サイト内
ウェブ

「京都クレジット」 詳細解説

読み:
きょうとくれじっと
英名:
Kyoto Credit

2006年に改正された地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく算定割当量(排出権)のこと。京都議定書で定められた手続により発行され、同議定書の削減目標達成のために用いられる。クレジットは、温室効果ガスの排出量(排出権)を売買可能な形にしたもので、国際間排出権取引などの京都メカニズムの実施に欠かせない。京都メカニズムに基づくクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトにより発行されるCERや、京都議定書における初期割当量(AAU)、吸収源活動による吸収量(RMU)、JIプロジェクトにより発生する排出削減量(ERU)、環境省自主参加型国内排出量取引制度に基づく排出枠などがある。

同議定書は、2008年から2012年までの第1約束期間の間に、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を先進国全体で5.2%削減(1990年比)すると約束したが、国内の努力だけでその目標を達成できない場合、京都メカニズムを使って埋め合わせることができる。京都メカニズムには、1) 先進国同士が削減目標達成のために割当量(排出枠)を取り引きする排出量取引、2) 先進国が途上国に技術や資金を提供して温室効果ガス削減事業を共同で行って得た削減分を目標達成に利用するCDM、3) 先進国同士が共同で事業を実施して削減分を自国の目標達成に利用する共同実施(JI)―の3種類があり、いずれの場合もクレジットによって取り引きされる。

京都メカニズムを利用してクレジットを移転する場合は、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)事務局が管理する電子システムの国際取引ログ(ITL)にその結果を記録しなくてはならず、そこで償却(使った費用を埋め合わせること)を受けたクレジットしか利用することができない。京都クレジットの発行、保有、移転、取得、取消、償却に関する記録を行うために附属書?国が設置するシステムが「国家登録簿」で、日本では、政府が温対法を2006年に改正し、国別登録簿を「割当量口座簿」と定め、経済産業省と環境省が共同で国別登録簿管理者として運用を開始している。すでに、ITLとの接続試験を終え、UNFCCCが管理するCDM登録簿から、日本の登録簿の口座保有者に対してクレジットが移転された。これにより、温対法に基づく管理口座の開設申請や、口座名義人の名称変更の届出、口座保有者間でのクレジット移転の申請などができるようになった。

クレジットの買取先としては、2006年に始まった京都メカニズムクレジット取得事業などがある。同事業は、同議定書の削減目標を達成するために必要な量のクレジットを取得することを目的として、経産・環境の両省がNEDO技術開発機構に委託して行っているものだ。2007年度から2013年度の事業費限度額は407億円で、2007年度事業では、NEDO自らがプロジェクト参加者となる「タイプA」と、クレジットを取得した事業者などとの転売によりクレジットを購入する「タイプB」の2種類の手法を活用したクレジットの取得が進められている。一方、政府や民間事業者などもそれぞれ口座を持つことで、クレジットの保有や移転などを行うことができる。民間では、電力や鉄鋼などの業種が、自主行動計画に基づく目標未達成分を埋めるために京都クレジットの購入を進めている。また、京都クレジットの小口化を図る手段として、カーボンオフセットが注目されている。

わが国における京都クレジットの流通拡大については、金融商品取引法などが2008年に改正され、金融商品取引所での排出量取引が可能になったことから、京都クレジット取引参入者の拡大が見込まれている。一方で、割当量口座簿制度の改善や、金融関連商品としての取引ルールの整備、京都クレジット自体の法的性格の明確化などの課題がある。このため、経済産業省は2007年11月に「京都クレジット流通基盤整備検討会」を設置。2008年6月に公表した最終報告で、それらの課題への考え方や今後の対応策などをまとめた。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。