遠くから食べ物を運ぶと、エネルギーがもったいない! 今や日本には世界中の食べ物があふれています。なにしろ日本では、実に60%もの食料が海外から輸入されているのです。しかし、遠い距離を飛行機やトラックで運ぶと、たくさんのエネルギーを消費し、大気を汚染する排気ガスや二酸化炭素(C02)が大量に排出されます。大切なエネルギーを浪費したり、かけがえのない地球環境を破壊するのは、もったいないことだと思いませんか。食物の輸送について考え、もう一度「食」のあり方を見直しましょう。 群を抜いて高い、日本のフードマイレージ 農場や漁場から消費者の食卓まで、食料を運ぶ距離をフードマイルといい、それに食料の重量を掛け合わせたものをフードマイレージといいます。フードマイレージは、食料輸送が環境に与える負荷の大きさを表す指標で、1994 年にイギリスの消費者運動家ティム・ラングさんが提唱したといわれています。 では、人口1人当たりのフードマイレージはどうでしょうか。日本の約2.2 倍の人口を持つアメリカでは人口1人当りのフードマイレージは、約500 トン・キロメートル。韓国は人口が日本の40%弱で、人口1人当りのフードマイレージは3200 トン・キロメートルと、アメリカよりもぐんと高くなります。日本人1人当りでは約4000 トン・キロメートルと、アメリカの10 倍近くにのぼります。これは、農業輸出大国であるアメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジルなどが、日本や韓国からは遠く離れたところにあるにもかかわらず、経済力にまかせてこれらの遠隔地から大量に食料を輸入しているためです。 “同じ距離でも、輸送手段が違えば、環境負荷も変わる 船、鉄道、トラック、飛行機など輸送手段にはさまざまなものがあり、それぞれエネルギー消費量、CO2 排出量などに差があるため、環境に与える負荷は変わってきます。例えば、飛行機1機に1トンの荷物を積んで、1キロメートルの距離を運ぶとトラック6台分のCO2 を排出します。また船では40 隻分、鉄道では貨車30 両分に相当します。
マグロ好きの日本人には耳の痛い話ですが、遠洋で捕獲されるマグロは4000〜5000 キロメートルもの距離を運ばれてきます。高級魚のように何千キロもの距離を空輸するとなるとエネルギー消費量とCO2 排出量は膨大になります。また、国内であっても、飛行機で空輸された野菜や魚を食べると、船、鉄道で運ばれたものや、地場で採れたものの数百倍〜数千倍の負荷を地球環境に与え、大量のエネルギーを消費します。 |