ボールダー市内のGMO 抗議デモの様子
Photo by Youtube 2011年12月19日、ボールダー郡はあるGMO(Genetically Modified Organisms、遺伝子組み換え作物)を郡所有のオープンスペース内で栽培することを認める法案を採択した。全米の穀物の中で最も生産高の多いトウモロコシの栽培に関しては2003年から既にGMOが郡内で認められているが、それに続きコロラド州で生産高の多いシュガービート(砂糖大根)についてのGMO栽培許可が下されたのである。
GMO種は穀物の生産効率と生産高を飛躍的に向上させ、環境への負荷を軽減でき、地球規模の食糧危機さえ解決するという触れ込みで爆発的に国内で普及している。しかし、過度のGMO種使用に伴い新たな抵抗性雑草の出現や連続接種による長期的な人体への悪影響について疑問視されていることも確かだ。1994年から使用され始めたGMOは未だ長期的な臨床研究に至っていない。ボールダー郡の議論の場でも意見が真っ二つに分かれた。GMO賛成派の生産者たちは廉価なGMO種を使用することだけが生産者として競争力を保ち得る方法なのだとし、否定派は昆虫や動物による異花受粉や天候パターンによって無秩序にGMO種が飛散し非GMOの畑と区別が不可能になってしまうと懸念する。
ナチュラリー・ボールダーのアロン・マンシカ氏 GMOに反対する団体の一つにナチュラリー・ボールダー(Naturally Boulder)と呼ばれる非営利団体がある。この度の議論では負けを喫したものの、オーガニック食品業界で成長を続ける団体である。ナチュラリー・ボールダーのミッションはボールダーの町をオーガニック食品業界の震央として結束させ、この町での新しいビジネスの誕生、定着を助成することである。このミッションを達成するために、ナチュラリー・ボールダーは毎月一回、ネットワーキングと教育のイベントをそれぞれ実施し、オーガニック食品を扱う地元産業界と若き起業家たちの橋渡し役を担う。
ナチュラリー・ボールダーのネットワーキングイベント風景 先日、ナチュラリー・ボールダーのオペーレーション・ディレクター、アロン・マンシカ氏を自宅に招いて夕食を共にした。アロン氏はナチュラリー・ボールダーを会員2,000人超の団体にまで成長させ、彼らの主催するネットワーキングイベントを「町一番のパーティ」として知らしめることに成功した敏腕ディレクターだ。同団体が主催する教育イベントもユニークかつ実用的な内容が多く、参加企業にとっては意義のあるものである。ちなみに今月のテーマは「パッゲジング業務の上手な外注方法とFDA(アメリカ食品医薬品局)規制について」、所要時間2時間半、ランチ付きで参加料は35ドル。先着20名のアットホームなイベントであるため意見交換が盛んだ。庭でアロン氏とバーベキューグリルを囲みながら今オーガニック食品業界が直面している3つの問題について話を聞いた。