりの宿なら、ひと風呂浴びてから近所のカフェで朝食を。春や秋は戸外も心地いいですよ。
クロワッサンや季節ごとに食材の変わるキッシュが評判。「ショッパーのデザインがかわいいので焼き菓子をお土産にするのもおすすめ」
PARADI
Instagram @paradi_kinosaki
温泉街の西側・大師山の山頂にあるカフェ。「豆にこだわった自家焙煎のコーヒーをいただけます」
城崎珈琲みはらしテラスカフェ
https://www.kinosakicoffee.com/
志賀直哉をはじめとする白樺派の文人と城崎の関わりを紹介する常設展のほか、万城目学や湊かなえなど現代作家の企画展も行う。
城崎文芸館
https://kinobun.jp/
短編文学や詩歌、絵本など「小さな物語」をテーマにセレクトした3,000冊の本が並ぶブックカフェ。「城崎限定の出版レーベル『本と温泉』の本や城崎ゆかりの作家の作品も購入できます」
短編喫茶Un
https://www.kinosaki-un.com/
「本と温泉」とは……
新たな温泉地文学を送り出すべく立ち上げた出版レーベル。志賀直哉『城の崎にて』の英訳を写真とともに収録するアートブック『At Kinosaki』や、湊かなえ、万城目学など人気作家の書き下ろし作品を城崎温泉限定で販売。
伝統工芸や芸能文化も長らく息づいてきた豊岡市の中心部。歴史ある街並みに想いを馳せて。
昭和2年に芝居小屋として開業。閉館と休館を経て、現在は地元の人に親しまれる映画館に。「レトロで素敵な建物。こたつつきの座席も(笑)」
豊岡劇場
https://toyogeki.jp/
ミシンを使わず、リベットだけで留める「rivet bag」は、シンプルだからこそ革の魅力が引き立つオリジナルデザイン。店頭の商品もほぼ1点ものだが、革から選んでオーダーすることも可能。
Maison Def
https://www.maison-def.com/
創業165年の老舗・西村屋が手掛ける5つ星ホテル。5万坪という豊かな森林に抱かれたロケーションで、貸切露天風呂や岩盤浴、夏は野外プールなども楽しめます。
西村屋ホテル 招月庭
電話番号 0796-32-4895
文豪・志賀直哉が『城の崎にて』を執筆したという創業300年の日本旅館。国の登録有形文化財である木造建築と四季の移ろいを感じられる美しい日本庭園は必見。
三木屋
電話番号 0796-32-2031
城崎温泉では珍しい女性限定の素泊まり宿。大正時代の建物をリノベーションした和モダンなインテリア。2〜5名で使える個室とドミトリールームを備えています。
ゲストハウス城崎若代
https://kinosaki-wakayo.jp/
58歳、旅の湯かげん いいかげん
定価 1,650円(税込)
扶桑社
ひうらさとる
漫画家。1966年、大阪府生まれ。1984年、「なかよしデラックス」 (講談社)に掲載された『あなたと朝まで』でデビュー。代表作『ホタルノヒカリ』 (講談社「Kiss」2004〜2009 年)はドラマ化や映画化を果たし、恋愛を面倒くさがる主人公・雨宮 蛍のライフスタイル“干物女” は「ユーキャン新語・流行語大賞(2007 年)」の候補に。2024年、『西園寺さんは家事をしない』 (講談社「BE・LOVE」2021〜2024年)がドラマ化。 音声プラットフォーム「Voicy」で「ひうらさとるの漫画と温泉」を配信するほか、SNS、YouTubeでも旅や日常を発信。
文=ひうらさとる