グローバルでの半導体関連機器製造を中心に、近年は再生エネルギーや地方創生・まちづくり事業も展開する〈株式会社アドバンテック〉が主体となり、〈SORANO HOTEL〉〈⽩井屋ホテル〉〈GOOD NATURE HOTEL KYOTO〉など国内外で話題のホテルを多数⼿がけている〈株式会社GOODTIME〉。こちらが企画・運営を行う、⽇本初のゼロエネルギーホテル〈ITOMACHI HOTEL 0(ゼロ)〉が5⽉27⽇(⼟)、愛媛県⻄条市にて開業しました。
西日本最高峰の石鎚山を有し「うちぬき」と呼ばれる自噴井から清らかな水が湧き出る愛媛県西条市。水の都といわれるこの西条の地につくられた〈ITOMACHI HOTEL 0〉は、建物に省エネルギーと創エネエルギーの機能を同時に備えることで、ホテル運営において実質的な電⼒エネルギー消費をゼロとするホテルです。
〈ITOMACHI HOTEL 0〉は⽇本国内のホテルで初めて、環境省が定める「ZEB」の認証を取得しました。「ZEB」とは「Net Zero Energy Building」の略で、快適な室内環境を実現しながら建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物です。建物⽤途別のエネルギー消費量において延床⾯積辺りの電力使⽤量が第2位のカテゴリであるホテルの電力使⽤量を実質0にすることは、脱炭素社会を加速させる⼤きな可能性を秘めています。ゼロエネルギーホテルが増えることで、⾃然環境に負荷をかけることなく⼈の楽しみをつくり出す、これからの時代の持続可能な観光及び宿泊体験を多くの⼈に届けることができるようになるのだとか。
⻄条ならではの“⽔”を感じられる客室や館内インテリア〈ITOMACHI HOTEL 0〉はゼロエネルギーホテルとして、⽇々当たり前のように使⽤するエネルギーと向き合うきっかけを提供しながら、愛媛ならではの魅⼒を集めたホテル滞在を通して、ここにしかない「愛媛のたのしみ」を体験できるホテルを⽬指しています。
建築設計は隈研吾建築都市設計事務所が担当。館内のインテリアとランドスケープデザインは〈Dugout Architects〉が手がけています。愛媛県西条市でみられる自噴井「うちぬき」や、約2億年前に海底に堆積した岩が日本列島のできる地殻変動の際に隆起し地表に現れた「伊予青石」の美しい色合いをモチーフにデザインされています。
客室はHOTELタイプと、贅沢に過ごすVILLAタイプのふたつで構成されています。おひとりさまからファミリー・グループ旅⾏、そしてサイクリストなど多様なニーズに合わせた滞在が可能です。HOTELタイプは愛媛県内で産出される伊予⻘⽯の繊細な⾊をキーカラーとしたインテリアで統一。コンパクトながら、快適な滞在に十分な機能を備えた客室で、自転車持ち込み可能なサイクリスト向けの客室もあります。
VILLAタイプは全室露天⾵呂の温泉付きの離れの構成となっており、旅館を現代的に解釈した上質なプライベート空間です。うちぬきをモチーフにした水の体験を楽しめる演出と一体になったテーブルやソファスペースが設けられています。
アメニティも自然や地域のめぐりを意識したこだわりの品々が並びます。愛媛県松山市で豆からこだわった一杯を提供する〈ICOI COFFEE〉によるオリジナルドリップパックや、植物まるごとの生命力を活かしたオーガニックコスメブランド〈NEMOHAMO〉のバスアメニティ、愛媛有数のお茶どころ新宮町にて、古くから栽培・製造・販売を一貫して行ってきた新宮茶のパイオニア〈脇製茶〉の緑茶などが揃います。
また、愛媛にゆかりのあるクリエイターはもちろんのこと、国内外で活躍するさまざまなクリエイターと一緒に、愛媛や西条の魅力を再発見する体験をつくりあげています。
愛媛在住の和紙デザイナー佐藤友佳理がクリエイターをつとめる〈りくう〉による和紙アートや、西条の豊かな水の音をサンプリングした自動音楽構築システム〈AISO〉による館内音楽、松山にある書店『本の轍』によるこだわりのブックセレクトRECEPTION CAFE内のアートウォールなど、ホテルを通じて愛媛の魅力を体感できます。
健康につながり⾃然のめぐりを五感でたのしむ愛媛ならではの⾷体験ホテルには、旬の愛媛の野菜や果物をたっぷり使い、管理栄養⼠が監修した⽇本⼈の栄養摂取基準に配慮したメニューを提供するカフェが併設されています。料理の監修には〈MAISON CINQUANTECINQ〉など代々木上原を中心に数々の人気レストランを手掛けるシェルシュ代表兼エグゼクティブシェフの丸山智博氏を起用。好きなものを選んで食べても、健康につながる食体験が待っています。
食材は旬の地元素材はもちろん、全粒粉、はだか麦、玄米など栄養価が高く食物繊維豊富な健康食材を積極的に採用。メニューは全て管理栄養士が監修し厚生労働省が定める日本人の栄養摂取基準から、健康を促進する抗酸化作用等のある栄養素がプラス10%、余分なカロリーはマイナス10%になるよう基準が設けられています。
カフェではデリカテッセンスタイルの中からお好みを選べるモーニング、3種類のメインと5種の副菜からお好みを選べるランチ、愛媛のみずみずしい果物をたっぷり使ったスイーツとクラフトジュースを楽しむカフェタイム、ナチュラルワインをはじめ愛媛ならではのクラフトビールや日本酒をたのしめるバータイムなど、さまざまなシーンを彩ります。
このほか館内にはキッチン付きのコワーキングスペースもあります。今後、会議やセミナーなどのビジネス利用のほか、ヨガやワークショップなどにも活用できる多目的スタジオもオープン予定です。西条の自然のめぐりを感じるくつろぎのホテルで、大地の恵みを体感してみてはいかがでしょうか。
information
ITOMACHI HOTEL 0
住所:愛媛県⻄条市朔⽇市250−7
TEL:0897-47-7568
宿泊料:公式HPをご確認ください
Web:〈ITOMACHI HOTEL 0〉公式ウェブサイト
writer profile
Riho Nakamori
中森りほ
なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。