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(NY)vol.7 電球で地球温暖化が防げるか

  • 2007年2月1日

1億個の販売を目指すWal-Mart

Wal-Mart店内のエンドデイプレー
CFL1億個の販売を目指すWal-Mart店内のエンドデイプレー

 世界最大の小売業者Wal-Mart (ウォルマート)では、昨年の12月から年間1億個のCFL電球を家庭に普及させるキャンペーンを広げている。Wal-Martでは通常年間10万個程度のCFLを販売しているが、これを一挙に10倍に拡大するという。同店のフロアーではCFL電球の環境効果、各CFL電球の特色などを掲示したデイスプレーコーナーを設け、訪問客にCLF電球の使用を進めている。

 電球の販売量が高い、ホームセンターThe Home Depot とLowe's。ドラッグストアーのWalgreen's。ディスカウントストアーのTargetなどの業界大手が揃ってCFL電球の普及を目指しキャンペーンを広げている。インタネットではYahooがスポンサーで、Change a Bulb. Change Everything のサイトhttp://green.yahoo.com/をアップ、全米でCFL電球の販売数を今年に入ってからオンタイムで掲示(現在2100万個)、それによる経済効果 (6.3億ドル)車の台数に換算すると12万台、CO2効果は何と90億ポンドの削減という数字を掲示してCFL使用による環境効果をPRしている。

NY州政府の援助金

 ニューヨーク州では、CFL電球を通常小売価格の10パーセントで州住民限り個数限定で販売し、エネルギー消費の削減を呼びかけている。そのほか州では、熱効率のよい電気製品、暖房、冷房施設には税金の免除、補助金などを出しより熱効率の高い製品への買い替えを援助している。また、熱効率の高いハイブリッド車には購入時に一台につき3000ドルの援助金を出している。オーストラリアでは2010までに全白熱電球をCFL電球に変える運動が起きているとか。

売上げ低下か環境問題か… スウィッチが必要

CFL
5年保障、8000時間の寿命、26Wで100Wの明るさ。3個入り8ドル

 このような、地球環境改善に寄与する運動も全企業が賛成しているわけではない。白熱電球の大手メーカー、GEやシルベニア社では、寿命が10倍も長い電球の販売は売上げ低下につながる。さらに蛍光灯には水銀が多少含まれているというのが、彼らのCFL販売に対する反対意見。

 エネルギー危機、石油価格高騰が話題になるたびに、省エネへの関心が高まる。だが、危機が過ぎ価格が下がれば、またもとの浪費気分。過去100年間使いなれた安い白熱電球を価格が10倍もするCFL電球に買え変えるにはそれなりの危機感が必要だ。Wal-Martの打ち出した1億個達成が可能かどうかかは、環境問題を経済問題より優先させる頭のスウィッチが必要だ。

我が家はCFL

 最後に、我が家では1月に室内の電球31個を全部CFL電球に切り替えた。投資額108ドル。一ヵ月後の電気使用量の変化155キロワット低下。電気料にすると23ドル。投資回収までに4.5カ月を要する計算。その後は年間276ドルの節約 (電気代がその間値上げしなければの話)。だが、これで年間3100ポンド(1406kg)のCO2を地球上から回避できた計算。悪くない話。 ガソリン代が安いと車を乗り回すのと同様、電気代がかからないだけに、電気をつけっぱなしにしておく習慣に注意が必要。


Paul Yamaguchi

■ 筆者紹介
Paul Yamaguchi
東海岸ニューヨークからはトレンド情報誌の先がけとなった「PRONTO」や「USフードジャーナル」の編集長を務め、現在は健康食品ビジネスコンサルタント会社を運営し、英文の日本の健康食品市場レポートを発刊しているポール山口さんがレポートします。

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