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ライオンコーヒーのルーツを探れ! ハワイ・カリヒのライオンコーヒーで 日本語工場見学ツアーが再開

  • 2024年4月6日
  • CREA WEB

カリヒにあるライオンコーヒーショップでは、ライオンコーヒーの旧キャラクターと出会えます。

 ハワイの定番土産といえば、赤いパッケージにライオンマークの「ライオンコーヒー」。ハワイでは誰もが知っているコーヒーブランドですが、実はその生まれはハワイではありません。

 1979年、ある青年実業家によってライオンコーヒーはハワイに根付くことになりました。今回は、ライオンコーヒー好きにはたまらない、ライオンコーヒーのトリビアやルーツをご紹介します。

 また今年に入り、コロナ禍でずっと中止されていたライオンコーヒー日本語工場見学ツアーがようやく再開! 待ちに待った工場見学の様子もレポートします。


ライオンコーヒーは、実はハワイ発祥ではないんです!


お土産に人気のライオンコーヒー。

 今でこそハワイの定番のお土産として、ABCストアやスーパーなどでよく目にするライオンコーヒーですが、ハワイ発祥ではないことを知っていましたか?

 1864年、アメリカ・オハイオ州トレド在住のC.C.ウォーレン氏がコーヒー焙煎に成功したのがライオンコーヒーの始まり。今から160年前、日本では新撰組による池田屋事件が起きた幕末ころからライオンコーヒーがあったと思うとすごいですね。


カリヒにあるライオンコーヒーの工場には、オハイオ州で誕生した当時の工場の写真が展示されています。写真中央にある建物が工場です。

ライオンコーヒーのカフェの一角にあるミュージアム。

 その後、「ウールソン・スパイス・カンパニー」のオーナーであったアルビン・マンスフィールド・ウールソン氏が買収し、ライオンコーヒーを有名なブランドにしたといわれています。

 その方法の一つが、密閉できる1ポンド缶にコーヒーを詰めたこと。これにより、コーヒーの新鮮さを保つことができるようになり、質のよいコーヒーが飲めるようになったため、人々はこぞってライオンコーヒーを買うようになりました。

 さらに、プロモーションキャンペーンを行ったことで、人気に火が付いたのだそうです。今は当たり前に行われていますが、当時としては画期的なことでした。

 そのキャンペーンとは、パッケージに描かれたライオンのイラストの頭を切り取って郵送すると、紙人形やトレーディングカードといったギフトをもらえるというもの。

 このときに多くの人がキャンペーンに応募したことが、アメリカでバルクメールができるきっかけになったそうです。

 実際にプレゼントされたギフトは、ホノルル・カリヒにあるライオンコーヒーのカフェの一角に設けられたミュージアムでご覧になれます。


プロモーションキャンペーンギフトのトレーディングカード。

こちらはクリスマスカード。

 1900年代初頭に入ると、ライオンコーヒーは世界でも最大級の大きなコーヒー焙煎業者となりました。

 しかしその後、1929年の世界恐慌をはじめ、さまざまな不運が重なり、ライオンコーヒーはしばらく休眠状態に。

ライオンコーヒーのホームグラウンドがついにハワイへ!


アメリカ本土から海を渡ってきたということから、船長姿のライオンが望遠鏡でハワイを探しているというデザインに(望遠鏡の中には、ハワイの象徴であるダイヤモンドヘッドが見えます)。

 では、どのようにしてライオンコーヒーはハワイに渡ってきたのでしょうか。

 それには、ハワイの青年実業家、ジェームス・デラノ氏の貢献がありました。もともとコーヒー会社をハワイで開きたいと考えていたデラノ氏は、高品質のコーヒーを取り扱っている業者を探していました。その際、アンティーク好きだったこともありライオンコーヒーの古いポストカードを発見。調べてみると、ライオンコーヒーは休眠しているものの、ブランドと商標の権利が利用可能であることがわかりました。

 そこで、デラノ氏はオハイオ州を訪問し、ライオンコーヒーの権利を購入。ウールソン・スパイス・カンパニーが保有していた当時のグッズ、ポストカード、商標などをすべて引き取り、ハワイに戻ってきたのです。


昔のライオンコーヒーのパッケージなども展示されています。

 1979年にデラノ氏はホノルルでライオンコーヒーの事業を始め、ライオンコーヒーブランドはハワイのものとなりました。

 デラノ氏がポストカードを発見していなければ、今このブランドはなかったかもしれない、と思うと発見してくれたデラノ氏には感謝するしかありませんね。

大人気のライオンコーヒーの工場見学が2024年から再開


ライオンコーヒー工場見学ツアーの集合場所には、ライオンコーヒーのスタッフであり、ツアーガイドも務めるウィリアムズ靖子さんが待っていました。

 ライオンコーヒーは現地でも人気ですが、日本人観光客にも本当に人気。工場見学ツアーは英語ツアーに先立ち、日本語ツアーから再開されたほど。2024年1月4日から毎週火・木曜の10:00と13:00の2回開催しています。

 ツアーガイドを務めるウィリアムズ靖子さんによると、コロナ禍でツアーが中止になっていたとき、連日多くの日本人観光客から日本語ツアー再開のリクエストがあったそうです。

 1回の定員は6人で、公式サイトからの事前予約制です。少人数制なので、ハワイ旅行の日程が決まったら早めに予約することをおすすめします。

 また、参加にはいくつか条件があります。年齢は12歳以上。工場内は通路が狭く、足元が悪い箇所が多いこともあり、車いすや杖等は使用できないのでご注意ください。

 工場内には見学者用の通路があるわけではなく、工場内で働くスタッフのみなさんと同じ場所を歩くので、工場見学ツアーとしてはとっても臨場感があります。その代わり、安全面・衛生面についてはスタッフと同様の厳しい条件が適用されます。


工場見学ツアー参加前のお願いの貼り紙。荷物を預けるロッカーにもキャラクターのライオンが。

 たとえば、食品を扱う工場ですから、ヘアネットの着用、ひげのある人はひげカバーの着用が義務付けられています。

 さらに、袖の付いている服を着用すること(タンクトップはNG)、つま先の見えるサンダルやビーチサンダルを履いている場合はフットカバーを着用するなど、いくつかルールがあるので、事前にウェブサイトでチェックしてからお出かけください。


ライオンコーヒーミュージアムの入り口。

 工場見学ツアーの集合場所は、店内にあるライオンコーヒーミュージアムです。ツアーの看板があるのですぐわかります。

 ツアー開始前には、ツアー参加にあたっての「リスクの承認と免責および責任免除文書」や「製造管理および品質管理に関する基準同意文書」に署名するといった手続きも行います。すべて日本語で書かれているので、一読してからサインしてくださいね。

 見学する前にミュージアムで、靖子さんからライオンコーヒーがハワイにやってくることになったいきさつやロゴのライオンに関する秘密などを教えてもらえます。工場見学前からワクワクが止まりません!


参加前に、日本語の免責同意書などに署名します。

 スマホやカメラをはじめ、すべての荷物をロッカー(鍵あり)に預ける必要があるため、大きい荷物は持ち込まないようにしましょう。

 工場内にはスマホなどの撮影機器も持ち込めないので、しっかり目に焼き付けてくださいね。なお、本記事では特別な許可を取って撮影させていただきました。


ライオンコーヒーのかわいいマークが付いたロッカーに、すべての荷物を入れてから行きます。

ワクワクの工場見学ツアー

 さあ、工場見学ツアーのスタートです。工場に入ると、世界中から厳選したコーヒー豆がたくさん積まれていました。これぞまさにコーヒー工場、という感じです。


世界中から集められたコーヒー豆がたくさんあります。

 こんな巨大な焙煎機でコーヒー豆が焙煎されていくそうです。


コーヒーの焙煎機。

 ライオンコーヒーといえば、バニラマカダミアやヘーゼルナッツといったフレーバーコーヒーが人気ですよね。焙煎後に、こちらの機械で香り付けを行います。


フレーバーを付ける機械。

 最後の工程は、おなじみの赤いパッケージへの袋詰め作業。見慣れたパッケージにコーヒー豆が入っていく様子が見られて、楽しい。


機械でコーヒー豆を袋詰め。

 最後に手作業でクリップを付けて完成です。


完成した商品のパッケージに、金のクリップ付けをしています。

 パッキングされたコーヒー豆は箱詰めされ、世界中に発送されます。

 工場見学ツアーでは、商品ができるまでの一連の工程を見学できます。このツアーの行程は日本人の靖子さんが考案したものなので、日本人観光客に理解しやすいようにアレンジされた内容になっています。

 靖子さんによると、参加した人から「以前の日本語ツアーに比べて、より近くで見学でき、とてもわかりやすいツアーになっていて楽しかった」といったコメントが多数寄せられているそうです。


ライオンマークの付いた段ボール箱に詰められ、出荷待ち。

 ツアー終了後には、コーヒーの試飲ができます。実際に工場で見たコーヒーをその場で飲めるのもうれしいですよね。

 カフェのスタッフがその日のおすすめのコーヒーを選んでくれます。この日はフレーバーコーヒーとオリジナルのコーヒーの2種類を堪能しました。


ツアーにはライオンコーヒーの試飲も含まれます。

 参加費は1人10ドルですが、コーヒーの試飲と非売品のキーホルダーも付いていてとってもお得。大人の社会科見学気分で楽しめるこちらのツアーはイチオシです。

 また、ツアーでは靖子さんからさらに詳しい話が聞けるので、ぜひ参加していろいろな話を聞いてみてください。


工場見学ツアーに参加すると、非売品のキーホルダーがもらえます。

コーヒー工場見学ツアー詳細

開催日 毎週火・木曜
開始時間 10:00、13:00
参加人数 1回につき最大参加可能人数6人
言語 日本語
年齢 12歳以上
予約方法 公式ウェブサイトから完全予約制
参加費 1人10ドル
※参加費用に含まれるもの
工場見学ツアー特製キーチェーン(非売品)
ライオンコーヒー2種のサンプリング
駐車スペース(乗用車サイズ)
https://hawaiicoffeecompany.co.jp/roastery/

ライオンコーヒーのカフェ兼ショップで、日本未発売のグッズを購入しよう


ハワイにあるライオンコーヒー唯一のカフェ。

 カリヒにあるライオンコーヒーは、ワイキキから公共バスの「The bus」(20番、42番)で約50分の場所にあります。最寄りのバス停からは徒歩5分と近いので、レンタカーやライドシェア以外でも行くことができます。

 カフェも併設しているので、カフェを求めてここまで訪れる人もいるようです。


コーヒー豆やロゴグッズの販売店に併設してカフェがあります。

 店内には豆のほかに、アパレル、マグカップ、タンブラー、エコバッグ、ステッカーなど、日本未発売のアイテムが多数あります。ライオンコーヒー好きにはたまらないラインナップです。


店内では日本未発売のマグカップやタンブラーなどを販売。

ライオンの新旧キャラクターステッカー。

 ハワイの地元新聞「Honolulu Star-Advertiser」が毎年読者投票で「Hawaii’s Best」を選出していますが、コーヒー部門はライオンコーヒーが2017年から7年連続で受賞しています。

 このように、ロコに愛されているライオンコーヒーですが、2018年にライオンのデザインが変わったのはご存じでしょうか?


2018年から、ライオンのデザインは、ハクレイを冠にしたライオン。

 ライオンコーヒーがハワイにやってきた1979年以来長らく、アメリカ本土からハワイまで海を渡ってきたという意味で船長姿のライオンでした。

 ハワイに来てから38年が経った2018年に、そろそろライオンもハワイに染まってもよいのではないかということで、ハワイの象徴・ハクレイを冠にしたライオンに変わったそうです。


2018年まで使用されていた船長姿のライオンと靖子さん。

 このようにライオンコーヒーのことを深く知ることができる工場見学ツアーに、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?


ライオンカフェ&ジェネラルストアは、この赤い壁が目印。

ライオンカフェ&ジェネラルストア

所在地 1555 Kalani St, Honolulu, HI 96817
電話番号 808-847-3600
営業時間 6:30〜15:00
定休日 土・日曜
https://hawaiicoffeecompany.co.jp/

宮本紗絵

2021年10月から独立し、ハワイをメインにPR、マーケティングのコンサルタントとして活動し、ハワイのホテルのPR、メイドインハワイ・プロモーションなどを担当している。それ以前は、2013年2月にハワイ州観光局PRマネージャーとして入局し、2021年9月までハワイの魅力を伝えるため、PR、マーケティング、イベント、セールスを担当。また、観光局以前は、外資系PR会社にて、政府観光局をはじめ消費財など様々な業種の広報活動に携わる。趣味は旅行。プライベートでも年8回以上北米、ハワイ、アジア、オセアニア、ヨーロッパを訪れる。これまで41カ国訪問した中で、一番好きな場所は、ハワイ・ラナイ島とイギリス・オックスフォード。イギリス・オックスフォードでは、大学院にて国際経営学を学ぶ。

文・撮影=宮本紗絵

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