茨城県の〈国営ひたち海浜公園〉は、ひたちなか市の太平洋岸にあり、春はネモフィラ、スイセン、チューリップ、初夏にはポピーやバラ、夏のジニア、ヒマワリ、秋にはコキア、コスモス、冬のアイスチューリップなど、四季を通して色彩豊かな花々が楽しめます。そんな花いっぱいの美しい公園にはこんなヒストリーがありました。
美しく花々が咲く丘は、かつて米軍の軍事演習場だったコキア以外にもカラフルな花々が咲く「みはらしの丘」。
茨城県屈指の観光スポットとなっている「みはらしの丘」は、テレビやSNSでも話題を呼び、連日たくさんの人が訪れるほどの人気。今でこそ立派な絶景スポットですが、現在の丘になるまでには長い年月がかかっています。美しく花々が咲く公園は、かつて日本軍の水戸東飛行場があり、終戦後は米軍により射爆撃場として使われていました。
爆撃場での演習風景。
長年騒音に苦しめられた地元住民たちの返還運動により、昭和48(1973)年3月に日本に返還され、「平和の象徴として公園を整備したい」という住民の強い思いにより、〈国営ひたち海浜公園〉が誕生。無数の爆弾や銃弾が撃ち込まれた標的の跡は、大型トラック20万台分の残土を使用し、約25年の歳月をかけて高さ30メートルの丘が造成され、住民たちが願った言葉の通り、平和で穏やかな絶景の丘が誕生しました。
ひたちなか市の最高地点から太平洋を一望最高地点から見た太平洋。
現在、花いっぱいの丘に生まれ変わった「みはらしの丘」には3つの頂上があり、一番高い頂上は標高58メートル。現在、ひたちなか市で最高地点となっています。
ライムグリーンから紅葉していく様子。
7月上旬から夏の日差しを浴びて成長していくコキアは、最初はライムグリーン色をしています。
10月中旬から徐々に紅葉が深まり、みはらしの丘が鮮やかな赤色に染まり、茶色へと変わる七変化が楽しめます。
10月下旬のみはらしの丘。
丸くてモコモコしたコキアをみながら道を歩いて進むと、丘の上に到着。丘の上からは、太平洋やコキアが一望でき、絵本の世界のようなおだやかな風景が広がります。
期間限定の「コキア」グルメで“畑のキャビア”を味わうコキアの和名は「ほうき草」で、茎を乾燥させるとほうきがつくれます。また、コキアの実(み)は、最近スーパーでもよく見かけるようになった“畑のキャビア”や“とんぶり”と呼ばれ、食すことができます。
とんぶりをトッピングした「コキアカレー」900円。
公園のコキアは観賞用のコキアなので実は食べられませんが、園内の〈ガーデンレストラン〉で提供中の「コキアカレー」(900円 ※期間限定)のトッピングに、とんぶりがついてきます。とんぶりをまだ味わったことがない人はぜひご賞味あれ。
コキアをイメージしたデザートも園内の〈里の家特設売店、西口広場休憩所特設売店〉では、コキアをイメージした赤い「まるころコキアソフト」(500円)が味わえます。
「まるころコキアソフト いちごミックス」500円。
甘酸っぱいいちご味のソフトクリームに、カラフルな“おいり”をトッピング。散策のおやつにぴったりです。現在開催中の「コキアカーニバル」は10月31日までですが、11月の中旬までコキアは楽しめます。東京からもアクセスの良い〈国営ひたち海浜公園〉で、もふもふコロンとしたコキアの絶景を楽しんでみてはいかが?
information
国営ひたち海浜公園
住所:茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4
TEL:029-265-9001
営業時間:9:30〜17:00(7月20日〜9月1日は18:00、11月1日〜2月末日は16:30まで)
定休日:火曜(祝日の場合は翌平日)、12月31日、1月1日、2月の第1火曜の前日から直後の金曜
Web:国営ひたち海浜公園
writer profile
Momo*Kinari
きなり・もも
ライター・エディター。東京在住。Webや雑誌、旅行ガイドブックで撮影・執筆。国内外でグルメや観光スポットを取材。たまに料理やモノづくり、イラストの仕事もしています。 X:@Momo_kinari