「呪いは効くのでしょうか」オカルトライターに届いた告白文「結局は人間が一番怖い」【作者に聞く】

  • 2023年6月23日
  • Walkerplus

2023年2月に「第2回朝日ホラーコミック大賞」の漫画部門で大賞を受賞した鳩ヶ森(@hatogamori)さん。受賞作品の「呪いは効くのでしょうか」は、オカルト系のライターの元に届いた、一通の手紙から物語は始まる。“婚約者だった男性を呪ったことがある”という告白文を、最初は笑いながら読み進めていくオカルトライターだったが、最後に想像もしなかった背筋が凍る展開が待っていて…!


普段からpixivを中心にホラー漫画を描いているものの、実は得意とする分野はホラーではなくギャグ漫画だという鳩ヶ森さん。この作品の前半部分でも、ギャグを畳み掛けている。「基本的にお笑い脳なんだと思います」と語る鳩ヶ森さんに、受賞作についてインタビューした。
 
――「呪いは効くのでしょうか」にもお笑い要素が組み込まれていますね。

はい、主にホラー漫画を描いているのですが、実はギャグ漫画が得意…というか好きなんです。ギャグとホラーは紙一重で、過剰な笑いは怖いし、極端な恐怖は笑ってしまう、と思っています。なので、笑いの裏に潜む恐怖というようなものは、常に意識して描くようにしています。

――「結局は生きてる人間が一番怖いよね」というコンセプトで描かれていますよね?

ホラー漫画を描いていてよく思うのですが、幽霊や怪物が怖いのはフィクションの中だけです。生きている人間にとって一番怖いのは生きている人間です。それを日頃のニュースを見て誰もが痛感しているはずです。人間の悪意や害意というものは日常に存在し、すぐ隣にいます。それどころか自分の中にもじっとりと巣食っている。それを知っているはずなのに、私たちは気づかないフリをして目を逸らしながら暮らしています。そんな、日常と悪意のすれ違い、そこに生まれる物語に惹かれます。朝、玄関を開けたらそこに立っているような恐怖を、漫画で表現できたらいいなと思っています。

――「第2回朝日ホラーコミック大賞」の受賞の知らせを聞いたときのエピソードを教えてください。

受賞の連絡はメールでいただいたのですが、ちょうど夕飯を作るために冷蔵庫から卵を取り出したタイミングでした。タブレットからメールを受信した通知音がして、件名に「受賞のご連絡」という文言があるのがチラッと見えて、とりあえず卵を握りつぶさないように全集中しました。

――「呪いは効くのでしょうか?」の作品に込めた思い、伝えたかったことについて教えてください。

「呪い」というテーマで漫画を描きたいとずっと思っていて、“人間が実際に呪いで破滅するのはどういう状況か”という視点で構想を練っていました。2022年の夏に「第2回朝日ホラーコミック大賞」の募集を知り、この機会に形にしてしまおうと思い立って描いたのがこの作品です。
この作品はまずpixivに投稿したのですが、読んでくださった方から「『俺ら男連中にはいい人だったから気にしてなかった』ってセリフが一番怖い」というコメントをいただいて、そこはまさにこだわったセリフだったので思わずガッツポーズしました。

――今後のご予定について教えてください。

WEBマンガサイトへの掲載を目指し、担当とホラー作品のネームを進めています。
 
――最後に、SNSでの活動のご予定についても教えてください。

今回インタビューを受けたのを機にTwitterのアカウントを作りましたので、今後はTwitterで短編のホラー漫画をなるべくコンスタントに上げていけたらいいなと思っています。商業漫画に限らず、自分が満足するためだけのホラー漫画も描きたいです。もしかするとギャグだらけの一風変わったホラーになるかもしれませんが、ご覧いただけたらうれしいです。

オカルトライターの元に届いた一通の手紙。その内容は、自分を裏切ってほかの女と関係を持った男を呪ったことがあるという女からの告白文だった。だが、物語の刃は後半になるにつれ、じわじわと角度を変えて最後は思わぬ方向へズドンと突き刺さる。日常に潜む恐怖を描いたホラー作品をぜひご覧いただきたい。

取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)

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