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京都・銀閣寺から世界へ。1つ1つの器に物語が宿る「読む器」 /陶板画作家・SHOWKOさん

  • 2020年8月7日
  • ことりっぷ


陶板画作家SHOWKOさんが立ち上げた「SIONE」は、1つ1つの器に物語を込めた「読む器」をコンセプトにしたブランドです。
白く滑らかな磁器に金彩とよばれる釉薬で絵付けされた器は、国内だけでなく海外からも高く評価されています。
京都・銀閣寺にあるショップ兼工房「SIONE銀閣寺本店」にてお話を伺いました。
■プロフィール
SHOWKO(しょうこ)/京都府出身。330年続く、茶陶の窯元の家に生まれる。佐賀での陶芸修行の後、陶板画作家として制作を開始。2009年、読む器というコンセプトで物語のあるブランド「SIONE(シオネ)」を立ち上げ、2016年に直営店をオープン。陶板画制作やアートワークなどを通じて、もてなしの時間や空間を創造し国内外にて活躍中。
市バス銀閣寺道から徒歩4分、京町家をリノベーションした「SIONE銀閣寺本店」は陶板画作家SHOWKOさんが手がける繊細で凛とした器が並ぶお店です。
ブランド名の「SIONE」は「詩」と「音」を合わせた言葉で、「詩や音のように自分の中から自然に沸き起こる物語みたいなものをテーマに名付けています」とSHOWKOさん。白磁に金彩で描かれるのは、心の内から生まれる物語をイメージした景色。風や雪や花などの自然物が多くモチーフになっています。
京都で6代続く窯元で育ち、生まれた時から身近に焼き物がある暮らしをしてきたSHOWKOさんですが、陶芸はずっと遠い世界に感じていたそう。
「実家では跡継ぎは男性と決まっていて兄が継ぐことになっていました。両親としては陶芸以外の道に進んで欲しい、という思いもあったそうです。ただ大学で日本文学を学んでいる時から手に職をつけたいなーとずっと悩んでいたんですよね。ある時、卒業後によく遊びに行っていた友達のお父さんから“家が焼き物屋なのにそこで学ばないのはもったいない”って言ってもらってハッと気づいて」
友人のお父様の一言がきっかけで、ずっと蓋をしていた陶芸への想いが目覚めます。
そこから陶芸の学校に通い、卒業後は佐賀県の陶板画作家さんの元で修行をしたSHOWKOさん。
京都に戻ってからは陶板画作家として個展をしながら、グラフィックデザインの会社に勤めます。
「お客さんがどう感じるか、こちらの想いをどう伝えるか」を日々考えてデザインする中で、茶道の中にも「相手にもてなしの心を伝える」という共通点があることに気づきます。
元々実家の窯元では茶道に関する陶器が数多く作られていました。茶道の世界では、茶碗や道具に「銘」と呼ばれる名前がつけられ、お茶会ではその名前から会話が広がり場を盛り上げることも。そういった楽しみを日常にもっと取り入れられないか、そんな発想が物語を内包する「読む器」のコンセプトにつながったと言います。
SIONEの器は、まず初めにSHOWKOさんがコンセプトを決め、形状のデザインを行います。そして、ともにSIONEブランドを制作している佐賀県の職人さんたちに成形を委ね、その器に京都にて絵付けをし、焼き上げて完成です。
「修行時代に佐賀の産業自体がだんだん収縮しているというのを見ていたこともあり、向こうの腕利きの職人さんと一緒に仕事をしたいと思ったのが、この製造工程を選んだきっかけです。」
京都で育まれたSHOWKOさんの感性と佐賀で守られてきた熟練の技術が合わさり、唯一無二のSIONEの器が生み出されています。
SIONEの代表作である「Pottery Book」は、「読む器」のコンセプトが形になった商品です。物語を読むように器を楽しめるこちらの商品ですが、実はもう一つ大きな仕掛けが。添付のQRコードにアクセスすると器をイメージした音楽を聞くことができます。
「器につけた言葉から連想した音楽を音楽家の人に依頼しました。器の可能性を広げるっていうのが自分のミッションとしてありまして、物語をつけるというのもその一つなんですが、料理や家具や音楽の在り方が、器から発想されると良いなと思っています」とSHOWKOさん。
一つ一つの器に物語やタイトルがあるSIONEの食器では、他ではできないコーディネートで盛り付けるのも楽しみの一つです。
お皿とお碗を同じ柄で揃えるのはもちろん、花と月のように違う絵柄を重ねて、自分なりの物語を作ってみるのもオススメ。シンプルなストライプのプレートに傘を描いたプレートを重ねれば、雨を表現することもでき、楽しみ方は無限に広がります。
ショップの奥にはカフェがあり、お茶やスイーツを楽しんだり、ワークショップを体験することができます。「いろんな人にこの場所を使っていただけるようにしたいなという思いもあったので、SIONEの器を使ったマクロビランチのイベントや中国茶のレッスンなども定期的にしています」
「今、縄文式土器が見られるのと一緒で、陶磁器って人が亡くなった後でも何万年後とかもあり続けるものなんです。SIONEの器から今のお茶文化だったり、こんなに優れたもてなしの文化があったんだなということや、物語を感じてもらえてたら嬉しいです」
料理を美しく見せるだけではなく、込められた物語に想いをはせることで私たちの想像力をかき立て、いつもの日常に非日常をプラスしてくれるSHOWKOさんの器。
ミラノやパリなど海外の展示会でも高く評価され、活躍の場を広げているSHOWKOさんの生み出す物語にこれからも目が離せません。

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