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Vol.20 アメリカで自然農法の実施と発信を
百姓 堂前一剛さん

  • 2011年10月1日

“美”という価値観

現在自然農法を実施しているハンターの圃場
現在自然農法を実施しているハンターの圃場
 2010年3月、堂前さんはコロラドからニューヨーク州へ移りました。現在、ニューヨーク市から車で約3時間北上した所にあるハンターという町で、キャッツキルマウンテン財団とShumeiの共同プロジェクトである、持続可能な農業のモデル圃場で、自然農法の実施と発信を手伝っています。
 メインになるのは自然農法による野菜作り。普段は、朝7時半前後に弁当持ちで出かけていき、夕方6時前後に帰ってくるまで、一日中畑で過ごしている堂前さん。「畑作業は午前中が野菜の収穫と洗いをし、財団の経営しているマーケットとカフェへ出荷する準備をします。1シーズンで15〜20種類の野菜を卸しています」ハンター圃場は『レタスファーム』というあだ名があり、サラダ用レタスが、時には予約が入るくらい人気があるそうです。
 モデル圃場のため、面積は0.5エーカー(約2反)しかないので供給量に限りがあるそうですが、まずはより多くの方に自然農法農産物を体験して頂くこと、地産地消の重要性を感じて頂くことが目的です。そこから財団の活動や自然農法に興味を持つ方が出てくることを願っているという。


マーケットに並んでいる自然農法野菜
マーケットに並んでいる自然農法野菜
 堂前さんは、「野菜の出荷準備が完了したら、残りの時間は種蒔きや定植、草取りなど、その時々に必要な作業をしています。秀明自然農法では『自然順応・自然尊重』を根本理念とし、土と作物は人間同様に生命ある存在として接することが根幹を成しています。自然を師と崇め、土と種が力を最大限に発揮できるような環境づくりを、自然の営みから学んで圃場に取り入れる。栽培技術よりも、作物を通して生命が本来あるべき姿を再現する取り組みに、秀明自然農法最大の特徴があります。実施者は、土の状態や野菜1つ1つの生長をじっくり観察し、彼らが何を求めているか、真摯に耳を傾け、水やりや移植などの作業を最も適切なタイミングで行えるように努めます。作物ごとにその性質や特徴を熟知していることが必要です。ここに自然農法実施の難しさがあり、自然を観察する目を養うには相当の時間と努力を求められます。ですが、これをしていく中で、植物を通して観ることができる生命の神秘には、畏敬と感動の念を持たずにはいられません。総ての存在が持つ神性と生命の内なる繋がりを確かに感じることができる。これこそが自然農法実施の醍醐味です」と熱い想いを話してくれました。
 「これらのことをより多くの方にシェアしたいと思い、財団が発行している月刊紙『Guide』に自然農法の理念と圃場の様子を伝える記事を書かせて頂いたり、財団の運営するギャラリーに私が撮っている野菜の写真を飾って頂いたりして、圃場を身近に感じてもらえるような工夫もしています」さらにプロモーションビデオの制作も企画中ということです。


月刊誌Guideと、投稿した記事
月刊誌Guideと、投稿した記事
 「ところで1999年4月、当時京都大学総長であられた長尾真先生が『人間が生きていく上で実践しなければならないことに真善美があります。真とは正しいことを知り、正しいことを行うこと。そこには善を実践する努力が必要で、善には価値という視点と意志と行為が伴う。真と善を本当に正しく実践するためには何らかの判断基準が必要ですが、私は美の感覚が総ての指針になると思います』という意味のことを仰っていました。
 キャッツキルマウンテン財団は芸術と教育、持続可能な農業の3本柱を活動の主軸にしています。Shumeiも同様に、精神性と農と美による感化を活動の根幹としています。
 LOHASは新しい時代に必須の思想だと思います。自分の活動がLOHASの道に通じ、本当に正しく社会に善をもたらすものであれるよう、キャッツキルマウンテン財団とShumeiが教えてくれた『美の感性』を磨きつつ、食と農の方面から世界の平和と持続可能性に貢献できることを願っています」

 

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