芝生の上でたくさんのノシメトンボが産卵していた。ノシメトンボは田んぼで空中から卵を散布する産卵方式をとる。田んぼの場合は来年に水が入るから、それを見越しての産卵だ。ところがここは芝生である。ここに産み落とされた卵がふ化する見込みはないだろう。
ノシメトンボは元々は湿原が広がっている地域のトンボかもしれない。湿原ならば水がある。草が生えているところの下は、少なくとも雨期になれば水がたまる。田んぼは人為的にそんな移ろいやすい湿原的環境を作り出したのかもしれないと思った。
今日は長野放送の取材。長野放送では10月1日からデジタル放送が開始される、デジタル放送開始の番組に生出演することになったのだ。その前にHDでぼくの取材風景を撮影することになった。今年はテレビやラジオなどの出演が多い。けれど海外にテレビで取材という楽しい取材以外は、写真を撮る時間がそれだけ削られることになる。ほかにも仕事の打ち合わせで東京に出たり、会議や講演などもある。フリーランスの写真家といっても拘束される時間は結構多いものだ。実際にどれくらいそういったことに時間がかかっているかを調べてみたら、今年は9月までで130日あまり。およそ半分の日数を費やしていることになる。
そんな日も写真は撮っているのだが、小諸日記に入れる写真をちょこっと撮るということが多い。残り半分も写真ばかり撮っているわけにはいかない、本の執筆などの時間もある。そう考えると、撮影にかける時間は趣味で写真を撮っている方とあまり違わないのかなと思う。写真家がそんな生活ではいけないと思うこともある。けれど昆虫のメッセンジャーというのもぼくの一方の顔であるから、マスコミや雑誌も大切だ。いくら自分でメッセンジャーを自認しても、伝える場がなければはじまらないからだ。
E-500 8mm
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