サイト内
ウェブ

(NY)vol.3 ニューヨーカーの圧倒的な支持を得たホールフーズマーケット。
Part 3 コロンバスサークル店

  • 2006年2月1日

不動産価値の低いスペースで広さを確保

 米国では、商業スペースとして地下はセカンドクラスに値する。1階の売り場スペースがファーストクラス、2階以上のスペースがセカンドクラスとすると、地下はさらに低い、サードクラスの価値しかないスペースであるかもしれない。米国の都市でも、地下を売り場として利用している施設は数少ない。

コロンバスサークル
タイムワーナーセンターからコロンバスサークルをみる。
左手がセントラルパーク。

 食品を扱っていない米国のデパートでは地下はバーゲン売り場か、駐車場というのが商業施設での大方の利用方法だ。地価が米国一高価であるマンハッタンでも、地下に本格的な売り場を設けている施設は数えるほどしか見当たらない。それほど地下は商業スペースとして価値の低い不動産である。日本語では地下は単に地上の下と言う意味だが、英語の語源はbasementであり建築物の土台という意味で、やはりスペースとしての意味はなかったようだ。

 そんな、不動産価値の低いスペースを有利に利用したのがタイムワーナー本社ビルに開店したホールフーズマーケト(WFM)のコロンバスサークル店だ。マンハッタンには数は少ないが、スーパーマーケトは存在する。だがその面積は狭く郊外型のスーパーに比べ面積は半分以下である。ところがWFMのコロンバスサークル店は地下というスペースを活用し6万平方スクエアー(約5500平方メートル)という広大なスペースを確保している。この広さはWFMの他の平均的な店舗面積から言っても2倍近くの広さで、WFMがいかにコロンバスサークル店に力を注いでいるかが伺われる。

地下への誘導をプライオリティーに

コロンバスサークル
天気のいい日には、WFMで買ったランチを
コロンバスサークルで。

 商業施設として、地下への客誘導は難題である。1階というプライム面積をより広く確保するために、地下への誘導手段が後回しになりがちだからだ。WFMコロンバスサークル店の場合、地下への誘導を第一に考慮し、正面入り口近く、フロアーの中央、入り口からわずか5メートルと至らない場所に、売り場への専用エスカレータを設置し、2番手になりがちな、地下への誘導をプライオリティ—として考えている点がWFMの成功を大きく左右している。もし、この地下への誘導エスカレータが他の位置であったら、WFMの集客力は大きく低下していたに違いない。
 日本の街に少ないのが、生花を売るフラワーショップだ。花を気軽に贈る習慣が少ないためか。タイムワーナーセンター(TWC) の正面入り口からエスカレーターで地下のWFMへ向かうと、最初に迎えてくれるのは、他のスーパーに見られる、ずらり並んだレジではない。エスカレーターを降りるとそこは、季節の花をそろえた生花売り場とインフォメーションデスク。客を迎える意識が伺える。インフォメーションデスクでは、商品、売り場案内はもとより、配達の手配、パーテイ—用ケータリングから企業案内まで、全ての質問に迅速に回答を出してくれる、すぐれた人材が対応してくれるのもうれしい。

栽培、飼育、産地、漁獲のインフォメーション公開する生鮮

野菜、果物売り場
野菜、果物の80パーセントはオーガニックで
占める。
オリーブバー
オリーブだけでも10種以上を揃えた、オリーブバー

 店内は大きく4つの売り場構成からなっている。野菜、果物、肉、魚などを揃えた生鮮セクション。ここでは、オーガニック栽培による野菜、果物が多く揃えられている。全てがオーガニック栽培による生鮮ではない。野菜、果物などは80パーセント程がオーガニックだが、オーガニック栽培と通常栽培の野菜は、はっきりと明記されている。肉は全てではないが、オーガニック飼育による動物肉がその多くを占めている。発育ホルモンや化学肥料飼育による動物からの肉はここでは見られない。

 そして魚は養殖も多少あるが、多くは自然海でとれた魚や貝類を揃えている。漁獲された産地だけではなく、漁獲方法なども記されている。自然資源に害する方法や非自然的な方法で漁獲された海産物はここでは売られていない。これら栽培、飼育、漁獲等のインフォメーションが印刷物ではっきりと公開されている企業姿勢が、ホ−ブス誌でもWFMが、尊敬する企業の順位に挙げられる理由か。生鮮食品の種類は他の食品スーパーでは見られないほどの豊富な品揃え。新鮮さと豊富さが買い物客を魅了する。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。