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渋谷の街中、駅から10分の自然へ 「日本で一番小さい植物園は、 とてもやさしい場所でした」影山優佳

  • 2024年4月8日
  • CREA WEB

渋谷駅からほど近い、渋谷区ふれあい植物センター。日本一小さな植物園をうたっている。

 人を惹きつける“重力(GRAVITY)”に満ちた場所を俳優の影山優佳さんが巡る連載「NIPPON GRAVITY」。

 第2回の行き先は多くの人が行き交う街・渋谷。駅から10分ほど歩いた場所にある“日本一小さな植物園”「渋谷区ふれあい植物センター」を訪ねました。


日本一小さな「育てて、食べる、植物園」


施設内は温室になっていて、晴れた日には気持ちのよい空間が広がっている。

渋谷区ふれあい植物センターの設立は2004年。主に渋谷区の可燃ごみの処理を担う渋谷清掃工場の還元施設として建てられました。“渋谷の庭”として親しまれてきた同館が新しく「栽培・収穫・消費」を体験できる植物園としてリニューアルしたのは2023年の7月29日のこと。

「『農と食の地域拠点』として生まれ変わりました。内装やデザインが変わっただけでなく、中の植物もコンセプトに合わせて入れ替えています。ここで育てられている植物は食べられるものにしているんです。そうすることで『農』と『食』の循環を来場者に感じてもらえる場所になればと考えています」

 そう話すのは「渋谷区ふれあい植物センター」の園長の小倉 崇さん。さっそく園内を案内してくれました。温室へと入る前に、まずは入口に入ってすぐ、1FのBOTANICAL STAND(ボタニカルスタンド)へ。ここにも植物園のコンセプトを体現する仕掛けがたくさん詰まっています。

園の植物を使ったハーブティーが歓迎の挨拶


左が園長の小倉 崇さん。

園で採れたハーブを使ったハーブティーを召し上がれ。

 渋谷区ふれあい植物センターは入園料100円(未就学児は無料)。ボタニカルスタンドは無料で立ち寄ることができます。ここでは、有機野菜を使用した自慢のピッツァをテイクアウトできるほか、スペシャルティコーヒーやハーブティーなども提供しています。


朝に収穫したものを使っているというハーブティーにこの表情。

「私、小さいころは香りにすごく敏感だったので、強い香りが苦手で。ハーブとか自然由来の繊細な香りでないとリラックスできなかったんです。今でこそ香水なども嗜むようになりましたが、植物の香りは変わらず癒やし。レモングラスは特に好きなハーブで、爽やかな、スッと鼻に抜けるような香りが大好きなんです」(影山さん)


LFC(ローカルフードサイクリング)コンポストやフェルト生地のプランターなどアーバンファーミングの手助けとなるアイテムも販売している。

「当園自慢のハーブを使ったフードはもちろん、農の拠点でもあるので、アーバンファーミングをはじめるにあたって欠かせないアイテムも販売しています。特にこのLFC(ローカルフードサイクリング)はおすすめですね。自分の生活から出たゴミをこうしてコンポストで再利用できるんです。伝統野菜や固定種と呼ばれる自家採種によるタネを扱う野口種苗さんのタネも小分けにして販売しています。たくさんの人が気軽に農に触れるきっかけになってほしいですね」(小倉さん)

「自宅のキッチンから出た廃棄物が、新しい植物の命になり、そしてまた次のサイクルへとつながっていく。小さな循環だけど、ちょっとした日常のアクションが未来をつくると考えると、尊いことに感じられますね」(影山さん)

“植物が奏でる音楽”を聴くことのできるスペースも


植物に囲まれた居心地のよい空間は渋谷の街歩きの最中に立ち寄るのにもぴったり。

園内にはたくさんのフルーツの木が。農と食をテーマに掲げていることもあり、食べられる植物が育てられている。

 温室に足を踏み入れると、そこには光が射しこむ開放的な空間が広がっています。施設内で育てられている植物はフルーツの木が多くを占めます。パッションフルーツやバナナ、パイナップルなどのメジャーなフルーツから、一般にはあまり流通してないオレンジの一種・スイートスプリングなど、さまざまな植物が育てられています。


1Fの温室内、階段下にある「Music of Plants(ミュージックオブプランツ)」では“植物が奏でる音楽”を聴くことができる。

「『Music of Plants(ミュージックオブプランツ)』では植物が奏でる音楽を聴くことができるんです。植物が発する生体電位を採取して、それを音階へと変換し、さらにそれをサウンドスケープへと昇華させたものです」(小倉さん)

「植物の音楽……想像以上に力強いですね。生命の鼓動というか、脈打つ感覚が伝わってくるようです。季節によって、植物の種類によってもリズムや音階が変わるというのも興味深いです。植物ってまだまだ知らないことがたくさんあるんですね」(影山さん)

これからの農業の可能性を感じる「Farm Labo(ファームラボ)」


「Farm Labo(ファームラボ)」はLEDと水耕栽培を利用して植物を育てる室内型菜園。

 温室の奥、幻想的な光を放っている近未来的なエリアが「Farm Labo(ファームラボ)」。ここでは、太陽と大地の代わりにLEDと水耕栽培を利用して有機野菜を育てています。

「今は水耕栽培の技術がどんどん進化していて、安定的に栽培ができるようになっています。光がマゼンタ色なのもその進歩の結果。植物が光合成して成長する時には赤色光と青色光が重要なので、それを混ぜた結果、この色になっているんですよ。光を当てる長さを変えると蓄積される栄養分も変わるということも分かってきました。まさに日進月歩。ここで採れる野菜は2階のカフェで提供しているピッツァに入れたりしています」(小倉さん)


2Fにはカフェと図書スペースが。ゆっくりとくつろぐことができる。

「渋谷の駅のこんな近くに、植物に包まれた空間があるなんて知らなかったです。ふとした時に立ち寄るのもいいし、気軽に植物に触れるのに足を運ぶのも良いですね。たくさんの人が生活する東京という街の中ですが、のんびりとした穏やかな時間が流れている。また、この場所に来てみたいですね」(影山さん)


「今度はピッツァを食べにきます!」と影山さん。

取材協力 渋谷区ふれあい植物センター

所在 東京都渋谷区東2丁目25−37
https://sbgf.jp/

影山優佳(かげやま・ゆうか)

2001年生まれ、東京都出身。23年7月にアイドルグループ「日向坂46」を卒業し、俳優・タレントとして多方面に活躍中。21年には『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜ファイナル』で映画初出演。サッカー通としても知られ、「ABEMAスポーツタイム」のスペシャルサポーターも務める。「ハコビヤ」、「春になったら」などドラマ出演も多数。2024年5月28日から上演される舞台『未来少年コナン』にてヒロイン・ラナ役を務めることが発表された。

文=CREA編集部
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=遠山祐紀
スタイリスト=合田凪沙(ALCATROCK)

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