冬の川歩きを癒してくれるのは、カモ類をはじめとする水鳥です。カルガモ、マガモ、オナガガモにヒドリガモ、そしてひとまわり小さなコガモ…… そんななか、一風変わった真っ黒い鳥をご存じでしょうか?
あるときはカモに混じって川に浮かび、あるときはカイツブリのように頭から潜水し、あるときは黒猫のように川辺の藪に潜み、またあるときは忍者のように水面を走る! 額は白く、眼はルビーのよう……
その名もオオバンです。首を前後にヒョコヒョコ動かしながら泳ぐシルエットはまるでネッシーのよう!? 歩くことに長けたクイナの仲間でありながら、オオバンは「弁足」と呼ばれる独特な水かきのついた足を持っているように、陸上よりも水上での生活に慣れた鳥であるように思えます。
もちろん陸に上がってニワトリやホロホロチョウのように、のんびり草を食べている姿もしばしば見るのですが、20mほど離れた川の対岸で人が近づくと、警戒して逃げる先は、決まって水の中なんです。
土手を転げ落ちるようにドボドボと水の中に飛び込んでいきます。そして水面に浮いたと思ったら、おもむろにバシャバシャと水の上を走り出し、低空飛行で逃げ去っていくのです。陸からそのまま飛び立てばいいのに……
彼らを見かけたら、耳を澄ませてしばらく観察してみてください。クー、コー、キュー、と、まるで会話をしているような優しい鳴き声が聞こえるはずです。
それにしても、こんな姿ではるかロシアから数千キロも渡ってくるやつがいるなんて…… 大空を舞う姿がとても想像できません。
出典:わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト Facebookコラム
(2020年1月6日)
https://www.facebook.com/wow.wow.biodiversity.project/
※「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」は、公益財団法人日本自然保護協会とソニー株式会社が協働で実施しているプロジェクトです。
「わぉ!」という自然のおもしろさや不思議に触れたときの感動を多くの人に伝え、みんなで共有することで、自然を好きになってもらい、生物多様性の保全につなげていきます。