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(Boulder)vol.7 ボールダーの住宅事情と行政の取り組み

  • 2008年3月1日

「市」より厳しい「郡」の取り組み

 ボールダー市の取り組みを参考にした「BuildSmart」と呼ばれるプログラムが今年ボールダー郡でも始まった。この「BuildSmart」プログラムは「Green Points」プログラムより数段厳格な内容になっており、米国内でも最も厳しい基準の一つとして注目されている。ボールダー市郊外で施行される新築及び改築に関する細かな基準が決められている。

ボールダー郡の「BuildSmart」のロゴ
ボールダー郡の「BuildSmart」のロゴ
 「Green Points」プログラムと違って、この「BuildSmart」プログラム は二酸化炭素排出問題の角度から、各住宅で使用するエネルギーの見直しを強く呼びかけている。このプログラムは市同様にグリーンポイント制を採用しているが、それ以外にも住宅で使用するエネルギーに対する規定 (Home Energy Rating System、略 HERS)を満たすことを証明するための現地性能テストを組み込んでいる。HERSエネルギー規定は従来の消極的なソーラーパワーから最先端のハイテク再生可能エネルギーシステムまで様々なグリーンエネルギーを考慮の対象としている。

 「BuildSmart」プログラムの実施と同時に、郡は新築住宅のサイズを平野部では5,500平方フィート(510平米)、山岳地帯では3,500平方フィート(325平米)までと完全に限定することを提案した。これより大きな住宅を建設する場合は、オーナーが敷地以外に未開発地域の土地を購入することを義務付ける方向だ。


理想と現実の狭間で

資材再利用・再生利用センター
ボールダーにある資材再利用・再生利用センター
 ボールダー市および郡の両プログラムは意図的にグリーンビルディング技術の向上と普及とを狙っている。しかし、グリーンビルディング技術を個人住宅建設に導入する際、連邦政府による助成金の支給を考慮してもなお高価で採算が合わないという問題点が残る。更に言うならば、近年国内で深刻化している住宅ローンシステムの大崩壊も住宅市場に影を落とし住宅建設コストをつり上げている。

 コロラド州の場合、未だ多くの電力は石炭によって賄われており、二酸化炭素の放出に関して言うならば、オール電化の住宅は天燃ガスを利用している住宅の2倍の責任があるという計算になる。天燃ガスの価格が石炭よりも早い速度で値上がりしている現状からも、私たちはこれからもより多くの石炭が使用される傾向を目の当たりにするかもしれない。しかし、全国各地の持続可能な社会構築を目指すプログラムの数々は、単なる経済振興の道具ではない。むしろ我々は一過性の市場経済に惑わされること無く、長期的な視野に立ってこの問題を考えていかなければならない。再生可能エネルギー、グリーンビルディング技術、各種リサイクルの実践、住宅の小型化、これら全ての試みが、安易で経済重視のものの考え方から私たちを解き放ち、より健全な未来へと導いてくれることを願って止まない。



■ 筆者紹介
サミュエル D グッドマン
サミュエル D グッドマン
Colorado House International, LLC 代表。コロラド州生まれ。コロラド大学ボールダー校心理学部を卒業。高校時代から様々なアウドア活動に参加、現在も母校の高校で課外活動の指導員として活動する。大学卒業後、約5年間に渡り、シンガポールと日本の公立および私立の小中高校、各種企業・政府機関で英語を教える。日米政府間教師交換プログラム(JETプログラム)で京都府に赴任し、3年の任期を終えアメリカに帰国、コロラド州ボールダーで「コロラドハウス」を立ち上げる。
http://www.coho-online.com/cms/
info@coho-online.com (お問い合わせは日本語でどうぞ)
※ 2008年4/21〜4泊の「グリーンビルディング&ハウス視察のグリーン研修ツアー」に興味のある方は、NPOローハスクラブへお問い合わせを:info@lohasclub.org

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