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永野芽郁を救った大先輩の言葉とは?OL役で大変だったのは“毎朝のアレ”

  • 2021年5月20日
  • Walkerplus

5月21日(金)公開『地獄の花園』は、ヤンキー漫画の要素をふんだんに盛り込み、女の園を舞台にOLたちが拳を交える、アクションコメディ映画。役者や脚本家としても活躍するお笑いタレント・バカリズムによるオリジナル脚本と聞けば納得の、笑いが詰まったシュールな世界観が繰り広げられている。

主演の永野芽郁が演じるのは、普通のOL・田中直子。広瀬アリスが演じるカリスマヤンキー・北条蘭の中途採用によって、ヤンキーOL派閥の対立が激化する社内で抗争に巻き込まれていく。本格アクションに初挑戦したという彼女に、役作りや撮影中のエピソード、先輩俳優たちとの共演について語ってもらった。

■気持ちの強さはヤンキーに通ずるものがあるかも
――ヤンキーOLが日常的にケンカをしている社内で、直子はそれに動じることなく勤務している“普通のOL”という役どころですね。

【永野】人物像としては、この作品の中で本当に一番普通で、一番物事を俯瞰で見ているキャラクターです。モノローグにもありますが、“主人公の脇にいるのがぴったりな女の子”だったので、そこに関しては共感できる部分も多くて、あまり役を作り込むという感じではなかったですね。

ちょっと脇にいる、ど真ん中にいない直子の感じは私そのものだなと思ったし、直子目線で話が進むシーンも多くて、直子はよくモノローグで自分や人のことを分析しているんです。私自身も物事を分析しながら、頭の中でひとりで喋ったり、考えたりして過ごしているタイプなので、そういうところが似ていると思いました。

――では、自分自身にヤンキーっぽいと感じる部分はありますか?

【永野】ヤンキーは、一度決めたことは曲げずにやりとげるようなイメージがあるので、そういう意味では自分の中にそのヤンキー要素もあるかなと思います。やりたいと思ったことは絶対やり遂げたいので、気持ちの強さみたいなところは通ずるものがあるんじゃないかなと思います。

――ヤンキー漫画を読む幼少期の直子のシーンもありましたが、永野さんは読んだことは?もしくは今回、役作りのために読んだり、参考に作品を見たりということはありましたか。

【永野】漫画自体はあまり読んだことはなかったんですけど、家にあった『ビー・バップ・ハイスクール』のDVDを中学生の頃に観ていて。本当におもしろくて好きだったので、撮影中に懐かしくなって、また見たいなぁと思いました。

あと、アクション練習の時に参考資料として渡されたのが、マーベル作品だったんです。想像より壮大だな、と思ったんですけど、ドン!ってやったら、岩が割れて飛んでいくみたいな感じだったので、「なるほど、こういう風にしたいんだ」というのが分かりました。撮影現場では殴り合っていただけなのに、完成した映像では一手出したら人がすごく飛んでいって、「自分、強いんだ」ってちょっと錯覚しました(笑)。

――アクションシーンの撮影についてはいかがでしたか?

【永野】私は安全装置程度のワイヤーを付けたことがあるくらいで、アクションの撮影というのは初めてだったんです。でも、できる限り自分でアクションをしたいと思ったのでアクション部さんに相談して、本番ではできることは自分でやりました!

アクション稽古は撮影の4、5カ月前からしっかりやっていたのですが、本番でセットやカメラの前に立つと、スタジオでの練習と同じ動きだと見え方が違ったり、体の動きが変わったりするんです。本番に合わせて調整していくのは難しかったけど、出来上がっていく楽しさもあって、全部が新しい経験で、今までにない達成感がありました。

■先輩女優・小池栄子からもらった素敵な言葉
――地上最強のOL・鬼丸麗奈を演じた小池栄子さんはアクション作品でもご活躍されていますが、共演シーンなどで何かお話しされたりしましたか?

【永野】アクションの時は、大先輩の小池さんにちょっとでも当たったら怖いと思って…。当たらないように、でも勢いがあるように見せるために、組手は小池さんと一緒に時間をかけて練習しました。カメラが回っていないところでは、プライベートの話もしましたし、私に天真爛漫というイメージがあるからかもしれないのですが、笑ってないと心配されることが多くて。「笑っていなくても心配されない方法はなんですか」って聞いたら、「笑わなくて全然いいよ!でも芽郁ちゃん、笑ってるとかわいいもんね」と言ってくださったんです。それで、「あっ、そう言われると笑いたくなるな」とうれしくなって。小池さんが意識してそういう言葉をかけてくださったのかは分からないですけど、すごく素敵な言葉をいただいたと思いました。

撮影は時間がかかったりして結構大変でしたが、そんな中でも大先輩の小池さんはずっと明るく、とてもエネルギッシュでいてくださったので心強かったです。疲れた素振りを見せずに、まっすぐ私と対峙してお芝居してくださってたので、自分もこういう女優さんになれたらいいなと思いました。

――皆さんのビジュアルやキャラクターのインパクトも強烈でしたが、現場で笑ってしまうことなどはなかったですか?

【永野】皆さんそれぞれプロだからか、おもしろくなるというよりも、「いいですね〜」「かっこいいですね」って言い合っていましたね。休憩時間にこの格好で淡々と話してるのがおかしいなって、ふと思うときはありましたけど、セットに入ると芝居のスイッチが入っているのか、ガラッと空気が変わりました。

キャストたちで東京ガールズコレクションに出演したんですけど、廊下ですれ違う関係者の皆さんが、ヤンキーOLの格好をした遠藤憲一さんたちの姿にびっくりしていて。撮影期間中って関係者しかいないから違和感がなかったし、現場で会っても「おはようございまーす」って感じだったんですけど、初めて見る人や劇場で映画を観てくださる人からはこういう反応をされるんだ、こっちが普通なんだって思いましたね(笑)。

――バカリズムさんの世界観らしさがありますよね。

【永野】そうですね。バカリズムさんが脚本を書いたドラマの「架空OL日記」を全部観ていたので、今回もOLのリアルな会話や空気感がすごくバカリズムさんっぽいなと思いましたし、その世界に自分が入れるのが純粋にうれしかったですね。

■ストッキングを履くのが苦手!OLを演じて改めてすごいと思ったこと
――特にお気に入りのシーンをあげるとすると、どこでしょう。

【永野】私は出ていないのですが、大島美幸さん、菜々緒さん、川栄李奈さんが演じる幹部OLたちが集まって、蘭役の広瀬さんと給湯室で真剣に話すシーンですね。蘭が出ていったあとにヤンキーのテンションから急にOLに戻って、ちゃんとゴミの分別をして…っていう。その時の会話がおもしろくて。多分、皆さんも好きだろうなって思います!

――菜々緒さん演じる安藤朱里なら“悪魔の朱里”、川栄さん演じる佐竹紫織なら“狂犬 紫織”という通り名がありますが、自分に通り名をつけるとしたら何にしますか?

【永野】え〜、なんだろう?“冷静の芽郁”にしようかな。私は感情的に何かを決めることがないし、感情的な人ほど冷静に見ちゃうので。多分私も『地獄の花園』の社内のような環境にいたら、周りのケンカにも慣れて「大丈夫?怪我、平気〜?」って直子みたいになるだろうなって思います (笑)。

――ちなみに、普通のOLにどんなイメージをもっていましたか?

【永野】いわゆる“丸の内OL”みたいなイメージで、雑誌を見て「これがOL。都会のOLさんってすごいな!」って思っていたんですけど、実際にOLの格好をして会社に勤める役を演じた時に、頭だけじゃなく体力も使う仕事だなというのを感じて。パソコンで作業して、ヒールで社内を歩き回って、いろいろな備品を整理したりだとか…。私には絶対できないと思うお仕事だったので、改めてすごいなと思いました。

毎日地味にしんどかったのが、ストッキング。私、ストッキングを履くのが苦手で、すごく時間がかかるんですよ。これを毎朝履くのかぁ…って(笑)。それもすごく大変だと思いました。

■“ただ笑って観られる作品”を、作る側にいられたことが幸運
――では、今作の撮影を通して得たものを教えてください。

【永野】実際にこの世界の端っこにいるような、でも中心にいるような役を演じてみて、誰かを楽しませたり、ワクワクさせたりすることがすごく楽しいなと思いました。特に今作は架空の世界でしか作れないものなので、お芝居も楽しかったし、このお仕事の醍醐味みたいなものを改めて感じられました。このタイミングでこの作品に挑戦できたことは、自分にとってすごくプラスになったと思います。

――それは、コロナ禍だからより強く感じたのでしょうか?

【永野】そうですね。生活だったり、これからのことだったり、いろいろとシリアスなことを考えなきゃいけない世の中になっていて…。そんな状況の中で、あまり深いことを考えずにただ笑って観ていられる作品を、自分が楽しみながら作る側にいられたということは、すごく幸運なことだと思います。

――コロナ禍の人の心に、エンタメが与えるものは大きいと思います。一方で、今は我慢しなければいけないけれど、新型コロナの流行が収束したら行ってみたい場所についても伺いたいです。

【永野】国内なら北海道です!おいしい海鮮を食べて、空気の澄んだところでいっぱい深呼吸したい。旭山動物園も行ってみたいし、北海道の広いコースで乗馬もしたいし…。動物ってとんでもない癒やしのパワーを持っている気がするので、触れ合いに行きたいですね。

撮影=八木英里奈
取材・文=大谷和美

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