環境に対する取組で初めてノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんは、資源を大切にする意味の日本語「もったいない」という言葉に深く共鳴し、「この言葉を国際語にしたい」と、世界各地で呼びかけています。 そもそも「もったいない」の「もったい」は、仏教で使われる言葉で、物のあるべき姿「本体」を意味し、命や物を大切にしようという気持ちを表します。まずは、食べ物を大切にするところから、「もったいない生活」を始めてみませんか。肉も魚も米も野菜も、みなかけがえのない「命」なのですから。 日本は世界で一番、食べ物を無駄に捨てている 昔は、「ごちそうさま」のあとに、茶碗にご飯粒がついていると「もったいない」と叱られたものです。日本も40年ぐらい前までは食料が豊富ではありませんでした。一粒のお米でも、無駄にはできなかったのです。ところが、今では食べ物の量も種類も豊富にあり、食事を平気で残したり、古くなった食品はポンポンと気軽に捨ててしまう人がほとんどです。 生ゴミとして捨てられている食品の4分の1は、食べ残しや手つかずのまま 日本の食品廃棄物2189万トンのうちの約60%、1250万トンが家庭の台所から出る生ゴミです。ある調査では、この家庭から出る生ゴミの68%が調理くず(野菜、果物の皮や芯)で、およそ4分の1にあたる27%が食べ残しや手つかずの食品、5%が食べられない部分(貝殻や魚の骨)だったそうです。この数字を全国に当てはめてみると、食べ残しや手つかずで捨てられた食品の量は約338万トンにも上ります。 無駄なく食べることで、多くの飢えに苦しむ人々を救える 今、世界では8億人を超える人々が食料不足に苦しんでいます。また、飢えや栄養不良による病気で毎日3万人、年間1000万人もの子どもたちが命を失っているといわれています。人口が増加して食料の生産が追いつかない国、戦争や紛争などで食料の生産ができない国、天候不順や災害などによって食料生産が極端に減ってしまった国などが世界にはたくさんあるためです。 日本で捨てている食料をそうした人々に回すことができれば、どんなに彼らは助かるでしょう。前述のように、日本では家庭の台所、コンビニやスーパー、外食産業から、料理くずやまだ食べられる食品が大量に捨てられています。野菜などの調理くずでも、皮や芯、外側の葉の部分などは調理の仕方によって食べられるところがたくさんあります。これらをきちんと工夫して、無駄なく食べれば、食品廃棄物量2189万トンの半分くらいは食料として利用できるはずです。日本人が年間に消費する食料品の量はおよそ6605万トンですから、約17%の無駄をなくすことになり、その分の食べ物を海外から輸入しなくてもすむことになります。 その節約した食料で、およそ2560万人の飢えに悩む人々が日本人と同じ食料を摂ることができます。他の先進国の人々も同じようにすれば、さらに多くの人々を飢えから救うことができるのです。 こうして実践! 「もったいない生活」のコツ ポイント1.買い物は賢く計画的に ポイント2.消費期限・賞味期限にとらわれない ポイント3.せっかくの栄養豊富な部分を捨てない ポイント4.適切な保存で無駄を出さない 食育指導者を育てる「食育アドバイザー養成講座」 |