この春は、サステナブルな“4種のコットン”を着て出かけよう!【自然と調和して育て、豊かな土地や生態系を取り戻し、農家を守るパタゴニアのコットン】

  • 2025年4月19日
  • CREA WEB

この春は、サステナブルな“4種のコットン”を着て出かけよう。

 アメリカ発のアウトドア企業「パタゴニア」。自然⇔街をシームレスにつなぐコンフォートなラインナップのなかでも、今季注目はコットン製アイテム! 自然界に存在するものからインスパイアされたというニュアンスカラーを纏い、思わず外に出かけたくなる心地よさとデザインを兼ねたアイテムが豊作なのです。

 ところで、パタゴニアといえば「オーガニックコットン」のイメージが強いという人も多いと思いますが、じつは4種類のコットンを使用しているのはご存じですか? 本記事では今季のおすすめアイテムとともに、地球と次世代の未来のために、パタゴニアが展開する4種のコットンとその取り組みについてご紹介します。


なぜオーガニックが必要? 始まりは“スタッフの体調不良”


PHOTO CREDIT: Tim Davis© Patagonia, Inc.

 2025年で創立52周年を迎えるパタゴニア。展開するすべてのビジネスは、“SAVE OUR HOME PLANET=私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む”というミッション・ステートメントを表明し、本質的な解決に向けた環境問題に取り組んでいることは、ファッションやアウトドア好きであれば周知の事実でしょう。

 そうした取り組みを象徴する素材の一つが、オーガニックコットン。パタゴニアは1996年に100%オーガニックコットンへ移行しています。


オーガニックコットン60%、リサイクル・ポリエステル40%を使用し、スラブニットで仕立てたTシャツ。ウィメンズ・メインステイ・ティー 7,480円。

 コットン製品がほとんどであった当時、オーガニックコットンへ移行することは倒産のリスクを背負うことでもありました。にもかかわらず、大きく舵を切ったのは、コットン製品を着ていた店舗スタッフが体調不良を起こしたことがきっかけでした。

 ピュアでナチュラルだと信じていたコットンが、調査の結果、じつは多くの農薬が使用されていたことが判明。数字にすると、全米の農薬使用量の10%が、農地全体の1%にすぎないコットン栽培に使用されており、土や水、空気、多くの生物に多大な害を与えていたのです。

 なぜオーガニックコットンに変える必要があるのか? それは人体の健康は言うまでもなく、土壌の質を向上させ、生物多様性、ひいては自分たちが住む地球環境を保護するためなのです。

パタゴニアでは4種類のコットンを使用


PHOTO CREDIT: Tim Davis© Patagonia, Inc.

 有機農法で栽培される「100%オーガニックコットン」に加え、製造工場から出た端切れを使用する「リサイクル・コットン」、オーガニック最高水準の認証を得た「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」、そして有機栽培されながら、まだオーガニック認証を受けていない移行期間中の「コットン・イン・コンバージョン」。

 現在、パタゴニアではこれら4種類のコットンを使用しながら、オーガニックな農業への転換を目指しています。


リサイクル・コットン50%、リサイクル・ポリエステル50%のジャージー素材を使用。こうした薄手のアイテムはあえてリサイクル化繊を混紡することで耐久性を高め、長く着てもらえることに重きを置いている。ウィメンズ・ロングスリーブ・'73 テキスト・ロゴ・レスポンシビリティー 8,250円。

お洒落や快適さを味わいながら、よりよい未来に貢献できる


PHOTO CREDIT: Amy Kumler© Patagonia, Inc.

 そもそもポリエステルなどの化学繊維に関しては、ほとんどバージンを使用していないパタゴニア。コットンもよく考えればバージンを使う必要がないかもしれません。

 それでもバージンコットンにこだわる理由は、土を変え、生態系を整え、農業システムを根底から転換しながら、気候危機を解決していくことにコミットするため。

 その最たる例が、「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」です。


パタゴニア東京・渋谷店のスタッフ・鍵山由起子さん(左)、中原美苑さん(右)が着用するスウェットには、「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」を100%使用。ラフに着られる軽やかなラグランスリーブ、短めの丈感が今の気分にマッチ。左/ウィメンズ・リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン・エッセンシャル・フーディ 14,850円 右/ウィメンズ・リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン・エッセンシャル・トップ 13,200円。

 リジェネラティブ・オーガニックとは、2017年にパタゴニアを含む複数の企業や団体が共同で創設した国際認証のこと。

 土壌の健康、動物福祉、労働者の公平性という3軸で構成された、いわば“最高のオーガニック基準”をクリアした農法で育てられた植物や繊維のみに与えられます。

 自然と調和しながら育て、豊かな土地や生態系を取り戻し、農家の健全な経済活動を守る。リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットンのアイテムに袖を通してお洒落を楽しむことが、よりよい未来の構築に一役買っているなんて、何だか素敵じゃないですか?


こちらもリジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン100%を使用したクルーネックのTシャツ。クラシックなシルエットを、程よいゆとりを備えたジャストフィットで仕立てていて、サラッと一枚で着るとサマになり、インナー使いでレイヤードしても快適。ウィメンズ・リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン・ティー 8,250円。

オーガニック認証取得までの道のり……「コットン・イン・コンバージョン」で農家を支援しよう


PHOTO CREDIT: Tim Davis© Patagonia, Inc.

 オーガニックコットンは、徐々に世の中に浸透し始めている。そのように感じている人もいるかもしれません。でもこの数十年でオーガニックコットンはほとんど普及しておらず、世界のコットンのうち、有機栽培によるものは1%以下というのが現状です。

 その背景の一つとして、オーガニックコットンへの移行に莫大な手間とコスト、そして最低でも3年の時間を要することがあげられます。

 そこでパタゴニアは、2020年から「コットン・イン・コンバージョン」を導入。有機栽培する農家が認証を受ける過程の間でもコットンを販売できるプログラムによって、オーガニックコットンの認証を目指す農家を中長期的にサポートしています。


パタゴニアには、4種のコットンを使ったアイテムがラインナップ。

 これまでに作られた資源を活かす「リサイクル・コットン」、現在進行系で有機栽培されている「オーガニックコットン」と「コットン・イン・コンバージョン」、そして未来の地球を育む「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」。パタゴニアが4種類のコットンを使用しているのは、よりよい地球環境を目指すためにあらゆる角度からアプローチしている結果なのです。

 単に「オーガニックコットンって、いいモノだよね」という認識から一歩理解を深めることで、袖を通したときの心地よさ、喜びは何倍にも膨れ上がるはず。興味が湧いた人は、ぜひ実際にお手にとってみてください!

ニュアンスたっぷりのカラーも魅力 パタゴニアのコットンを着て出かけよう


パタゴニアには専属のカラーパレッターが在籍し、実在する植物や動物からインスピレーションを受けてカラーを制作している。オーガニックコットン95%とヘンプ5%をクレープ織りにしたシャツは、軽量性と通気性に優れる。ウィメンズ・ライトウェイト・A/Cシャツ 12,100円。

 今シーズンのアイテムは、大人の女性も取り入れやすい落ち着いたカラーリングが魅力。自然界の美しさをふんわり表現したようなカラーは、フィールドにも街にもすんなりと馴染みます。

 今回は豊富なラインナップのなかから、パタゴニア東京・渋谷店スタッフの鍵山さんと中原さんにおすすめのアイテムを教えてもらいました。


半袖シャツと同素材の長袖シャツ。着丈が長めに作られているから、インにアウトに着こなしの幅も広がる。ウィメンズ・ライトウェイト・A/Cボタンダウン 14,850円。

 鍵山さんのおすすめは、お客様のリピート買いやスタッフ着用率も高いというヘンプ混のシャツ。

「まずは着た時のシルエットがとても綺麗。後ろの裾を長めに設けたパターンは、体型が気になる方も着やすいと思います。またとにかく軽くて、リネンのようにサラッとした肌触りが気持ちいい。海や川遊びで濡れてもすぐに乾くし、長年使っていますが縮みも気になりません。個人的には長袖がおすすめ。衿付きでラフすぎないし、夏場は日よけにもなります。シャツの裾を結んでアレンジしても可愛いですよ」


オーガニックコットン100%使用したロンTは、丈が短く、ゆったりしたボクシーなシルエットが今っぽい。色みの異なる糸を何本も組み合わせることで、ニュアンスのある柔らかいホワイトを表現。ウィメンズ・ロングスリーブ・アプライド・イマジネーション・イージーカット・オーガニック・ポケット・Tシャツ 8,250円。

 一方、小さな子どもも思わず手に取ってしまうほどの柔らかさを備えたポケットTシャツは、中原さんのおすすめ。

「触ってもらうとわかりますが、とても生地が柔らかいんです。これはオーガニックコットンだからではなく、織りの違い。ちょっとしたテクスチャ―の違いも表現できる熟練の織り工場による、質のいい生地を使っているからこそ体感できる柔らかさです。着ていて気持ちいいロンTは一枚あると便利で、たとえば旅先では街使いから部屋着、飛行機の機内着まで、心地よさをシーンレスに味わえます」


この春こそ、サステナブルな“4種のコットン”を着て出かけよう。

 さぁ今年は、心と体、自然環境に配慮したパタゴニアのコットンを纏って、心地よい春の行楽を楽しみましょう。

パタゴニア

https://www.patagonia.jp/home/

文=平野美紀子
写真=釜谷洋史

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