2024年12月1日、横浜港から出航したMITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)のデビュークルーズ。7日間の航路のうち、唯一海外寄港となったのが韓国・釜山(プサン)。韓国の南東に位置する、ソウルに次ぐ第二の都市です。
クルーズでの寄港地の上陸時間は、半日程度。午前中に下船して、夕方には船に戻って、次なる寄港地を目指します。釜山で与えられた自由時間は10:30〜16:30。Uberを駆使して、どこまで遊べるかチャレンジです。
まずは釜山でやりたいこと、アワビ粥を食べる。港近くの釜山駅周辺でお店を見つけて、一つ目の目標をクリア。この段階ですでに昼の12時過ぎ。駆け足でメインイベントともいえる海雲台(ヘウンデ)へ向かいます。
海雲台は釜山駅から北東へ約14キロ。約2キロの白砂ビーチが続く、韓国きってのビーチリゾートです。
遠浅の海は安心して泳げるとあって、夏には1000万人もの海水浴客が押し寄せます。「世界一パラソルの多い海水浴場」としてギネスブックにも登載されているとか。実際、2008年に7937本のパラソルを数えたそう。“立錐の余地もない”を地で行く光景が想像されます。
そんなことを考えながら、ふとUberの車窓から外を見ると、巨大な広安大橋の向こうに高層ビルがニョキニョキとそびえています。それまで勝手に思い描いていた、わちゃわちゃとした海水浴場のイメージが一掃されました。洗練されたインターナショナルなビーチエリアです。
海雲台の海岸線には真新しいホテルやレストラン、外国人向けのカジノなどがずらり。ビーチ沿いの遊歩道も整備され、観光客とともに犬を連れて散歩をする地元の人の姿も見かけます。
毎年10月には釜山国際映画祭の会場として、5〜6月には「海雲台砂祭り」のサンドアートの会場として、ほかにもゲームイベントやフェスティバルなど、海雲台は華やかに盛り上がるビーチでもあります。
温泉や海岸列車、ケーブルカーなど、数ある見どころのうち、選んだのは高層ビルの展望台「釜山・エックス・ザ・スカイ」からビーチを一望する体験。
展望台があるのは、「海雲台LCT」のうち東側にある、韓国で2番目に高い海抜411.6メートルのC棟。1階のチケットセンターで受付をして、高速エレベーターで100階の展望フロアへ一気に上がります。
展望台からは「大韓八景」の一つに数えられる海雲台の絶景が360度、見渡せます。広安大橋や、かつて島だったという冬柏島、海水浴場、高層ビル群など、まるでジオラマを眺めているよう。
一角にはガラス張りになった、地上400メートル近くに浮かぶ体験ができる“ショッキングブリッジ”もあります。
99階には“世界一高い(場所にある)スタバ”やレストラン、98階にはお土産ショップがあり、98階からふたたび一気にエレベーターで地上へ。
さて、お次はチャガルチ市場。
チャガルチ市場は韓国最大級の水産市場。1920年代頃にチャガルチ駅周辺に形成された歴史ある市場ですが、2006年に地下2階・地上7階の建物に建て替えられました。昔ながらの屋外に並ぶ露店群を“伝統市場”、クリーンに整備された屋内を“近代市場”と呼びます。
活気あふれる伝統市場をうろつくと、見たこともない魚も並んでいます。魚介類は300種を数えるとか。濃いめの化粧のおばさん達の小気味いいやりとりも、見ているだけで元気がもらえます。
近代市場で、その場で注文した活きタコの刺身をアテに、焼酎を一杯。「なんだか韓国ドラマみたい」と嬉しくなってしまいます。“チョンジャンチッ”という、包み野菜やおかずのセットをオーダーしたいところだけれど、時間の制約があるゆえ、ガマン。
チャガルチ市場から食べ歩きが楽しいBIFF広場までは徒歩10分。屋台で釜山グルメのホットクを味わって、お次は「ロッテマート 光復店」でばらまき土産を購入。ドタバタでしたけど、Uberを駆使して、結構遊べた6時間でした。
ちなみに、今回デビュークルーズに乗船した豪華客船「三井オーシャンフジ」は、オールスイートの欧米のラグジュアリーさと、ひとりひとりのニーズにあった日本のおもてなしに基づいたサービスが特徴。日本語に日本食、心からリラックスできる船旅が楽しめますよ。
海雲台
●アクセス ソウルから釜山まで高速鉄道で約3時間。
取材協力
MITSUI OCEAN CRISES(三井オーシャンクルーズ)
https://www.mitsuioceancruises.com/fuji/
古関千恵子(こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram @chieko_koseki
文・撮影=古関千恵子