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(Boulder)vol.6 自然界のバランスと存在

  • 2007年11月1日

森のエネルギーが伝える共存の意味

 生態系というものは存在するもの全てが各々の役割を持って動いていることによって健全な活動を保っている。形や条件、環境が変わるとそれに合うように「バランス」(調整・適応)をとり始める。ところで、生態系とは果たして大自然にのみ言えることなのだろうか。大自然が細胞でできているという見地で考えるならば、各々の細胞が成長しまたは現状維持をするために呼吸をして生きているとも言える。死んだ細胞は土に戻り生きているものの栄養になる。

林道

 このように考えてみると、私たちにおいてのもっとも身近な「生態系」というものは自分自身の身体であることに気づかされる。数え切れないほどの数の細胞が常に分裂をしたり死んでいる。食物を摂取することによってエネルギーを作り活動し、不必要なものや有害物は外に糞便や汗を通して排泄する。時には発疹や痛み、冷えやむくれで何かを知らせようとするのかもしれない。膿を出すことによって身体は治ることもある。発熱は熱に弱いバクテリアやウイルスを殺すためにしている調整(身体反応)だろう。生態系はよくできているが、その機能や役割を理解しなければもっている能力をはっきできず無実の罪人を作ってしまうだろう。そしてこの場合、苦しむのは自分になる。意思を持つことを許された人間ができることは単に文明を発展させて技術に溺れ本能を退化させることではなく、その意思をもって与えられた「当たり前の」ギフトを無駄なく活用することではないだろうか。よく噛むことによって入ってきた食物に胃酸が十分染み入り消化を円滑に行えば消化促進、栄養吸収になり食中毒感染も防げるだろう。内臓器官の不全や消化不良など見方を変えればよく噛まない人が増えているということでもある。柔らかい食物が文明の産物として普及している事実を裏付ける「現実」の危機ではないだろうか。顎の発達が不十分な若年層の人が増えていたり、口(顎)が開かない人が注目されているのは大きな警告サインであると思う。

車道

 何年か前の研究(資料源不明)で土葬された遺体が土に戻る期間調査の結果から考えさせられたことがあった。近代食物文明が発達普及する前は2年半前後で完全に土に戻ったが、現在は3年半から4年かかるという。それは体内に蓄積された防腐剤の存在を証明しているものであり、摂取するものが体内に残るという事実を明らかしにしている。防腐剤で致命的な障害を起こすという事例はないが、動植物に投与されている成長ホルモン、抗生物質、化学物質、除草・殺虫剤、動物性成分を含む飼料などの残留物が食材を通して人体にどのような影響を及ぼし、また蓄積することによって、いつどのような体内反応があるかもしれないという可能性を秘めていることは決して忘れてはならない大切な現代の問題であろう。

 自然界の、各々の存在の「役割」を考えるとき、私たちは自分の周りのあらゆることにもう少し同等の、そして冷静で謙虚なアプローチをすべき時代に来ていると私は思う。そして生きることに対する基本的な概念を見直すチャンスを与えられているのかもしれないと思う。そして人間レベルでの社会貢献という課題を考える時、もっとも身近である自分自身の健康管理をすることが最も大切な貢献であることを常に感じてもらいたい。


小池清通

■ 筆者紹介
小池清通…写真家。
コロラド在住25年、ロッキーの自然を撮り続け、自らもLOHASなライフスタイルを実践している。アメリカ人に引けをとらない体格だが、繊細な心の持ち主で、食に関する思いも深い。
今年春、日本で個展が開催された。
http://www.usa-japan.com/nature/


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