
風情ある日本家屋の茶室を改築して茶屋にしたという「香下庵茶屋」。こぢんまりとした茶室の端正なしつらえに和の趣きを感じながら、焼きたてのお団子で一息つけるお茶屋さんです。見どころの多い北鎌倉の散策途中に立ち寄ってはいかがでしょうか。
北鎌倉の駅を円覚寺方面に出るとすぐの場所にある「香下庵茶屋」。緑をたたえる生垣と桜の大木のある一軒家で、緑色の暖簾が目印です。情緒のある門をくぐり石の階段を登るとあざやかな緋もうせんを敷いた縁台のあるテラスがあり、お店に入る前から北鎌倉らしい風情が漂います。
3畳の小間と呼ばれる茶室のある日本家屋をリノベーションしたというお店は水屋や待合の和室だった部分も一緒に改築したのだそう。ゆったりと座れるカウンターが庭に向かって設置され、どこに座ってもお庭の様子がよく見えます。
昔ながらの木枠の窓には障子がはめられ、冬は温かみ夏になると涼し気な印象を与えてくれる細い竹を簾網にした簾天井も所々に見られるなど、日本で古くから使われている建具と木の温もりがホッと一息つける空間です。窓からは木の欄干が庭に張り出し、その欄干を囲う杉の皮を自生のリスがかじりに来ることもしばしばあるのだとか。
名物のお団子は注文を受けてから焼く熱々のできたて。外側はカリッとしながらもモチモチとした食感で甘じょっぱいタレがたっぷり、お茶と一緒にのんびりいただきましょう。品のいいこし餡をトッピングしたお団子との2種類です。
お天気のいい日は、外のテラスでのんびりとした北鎌倉の雰囲気を感じながら過ごすのもおすすめです。定番の「クリームあんみつ」やぜんざいなどのほか、ケーキやゼリー、パフェなどのグラススイーツなどが季節に合わせて多様に登場します。お干菓子のつく抹茶や冷たいグリーンティーにもよくあいますよ。
季節感はぜひお昼のランチでも楽しんで。寒い時期のけんちん汁やお正月には初春ランチなど色合いも華やかなお膳です。取材で訪れた時は鎌倉の老舗「井上蒲鉾店」の蒲鉾を贅沢に使った「春色のちらし寿司」でした。野菜の甘みを十分に引き出した汁物もアスパラなど旬の味わいがたっぷり。北鎌倉の四季を感じながら過ごしてくださいね。