ミツバチの天敵の一種が、同じハチであるスズメバチ。スズメバチに巣を襲われたミツバチたちは、とっておきの必殺技を持っている!?
2023年12月、一日一種(いちにちいっしゅ、@Wildlife_daily)さんがXに投稿した創作漫画「ミツバチVSスズメバチ」は、ニホンミツバチとそれを狙うオオスズメバチの戦いを手に汗握るバトル漫画として描いた作品。ミツバチの群れが行う「熱殺蜂球」(ねっさつほうきゅう)と呼ばれる防衛行動を必殺技になぞらえ、捕食者であるスズメバチに立ち向かうミツバチや、ピンチの時の対応策など、その生態を熱い展開に落とし込んだ内容となっている。読者からは「少し泣きました」「かわいいし、めちゃくちゃわかりやすいです」と、作品のおもしろさや学びの要素などさまざまな反響とともに、8000件を超えるいいねが寄せられている。
作者の一日一種さんは、野生生物のユニークな生態やエピソードを4コマ漫画で描く「わいるどらいふっ!」(山と溪谷社、既刊3巻)をはじめ、動植物を題材にした作品やイラストを多く手掛けるクリエイター。ウォーカープラスでは一日一種さんに、「ミツバチVSスズメバチ」の制作秘話や作品制作でのこだわりを取材した。
■「ただおもしろかった」では終わらない作品作り
――作品を描いたきっかけや、短編形式を選んだ理由を教えてください。
【一日一種】とある著書の執筆のためにミツバチの生態を調べているとき、その奥深さに驚き、生態をそのまま描くだけでドラマになりそうだと思いました。それでなんとなく4コマより少し長い短編漫画にしてみたいと思いました。
――ニホンミツバチたちはデフォルメされた漫画的なデザイン、オオスズメバチは写実寄りで描かれるのがミツバチにとっての恐怖の大きさを感じました。デザインや作画の面ではどんなところを意識されましたか?
【一日一種】虫が苦手という人が本当に多いので、主人公のミツバチたちはできるだけかわいく、ただしオオスズメバチは恐ろしさが伝わらないと意味ないのでリアル寄りに描きました。
――「熱殺蜂球」の必殺技感や、大軍で襲来するスズメバチの図など、生態に即しながらもバトル漫画的な演出もユニークです。こうした方向性で描いた理由を教えてください。
【一日一種】熱殺蜂球という名前を初めて知ったとき、まるで必殺技みたいだと思ったので、全体的にバトル漫画みたいな演出にしてしまいました。
――生き物を作品を描くうえで心がけていることがあれば教えてください。
【一日一種】演出で擬人化はしていても、ベースとなる生態はなるべく現実に即したものを描くようにしています。自分が理系だからかもしれないのですが、「ただおもしろかった」だけではあまり魅力がないと思って、何かしら読者さんに得るものがあればいいなと思って描いています。この漫画も最初は「闘いはこれからだ!(終)」のつもりでしたが、「違う!こんなのは現実じゃない!綺麗ごとだ!」と思って、あんな最後にしてしまいました…。
――一日一種さんは既刊3巻を数える「わいるどらいふっ!」も刊行されています。今回の作品で興味を持った読者に向けて、ご紹介いただければ幸いです。
【一日一種】これからも生き物をテーマにした作品はずっと作り続けていくつもりなので、興味を持ってくださった方は「わいるどらいふっ!」シリーズやそのほかの著書も読んでいただけると大変ありがたいです。
取材協力:一日一種(@Wildlife_daily)