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海野和男のデジタル昆虫記

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます
2011年01月01日

小諸日記の読者の皆様、あけましておめでとうございます
 昨年は大変御世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。あっという間に1年が過ぎ、また新しい年がやってきました。さて今年はどんな年になるのでしょうか。
 ぼくと同世代か、少し上ぐらいの写真家は、写真貸し出しが主な収入源であった写真家と、雑誌が主な発表の場であり、かつ収入源であった写真家の二通りの生き方があったと思います。生物写真の場合、アニマという雑誌ぐらいしか無かったので、多くの方が、写真貸し出しで収入を得て、それで撮りたい自分の写真を撮影していたように思います。けれどそのようなやり方はもう成り立たなくなったように思います。ある程度撮りだめないと、作品作りが難しい動物写真家にとっては、厳しい時代なのかもしれません。
 動物写真の雑誌が発展しなかったのは残念なことですが、発表の場と言うことで考えれば、今はインターネットや、個人でもできる電子出版に発表の場があります。実際マイナーと思われているような一部の昆虫、例えばアリと共生する昆虫などのことでも、インターネットのブログに素晴らしい内容のものがあります。もともと学術書のようなものでしか発表の場はなかったのですから、これはすごいことです。
 アメリカではチョウのフィールドガイドの出版がすごい勢いで続いています。州ごとの素晴らしいフィールドガイドがたくさ出版されていてびっくりします。アメリカ人は昆虫は嫌いというのは昔の話のようです。
 昨年読んだ「蝶コレクターの黒い野望」という本にも、チョウにかかわる様々な人たちのことが出てきてびっくりしました。アメリカはこの20年、経済が以前よりも好調でした。日本はその間、経済もそうですが、動物写真も足踏みをしてしまったのかなと思います。それが今や、新しい発表の場を得て、盛り上がっているのではないでしょうか。
 デジタルカメラの登場が動物写真には強い味方となったようです。アマチュアでも、好きこそものの上手なれで、あっという間にプロを追い越してしまいます。ぼくらプロがサボり過ぎなのかなとも思います。
 ぼくが若かった時代と比べれば、写真の世界は需要も増えていると思います。ただアマチュアも含め、写真を撮る人が沢山いますし、ギャラも安くなったので、動物写真専業のプロは成り立ちにくいかもしれません。仕事がたくさんある写真家の場合は、自分の写真に時間がかけられないというジレンマもあるのではないでしょうか。目先の仕事に追われてしまうのです。自分の時間は限りあるので、逆に長いスパンで写真活動がやりにくくなっている気はします。
 プロ写真家は視点を定めて写真を撮り続けてこそプロなのだと思います。嘆いていても、ただ指をくわえていても何も生まれてこないのです。このような時代だからこそ、逆に新しい世界へ挑戦するきっかけをつかんでいくことが重要だと思います。時代は動いていますが、こだわりを持ちつつ、新世界へ飛び出していく。このような姿勢は写真家に限らず、今の日本人にとても大切なことなのではと思うのです。

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