古今東西の昔の風俗知識を投稿する「昔の芸術をつぶやくよ」さん(「ヤスダコーシキ」名義で著作あり)(@LfXAMDg4PE50i9e)のグロテスクで怖くて切ない話を、今回はみなみさん(@minami_152133)に、ギャル漫画風に描いていただきました。怖さと美しさのアンバランスな共存をお楽しみください。
「パオロとフランチェスカの悲恋」というお話をご紹介します。
ダンテ「神曲」に登場するパオロとフランチェスカの物悲しい恋の物語。悲劇の恋人と言えばロミオとジュリエットですが、この2人はそれより以前の時代なので「元祖悲劇の恋人」と言えるでしょう。舞台は13世紀のイタリア。ルッキズムの現代で同じことがあれば、たちまち大批判を浴びてしまうようなお話です。
※一部ショッキングなシーンがあります。心臓の弱い方は閲覧をご遠慮ください。
※本記事は発売中の「昔の芸術を〈少女漫画風に〉つぶやくよ」から一部抜粋・編集しました。
――「パオロとフランチェスカの悲恋」はギャル漫画家さんに描いてもらいました。これは現代風に言えば「寝取り」が原因の悲恋物語です。ギャル漫画風になった率直な感想をお聞かせください。
ヤスダコーシキさん(以下:ヤスダ):現在の大人向け「薄い本」の傾向を鑑みるに、NTR(寝取られ)は大流行りみたいですね。このかわいい画風でこういうお話が語られるのは時代の必然かもしれないと思いました。
――この話は、ダンテ「神曲」に含まれる話で、パオロもフランチェスカも実在の人物だそうです。政略結婚だとされていますが、兄・ジョヴァンニはフランチェスカのことを愛していたと思いますか?
ヤスダ:愛してたでしょうね。愛と憎しみは常に表裏一体です。愛していなければここまで凄惨な復讐は行わなかったでしょう。兄の気持ちを思うと胸が痛みますよ。私もイケメンじゃないですからね。
――親のとんでもないおせっかいが原因で、イケメンの弟によって寝取られてしまうことになります。最初から最後まで不細工な兄がとても可哀想なのですが、何か兄を慰める言葉をお聞かせいただきたいです。
ヤスダ:身の蓋もない話ですが、お金の力があればある程度は愛が買えるというのがこの世の真理です。兄には財力があるのですから、気を取り直して次に行きましょう。
――この話の教訓があればぜひ教えてください。
ヤスダ:人の悩みの大部分は執着によって生まれると言います。この悲劇もフランチェスカに対する兄の執着によって生まれています。人生、あきらめるというスキルも必要です。たくさんのことをあきらめてきた私が言うんだから間違いないですよ。