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秋の新作もおしゃれ。愛知・瀬戸発の陶磁器ブランド「マルミツポテリ」のショールームへ

  • 2020年9月27日
  • ことりっぷ


愛知県瀬戸市に本社がある陶磁器メーカー「マルミツポテリ」。30年ほど前からオリジナルの器づくりをスタートさせ、今では数多くの飲食店でも使われるほどに。人気ブランド「スタジオエム」の器は、見かけたことがある、使っている…という人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「マルミツポテリ」のすべての器が並ぶショールームを訪問し、"マルミツポテリの器づくり"についてお話をうかがいました。3000種以上あるという器を見ると、そのバラエティの豊かさに驚かされます。この秋にリリースされた新作もご紹介しますよ。
愛知県瀬戸市に本社兼ショールームがある「マルミツポテリ」。瀬戸市は「せともの」とも呼ばれるように、陶器の製造で栄えた町で、窯業関連の会社や窯元が数多くあります。そんな瀬戸市でせとものを販売する商店を経営する会社の2代目だった、現在の「マルミツポテリ」の社長。海外の陶器にインスピレーションを受け、オリジナルの陶器作りを30年ほど前にスタートさせます。
ショールームでは「キャトルルパ」という初期に誕生したシリーズも並んでいて、カラフルな色合いが目を引きます。カジュアルでおしゃれなデザインは、海外ブランドのような雰囲気。カラーバリエーションを増やしながら、今も愛されている人気商品です。
陶磁器の技術が集まる地の利を活かして多種多彩な陶器を作ってきた「マルミツポテリ」。その使い方、楽しみ方を自社ショップで直接お客様に提案してくことで、次第に人気を集めるようになります。
今では10の直営店を展開し、全国のセレクトショップでも販売されている「マルミツポテリ」の器。普段使いできる家庭向けシリーズ「スタジオエム」と飲食店向けの「ソボカイ」という2つのブランドがあり、合計3000種類以上もの商品を展開していますが、そのすべてが一堂に集まるのが、瀬戸市の郊外にある本社ショールーム。オフィススペースと一体となっているのでスタッフの方々が働く様子を垣間見ることもできます。ここでさまざまな器が生み出されていることが、伝わってくる空間です。
そんな本社で企画デザイン担当として働く松本さんに、自身が担当した器についてお話を聞くことができました。2020年秋冬の新シリーズがリリースされたばかりですが、今回の新作でも2つの商品を担当しています。この秋の新作のテーマは「素材を活かす」。磁器を使うことで表現した繊細な模様や穴の開いたデザインが美しい器は、松本さんが企画デザインした商品のひとつです。
「まずはどんな料理をのせるか、どんな時に使ってもらいたいかなど、器を使う食卓のイメージを膨らませてコンセプトを考えます。秋冬向けということで、ケーキをのせたり前菜を盛り付けてテーブルを華やかに彩る、ハロウィンやクリスマスのパーティに使ってもらえる器を企画しました」。
器を見ると縁にあしらわれたレースのようなモチーフとシックな色合いが印象的。透明感のある釉薬を使うことで、器の凹凸が際立ち、奥行きのあるデザインが生まれています。色はかわいくなりすぎないよう、白のほかグレーやダークグリーンなど大人っぽい色をチョイスしました。シンプルなお菓子をのせてもテーブルが華やぎそうです。
この器には「クロッシェ」という名前が付いていますが、これも松本さんが考えたもの。
「企画とデザインが通った段階で、器の名前を考えるのですが、いつも悩みます。ハート型の穴が開いていたので、ハートの器と呼んでいたのですが、手作りの温かみがあるレースをモチーフにデザインしていたので、フランス語でかぎ編みレースのことを指す「クロッシェ」という名前に決めました。名前が付くと、とても愛着がわいてきます」。「スタジオエム」のほとんどの器には、この様な作り手の思いを込めた名前が付けられているそうです。
デザインや名前が決まったら、器を作るための型など実際の形づくりの作業に入ります。器づくりは分業なので、材料である土、製造するための型、色やツヤを表現する釉薬など、それぞれに専門の会社や職人に発注をしていきます。
「ハート型の穴をあけたデザインにしたのですが、いざ釉薬をかける作業に入ると穴が小さすぎて埋まってしまう…と分かり、穴を大きくデザインすることになりました。さまざまな工程があるので、何度も調整しながら商品を作り上げていきます」。
ほかにも木蓮の花をモチーフにした、和菓子の似合う小皿や、凹凸で表現した花を釉薬によって浮かび上がらせる皿など、印象的な器を生み出している松本さんですが、入社してから2年ほどは企画がまったく採用されなかったとか。
「やっと採用されたうちのひとつが、サンドイッチを盛り付けるためにと考えた器です。没になるたびに再考して、ようやく形になった一皿。うれしさ以上に、やっとできたという安堵感が沸きあがりました」といいます。企画した器を完成まで担当し、作り上げていくことの大変さがうかがえます。
「マルミツポテリ」には松本さんのような企画デザイン担当の方が5人ほどいて、新しい器を年2回リリースしています。さまざまな素材や色、形の器がありますが、時代を感じさせない、普遍的なデザインが落とし込まれているので、多彩な使い方ができるのが「マルミツポテリ」の器の魅力です。
ショールームに並んでいる器をよく見ると、料理名が書かれた付箋が付いたものも。この器を使った具体的な料理をスタッフの方が提案しています。一見和風な丼も「牛肉のフォー」と書かれた付箋を見ると、アジアンな雰囲気の器に見えてくるから不思議です。
大学で陶芸を学び、食べることが大好きで食にかかわる仕事がしたいと「マルミツポテリ」に入社した松本さん。「お客様はもちろん、たくさんの器を作ってきた先輩や社長をびっくりさせたい。すごいの出てきた!と言わせたいです」と意欲的。今回の新作「クロッシェ」も、繊細な表現ができる磁器素材の特徴を生かして思う存分装飾にこだわった器を作りたかった、と言います。松本さんが、これからどんな器を作ってくれるのか、とても楽しみです。
器選びが楽しくなる、バラエティ豊かな器を作り続けている「マルミツポテリ」。作っている人の思いや、どんな風に作られたのかに思いを馳せると、きっと器選びが楽しくなりますよ。そして商品を手に取ったら、裏側も見てどんな名前が付いているのかチェックしてみてくださいね。

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