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二重人格の女の子とのもどかしい三角関係…「美しすぎるタイトル回収」と反響の恋愛漫画「恋心は解離する」【作者に訊く】

  • 2023年12月10日
  • Walkerplus

普段は素っ気ない距離感ながら、プライベートでは自分にベタ惚れな幼馴染の少女。それは単なる二面性ではなく、「恋する人格」と「そうでない人格」の差だった……。
たけみつ(@take_samurai1)さんの創作漫画「恋心は解離する」は、幼馴染に対して正反対の人格を抱える少女と、それぞれの人格と向き合う少年を描いた恋愛漫画シリーズだ。

多重人格という題材を真摯に捉えながらも、コミカルで甘酸っぱいシチュエーションにSNS上で多くの反響が寄せられた同作。そんな同作のあらすじを紹介するとともに、Amazon Kindle インディーズの電子書籍版にも1400件を超える評価が集まる人気作が生まれたきっかけを、作者のたけみつさんに取材した。

■自分に甘える幼馴染は恋心だけの「別人格」。真逆のヒロイン描く青春
少女・秋月空には、物心ついた頃からの幼馴染の少年・フミがいた。成長につれ彼を見ると嫌な感情を感じるようになった空はフミを避けるようになり、険悪とは言えないまでも以前よりも疎遠になった距離感で日々を過ごしていた。

一方、フミには他人に言えない事情があった。自室に入り込んでは自分を溺愛する少女と、二人きりの時間を過ごしていたのだ。

その少女の出で立ちは、幼馴染の空その人。彼女は空の副人格で、フミに対する大きすぎる恋心が切り離されて生まれた存在だった。

空が手放した好意の塊である副人格「雨」は、臆することなくフミにべったりと甘えっぱなし。その一方、いつか自分が主人格となっていつでも一緒にいられるようにと、その愛の重さゆえの危うさを垣間見せる一面もあった。

そうした事情を知らない空は、雨と違ってフミに塩対応。一人の幼馴染に宿る真逆の人格に心を振り回されながらも、フミはそれぞれとの時間を過ごしていく。だが、もともとは一つの心から別れた二つの人格は、夢や無意識を介してお互いに影響しあい、事態は転機を迎えていく――、というストーリー。

■結末を見据えて描いた、二重人格の少女の行方
どこまでもクールで素っ気ない「空」と、文字通りその鬱憤を晴らすようにフミを溺愛する「雨」。一つの身体に宿る二つの人格との三角関係や、人格間のギャップゆえににやけるほどに甘いシチュエーションが心をくすぐる作品だ。

同作は2022年から2023年にかけてSNS上で公開された作品で、いずれどちらかの人格に統合されるというテーマも大きな筋書きとして盛り込まれている。副人格の「雨」が主人格の「空」にとって変わるのか、それとも雨が空の人格に戻って消えてしまうのか……、そうした心ざわつく展開も丁寧に描かれ、タイトルの「恋心は解離する」がまさに作中の結末を象徴するかのような題名であったことから、読者からは「このタイトル回収は鳥肌もの」「本当に最高の終わり方」と、物語面でも大きな反響を集めた。

作者のたけみつさんによると、本作は、二重人格のキャラクターがとっかかりとなり生まれていったものだという。詳しいアイデアや作劇へのこだわりについて話を訊いた。

――二重人格の「空」と「雨」それぞれとの関係を描く本作ですが、こうしたヒロインを描こうと思ったきっかけがあれば教えてください。

【たけみつ】ヒロインのキャラクターを考えるとき、なにかしら個性が必要になってくると思うんですが、そんなときに思いついたのが二重人格のキャラでして。そこから二重人格になった理由とか、それぞれのキャラ付けとかがうまくマッチしたらおもしろい漫画が描けそうと思って描き始めました。

――恋心が切り離されて生まれた「雨」と、だからこそフミにそっけない「空」の対照的なキャラクターが明示されていることが物語に引き込む原動力になっていると思います。二人それぞれどんなところを意識して表現されたのでしょうか?

【たけみつ】序盤は雨が少し行き過ぎなデレ、ヤンデレっぽい感じで、空はそれとは対照的にクールで主人公に塩対応するみたいなキャラ付けを意識しました。そこから物語が進むにつれて、雨は病み部分を抑えて常識を覚えていき、空は塩対応が薄まり、少しづつデレていくみたいな変化をつけられたらなって。

――結末に描かれる空と雨の行方は、それまでのフミとの関わりがあるからこそ納得できるものでした。結末に着地するまで演出やストーリーの展開で工夫・狙った点はありましたか?

【たけみつ】結末に関しては最初から決めていて、後半の10話ぐらいは結構細かくストーリーを考えていました。ただ、最終話でタイトルを回収するようなシーンがあるのですが、これに関しては最初は全く考えてなくて、最終話の2~3話前ぐらいで、こういう描写にしたらタイトル回収っぽいかもという思い付きで描きました。

――たけみつさんの作品は、登場人物の表情が豊かで、なかでも笑顔は幸福いっぱいだったり、内心を秘めた笑みだったり、強く伝わってくるものが多いです。表情描写について特にこだわっている部分があれば教えてください。

【たけみつ】今作では表情で雨と空がわかるように描きたいと思って頑張りました。雨は結構大口開けて笑いますし、空は逆に微笑む感じの笑い方をするみたいな。容姿は同じなので、そういった表情の違いで今どっちかわかるように描ければなって思いました。

取材協力:たけみつ(@take_samurai1)

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