緑のgooは2007年より、利用していただいて発生した収益の一部を環境保護を目的とする団体へ寄付してまいりました。
2018年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。
日本自然保護協会では、この夏、子どもでも参加できる自然環境調査「自然しらべ2018 身近なアリしらべ」を実施しています。昨今のヒアリ騒動で注目されるようになったアリ。実は、日本のアリがどこにどれぐらいいるかはあまりわかっていません。ぜひこの夏は、お子さんの自由研究がてら「自然しらべ2018 身近なアリしらべ!」にご参加ください。
参加の仕方は→ https://www.nacsj.or.jp/shirabe/2018/06/11192/
さて、今回は、身近に観察できる日本のアリの驚くべき生態をお届けします。
「働きアリ」の中には全体の2割ほど「ほとんど働かないアリ」がいることが知られています。ですが、これは怠け者というわけではなく、巣に危機が訪れた時のために温存されている「予備軍」という説が有力です。普段は不要な存在かもしれませんが、10年に一度の危機があるとして、その危機を乗り越えるための備えが、巣全体からみたら必要なことなのでしょう。
写真のハラクシケアリの巣内の働きアリは、ある瞬間には仕事をしている個体は3割程度で、残りの7割は何もしていない。さらに全体数のうち2割のアリは日常的にほとんど働かない。しかし、巣が危機的な状態に陥り、仕事が大量に生じると、たぶん働き出す。
今から85年も前に日本でアリの酸素消費量を調べた研究者がいました。それによるとクロヤマアリの働きアリの酸素消費量は体重1gにつき15.17㎣/分でした。クロヤマアリの体重を4㎎、人間の体重を60㎏として単純計算すると、910.2ml/分となります。体重60㎏のヒトのおおよその酸素消費量は210ml/分です。よってヒトとクロヤマアリが同じ体重だったら、クロヤマアリはヒトの約4.3倍の割合で酸素を取り込んで生活していることになります。
アリの種数が最も多い県は沖縄県。日本国内にいる298種のうち、実に150種が沖縄県に生息しています。2位は鹿児島県(本土から約110種、大隅諸島・トカラ列島・奄美群島を含めると約145種)と、南方ほどアリの種数や密度は高くなる傾向が見られます。ところが3位は中部地方の岐阜県(118種)です。その理由のひとつに、標高3000mを超す高い山々を有していることが挙げられます。高地性のアリも多いことが、全体としての種数を伸ばしているのです。また、立地的に南方系の種と北方系の種の両方が見られることも、より多くの種が生息する理由のひとつでしょう。
一方、種数・密度ともに最も少ないのは北海道。特に亜寒帯になると、急にその数が減ってしまうことが分かっています。
出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.564(2018年7・8月号)