
ヤグラネギの特徴や、栽培スケジュール、育て方について解説していきます。葱の先にできるコネギによって増えていきます。その姿がまるで「櫓」のようなことからこの名が付いたそうです。薬味、煮物、炒め物などにして美味しく食べられますよ!
基本情報
(ヒガンバナ科)
●親株にできる小ネギを仮植えして苗をつくる
●畝幅:50cm
●まき方:株間5cmで2本ずつ
●元肥:なし
●追肥:米ぬか、ボカシ肥料
栽培スケジュールの目安
ヤグラネギについて
増え方がユニーク 珍しいヤグラネギ!
数年前、郷里の友人が珍しいからと10本分けてくれ、我が家でも栽培し始めました。その友人宅では草に負けて絶えてしまったそうなので、今年何株か里帰りさせる予定です。
ネギ坊主がつかない代わりに、トウ立ちの先に小ネギができる姿はとてもユニークです。葉ネギとして育てて食べる地域もあるようですが、茨城県では葉ネギにあまりなじみがないので、我が家でもほかの長ネギ同様、溝に植えつけ、土寄せしながら育てています。
育て方
01 土づくり
ネギは日当たりがよく、水はけがいい場所を好みます。
ネギを本植えする畝には深い溝を掘るのですが、このとき畝を耕してしまうと土がやわらかくなり、溝が崩れやすくなるので、耕しません。
溝の深さは20cm、幅は15cmくらいです。元肥は入れませんが、ネギに土寄せをするたびに米ぬかやボカシ肥料を少量ずつ追肥して育てます。

日当たりがよく、水はけがいい場所に畝を用意する。本植えする溝は崩れないように畝を耕さずに掘る。収穫しやすいよう溝には土だけでなく、落ち葉や残渣も入れる。
02 仮植え
5月、花(ネギ坊主)の代わりにヤグラネギには珠芽(しゅが)といわれる小さなネギが数本生えてきます。この姿が櫓のようだからヤグラネギという名なのだそうです。
6月~7月、珠芽を親株の頭から取りはずし、バラバラにして仮植えをします。この時点では、まだ小さすぎて溝に本植えすることはできないので、いったんほかの畝に挿しておき、草丈10cmくらいに大きくなるまで育てるのです。土に挿すと根が出てきます。

珠芽を採りはずすと小さなネギ。畝に仮植えし、10cmくらいに育ててから本植えする。
03 植えつけ
8月には本植えできるくらいの大きさになっています。畝に掘った溝に同じくらいの大きさの苗を選んで2本ずつペアで植えていきます。
溝の片側の壁に立てかけるように株間5cmで2本ずつ並べ、倒れないように根元に2cmほど土をかけておきます。葉が分岐しているところには土をかけないように注意します。

深さ20cm、幅15cmの溝を掘り、片側の壁に同じ大きさの苗を2本ずつ株間5cmで並べる。根元に2cmほど土をかけて鎮圧しておく。
04 メンテナンス
本植えした苗が根付いたら、生長に応じて何度か土寄せと追肥を繰り返しながら育てます。
溝の中に落ち葉や残渣と一緒に米ぬかを入れて土をかけていきます。溝に落ち葉や残渣も入れているのは、土だけで溝を埋めるよりも、ネギの収穫がしやすくなるからです。
親ネギの方は植えっぱなしにしておくと、6月くらいから分けつしてきます。私の場合は、3月にほかの長ネギをタネ採り用に植え替えるとき、一緒に株分けしています。
05 収穫
珠芽ができた親株はかたくて食べられなくなりますが、それ以外の時期はいつでも食べられます。本植えした苗も9月にもなれば細い小ネギとして食べられますし、10月以降は太ネギとして抜いて食べることもできます。
9月頃になると夏の間は白っぽかったネギの色が緑色になってきます。これはやわらかくなったサインです。大きくなったものから順に抜いて収穫します。
でも、ヤグラネギは土寄せしながら育てている割には、あまり白い部分は長くなりませんし、太くもなりません。

6月頃から分けつしてくる。これを株分けして植え替えても増やすことができる。
ヤグラネギはタネができない!
ネギにはネギ坊主ができてタネで増えるネギと親株が分けつして増えるネギがありますが、ヤグラネギはちょっと特殊です。分けつとネギ坊主の代わりにできる小ネギのような珠芽で増やせます。

5月頃、ネギ坊主の代わりに珠芽ができる。珠芽を採って植えられる。

放っておけば親株がパタンと倒れ、地面についた珠芽が自然に根付く。
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