世界でも前例のない、3Dプリンタ製の滑り台が山梨県〈清春芸術村〉に登場

  • 2024年9月30日
  • コロカル
大人も見る価値のある滑り台

山梨県北杜市にある芸術文化施設〈清春(きよはる)芸術村〉。

廃校になった清春小学校の跡地を再活用し、1980年に誕生して以来、建築家・谷口吉生の設計による〈清春白樺美術館〉(1983年開館)や〈ルオー礼拝堂〉(1986年開堂)をはじめ、藤森照信の茶室〈徹〉(2006年完成)、安藤忠雄の〈光の美術館〉(2011年開館)、新素材研究所/杉本博司+榊田倫之のゲストハウス〈和心〉(2018年竣工)など数々の名建築が集まる場所です。

〈清春(きよはる)芸術村〉

山梨県の天然記念物に指定されている約30本の桜の老木が敷地を囲みます。

その施設に9月3日、建築家・メタアーキテクトで設計集団〈VUILD〉を主宰する秋吉浩気さんが設計した3Dプリンタ製の滑り台『ホワイト・ループ(White Loop)』が登場しました。

3Dプリンタ製の滑り台『ホワイト・ループ(White Loop)』

滑り台には柱などがなく、それ自体が構造体として自立しているつくり。対象年齢は3〜5歳。photo:Hayato Kurobe

同施設が取り組む〈こどものための建築プロジェクト〉の一環としてつくられたもので、第1弾には建築家の内田奈緒さんが設計した『遊びの塔(tower of play)』が6月に完成したばかり。

『遊びの塔(tower of play)』

エッフェル塔の階段から着想を得て、ネットの床を空に向かって積層させるイメージでつくられた『遊びの塔(tower of play)』。photo:筒井義昭

このプロジェクトは、プロデューサーに公益財団法人清春芸術村 理事長の吉井仁実さん、ディレクターに慶應義塾大学SFC 特別招聘教授の白井良邦さんを迎え、「子どもがまず最初に触れる“建築”をつくる」をコンセプトにスタート。

AI時代を生きる子どもたちに、幼い頃から「本物の“建築”に触れて欲しい」「“建築”という世界があることを知って欲しい」という思いのもと、遊び・建築・アートで感性を磨いてもらうことを目的に、これまで〈清春芸術村〉が力を入れてきた「アート」「建築」に加え、「遊び」の要素もプラスして、注目の建築家が子どもたちのための建築を手がけます。

『ホワイト・ループ(White Loop)』

滑ると登るの間をシームレスにつなぎ、滑り台と階段の形を同一化させたつくりが特徴。photo:Hayato Kurobe

今回、秋吉さんが手がけた『ホワイト・ループ(White Loop)』についてディレクターの白井さんは以下のようにコメント。

「第2弾の設計をお願いしたのは、若手建築家のなかでもほかとは一線を画す活動をする秋吉浩気さんです。

秋吉さんは大学院でデジタルファブリケーションを学び、卒業後は建築テック系のスタートアップ企業〈VUILD〉を創業、「建築の民主化」を目指す活動をしています。

今回は巨大な3Dプリンタを使い、今まで世界でも前例のない「メビウスの輪」のようなそれ自体が自立する滑り台を生み出しました。

ぜひ美術館へ実際に足を運んでもらい、子どもたちに体感して欲しいと願っています」

3Dプリンタでの制作風景。

DigitalArchi(松岡康友、立川博行)による3Dプリンタでの制作風景。

3Dプリンタでの制作風景。

完成までにかかった期間は、設計・制作期間合わせて約半年。

子どもはもちろんのこと、大人にとっても一見の価値がある滑り台と言えそうです。

information

清春芸術村

住所:山梨県北杜市長坂町中丸2072

TEL:0551-32-4865

開館時間:10:00〜17:00(入館は〜16:30)

休館日:月曜(祝日の場合は翌平日休み)・年末年始

入館料:一般1500円、大高生1000円 ※小中学生以下は無料

Web:清春芸術村 公式HP

*価格はすべて税込です。

writer profile

Mae Kakizaki

柿崎真英

かきざき・まえ●ライター。宮城県仙台市出身。2019年よりフリーランスライターとして、東京を拠点に活動中。月刊誌やニュースサイト編集者としてのバックグラウンドを活かして、Webメディアや雑誌などに寄稿を行う。

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