進む温暖化
米国前副大統領、アル・ゴアが出演したドキュメンタリー映画、An Inconvenient Truth (不都合な真実)を見なくとも地球の温暖化が進んでいる兆候は見ることができる。南極や北極の氷が解け、海水が上昇している事実。スイスアルプスの氷河が解け地肌をむき出し始めている現状。日常生活では、不安定で季節外れの気候、大型台風やハリケーンの発生、大規模洪水、干ばつなども地球温暖化が及ぼしていると考えられる。先日テレビで北極の白熊が氷の少なくなった海面で行き場を失っている画面をみて、唖然とした記憶がある。地球温暖化がこのような環境変化を生んでいる事は間違いないようだ。
夜の地球:DMSP衛星からの合成写真 提供:NASA
都市部のライトで明るくなっています。
地球温暖化を起こす要因に人間が快適に過ごすために吐き出す過剰な、「CO2」二酸化炭素があげられる。自動車から吐き出されるガス。石油、石炭などをエネルギーとして使い、吐き出される工場からの煤煙、オフィスや家庭からも直接ではないが地球温暖化の一端を担っている。人間が地球から産出する、化石燃料(石油、石炭)の使用を最小限にしない限り、温暖化は今後も進み続ける。
近代工業化が始まる、1800年代には地球上のCO2レベルは280p.p.m (parts per million)であったものが、今から数年後には倍の560p.p.mにまで上昇すると専門家は予想している。だが、地球温暖化は人類が始めて経験する事で、CO2の濃度が例えば600p.p.mになった時に地球の環境がどう変化するのかは想像するだけで、誰も知ることはできない。だが、現状が悪化することは容易に想像できる。そのためにも、環境問題は政府の問題と言い放すのではなく、個々の人々と企業が共同で化石燃料の消費を減らし、地球上のCO2の濃度を抑える努力が必要だ。
さらば白熱電球
自然光に近いCFL、大きさも白熱電球より小型
例えば、どこの家庭でも照明として使っている電球。米国では一家庭で平均25個が使用されているという。それらの電球の多くはトーマス・エジソンが100年以上前に発明した白熱電球だ。そのコンセプトは100年以上たった今もまったく変わらず、電流がタングステンを発熱し光りを発するもの。この電球は、決して効率の良い照明媒体ではない。この過去の遺物的な白熱電球をより効率の良い蛍光灯電球に変えるムーブメントが起きている。
蛍光灯と聞くと、商業施設やオフィスなどでの使用が一般的で、家庭内での使用は限られているのが現状。原因は、やはり蛍光灯の光りが自然のそれとは異なり、家庭では敬遠されがちであった。また、白熱電球に変わる小型で、既存の照明器具に取り付けられる製品が開発されていないという不便さ、また高価な点もあり、長いこと家庭には普及しないでいた。
スパイラルが環境を救う
ホームセンター最大手The Home DepotのCFL 販売プロモーション新聞広告
電球型の蛍光灯が開発されてから、すでに20年は経過しているが、蛍光管がスパイラルで既存の照明器具に取り付けられるほど小型で、より自然の光りに近いコンパクト・フロルセントボルブ(Compact Fluorescent Bulb、略CFL)、(日本でいうスパイラルバルックボルブ)が開発され、これを家庭に普及させ地球温暖化防止に貢献するムーブメントが国、企業そして家庭を通じ進められている。
このコンパクト・フロルセントボルブ(CFL)、白熱電球に比べ、そのエネルギー使用量は1/3程度。CFLの13ワットが白熱電球60ワットに相当する明るさを生み出す。CFL電球の寿命は白熱電球の約10倍。8年間は電球を取り替える必要はない。1家庭で白熱電球20個をCFL電球に変えた場合、年間2000ポンド(約900kg)のCO2を削減できる。現在米国に出回っているCFLの数は1億個程度と言われる。これを年間1億個の増加を目標に国と企業が共同でキャンペーンを広げている。年間1億個のCFLを使用することで、30億ドル分の電力削減が可能で、これを自動車の排気ガスの量に換算すると約200万台分に相当する。