
一定時間その場から動けずマンツーマンになる美容院で、スタッフとの会話が苦手という悩みを持つ人は少なくない。初めて訪れる美容院で「何かしゃべらないと…」と意気込んだあまり大失敗してしまった体験談漫画がTwitter上で3.7万件の「いいね」とともに、「そりゃあぁ~んだわ」「もうだめだ」「おなかよじれすぎました」と、共感と爆笑を呼んでいる。
注目を集めたのは、自身の体験を独特のタッチでエッセイ漫画として描き、SNS上で発表する作家のむめい(@mumei10101)さんの作品。4月、自身のTwitterに投稿した漫画「美容院で爆死しました。」だ。程度の差はあれ“美容院あるある”なやらかしエピソードのこぼれ話を取材した。
■「何かしゃべらないと」美容院の会話に意気込むあまり予想外の失敗に
しばらく美容院に行かず、髪が伸びっぱなしになっていたむめいさん。その時のむめいさんは、行きつけの美容院が地味に遠いことから、家の近くにある初めての美容院を選ぶことに。
美容院での沈黙が気まずく、とにかく回避したいむめいさん。担当する美容師の女性と、なんとか会話を弾ませようと意気込む。
手始めに、美容師のピアスを話題に挙げたむめいさん。美容師の方も「旅行先で見つけた思い出の物なんですよ」と笑顔で返し出足は上々。が、美容師から「最近どんなピアス買いましたか??」と聞かれ、むめいさんは、正直に「最近はピアスとか全然買っていなくて…」と返答。せっかく広がりそうな話題だったのに、自分から会話を終わらせてしまった。
それでも気を取り直し、「(もっと明るく元気に話してみよう)」とむめいさんは決意。ちょうどその時、シャンプー台で洗髪の最中だったむめいさんは、シャワーの音にかき消されないよう、ことさら大きな声で「さむいですねぇ!!」と気温の話を振ってみることに。
すると、「わたし今月沖縄旅行に行く予定なんですよ」という声が聞こえ、立て板に水とばかりに沖縄で行きたいところやホテルの話を続けるその声に元気よく相槌を打つむめいさん。その様子に旅行の話なら盛り上がれそうだと踏み、シャンプー後も続けて「沖縄旅行は何泊で?」と美容師に質問する。
けれど、お姉さんは言葉を失い、切ない目で見つめるばかり。先ほどまでの盛り上がりが嘘のような反応に動揺するむめいさんだが、隣から「早く沖縄行きたい~」という声が聞こえてようやく事態に気付く。
沖縄旅行の話をしていたのは、担当美容師ではなく、同じくシャンプー中だった隣の客とスタッフ。シャンプー中のフェイスガーゼで見えずに勘違いしていたと知り、むめいさんは「あぁ~ん」と気まずい表情を浮かべるしかなかったのだった。
■「足が勝手にジタバタ」意外と“美容院あるある”な失敗に共感多数
気まずい事態を避けるための頑張りが、別の大きな気まずさを招くことになってしまった失敗談。作品への投稿には読者から笑いの声とともに、「この状況を想像しただけで足が勝手にジタバタしちゃう」「服屋さんの試着室で同じ状況なったことある」「私も美容院での会話が苦手すぎて空回りしてます」と共感のコメントも数多く寄せられた。
作者のむめいさんに話を聞くと、この体験は今年1月頃の出来事とのこと。むめいさんは「考えすぎだとは思うんですが」と前置きしつつ、「美容師さんと一対一の時間という気持ちが強く、モサモサを綺麗にしていただくので少しでも楽しい会話とか提供できたら…と思ってしまいました」と、美容院での会話で気づかいをしてしまう心中を明かす。また、シャンプー中は「水の音で会話が聞きとれなくてお互いに微妙な空気になるのが嫌なので」と、あえて大きな声で話そうとしたと話す。
むめいさんのこのエピソードには、美容院での会話が苦手というユーザーから同様の体験や共感のコメントが多く集まった。そうした反響には「共感していただけると思ってなかったので、単純に嬉しかったですしなんか安心しました!」と答える一方、「思っていたより反響があったので、その時担当してくださった美容師さんがこの漫画読んでないといいな…とかも感じました(笑)」と、件の美容師さんに対しても気づかいをのぞかせた。
取材協力:むめい(@mumei10101)